嬉(うれ)しさは 散髪すませ ドアの外 奥さん追っかけ チョコ渡すとき
散髪屋のご主人は髪を刈りながら話します。
「なんでバレンタインデーの日にチョコレート買って渡すのよ。電気屋さん知っとる?」、
『う~ん。詳しくは知りませんが、
チョコレート屋さんが、商売っ気で仕掛けたと違いますか』と答えます。
さらに続けて「不思議やね~、2月14日がバレンタインかなんか知らんけど、
外国からの習慣、日本人はようやるね~」、
奥さんは「そうそうハロウィンだって、10月31日のハロウィンだってなんなのよ。
日本の習慣でもないのに、仮装の大騒ぎはおかしいわね」と話します。
チョキチョキ、ハサミの音を聞きながら、
『日本人はいろんなこと、商売にすぐつなげてしまいますね』、
「クリスマスだってキリスト教徒でもないのにおかしいね。
それに、クリスマスケーキだってケーキ屋さんが考えた商売でしょ」とご主人は、
『そうそう、おかしいですね。商売ばっかりに結び付けて、
クリスマスケーキは、菓子メーカーの不二家が大正時代に考え付いたものだそうですよ』、
奥さんは、
「ここらだって、恵方巻きなんて習慣つい最近までなかったわね」、
『そうですよ。節分の恵方巻きは広島のセブン・イレブンが、平成になってから名付けて売ったのよ。
まあ、花街の習慣だった節分の巻き寿司を、「丸かぶり寿司」として出したのはファミリーマートがもう少し前だったと聞いたことありますが』、
『全部、商売人が考え付いたイベントみたいなものですね』と話します。
もっと昔も同じです。
平賀源内さんが考案した「土用の丑の日」のウナギの話は有名ですね。
奥さんに、
シャンプーの後にブンブンと大型マッサージを掛けてもらいながら、
震える声で、
『最近はね~~、電気屋さんでもももも~~、お客さんにDMに添えてチョコレートを差し上げちゃうううう~~~、販促まで流行ってるの~~~』なんて話をいたします。
散髪をすませて代金払い、ドアを開けて帰ります。
そこに奥さん追っかけて来て「ハイ、皆さんに差し上げてます。バレンタインデーのチョコレートです」って、
今日はバレンタインデーの日です。
嬉しいことに、可愛いお菓子の袋をいただきますね。