今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

猫を抱いて象と泳ぐ

2018年05月23日 | 「本」のひきだし

ブクログより


いろいろな本を読む合間にふっと小川洋子さんの本を読みたくなります。
そうやって読んでいくうちに、未読本が少なくなってきました。

この本はチェスが題材なので、以前から敬遠していました。
チェスに関しては全くの無知で、関心もあまりないから。

でもそんな理由だけで読まないのはもったいないのではないだろうか、世間の人たちもチェス好きの人たちばかりではないだろうし。
と一冊の本を読むのにそんなに逡巡する必要があるのかないのか・・・

チェスの知識があれば、より楽しく読めるでしょうが無くても全然大丈夫、それを上回るストーリーにぐいぐい心をつかまれます。
一言でいうならば、一人のチェスプレーヤーの生涯、でしょうか。

小川さん特有の、ちょっと変わった少年が主人公です。生まれつきの不具合、珍しい体の特徴、ただひとつチェスに出会ったことだけが少年の幸せであり不幸でした。

読後にいつも思うのですが、小川さんはどういった経緯でこういうシチュエーションを思いつかれるのでしょう。
少年のことや、デパートの屋上の象のことや、壁に入り込んだ少女のことなど・・・

本作は全編を通して、悲しくて苦しいお話しでした。



猫を抱いて象と泳ぐ  / 小川洋子
☆☆☆☆

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする