
ブクログより
乙川優三郎さん、初めて読みます。
ある語学学校で学んだ二人、彼女は同時通訳の道を、彼は翻訳の道を選び、互いに思い合いながらも敢えて運命に逆らわず別々の人生を歩みますが、いつもお互いの心の中にある二人は、お互いを気にかけつつも年月を重ねていきます。
何ということのない恋愛小説のようですが、言語を題材にしているということで、一つ一つの言葉が研ぎ澄まされているというか、丁寧な表現というか、近年にない文体に出会いました。
今まで聞いたことのない言葉も出てくるし、珍しい言い回しも新鮮でした。
また主人公が翻訳したり、読んだりする本が実在のものであったり、作家だったりするのでこれも興味深いものです。
ジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」などもう一度読んでみようかなと思うし、芝木好子はぜひ読んでみようと思うのです。
ロゴスの市 / 乙川優三郎
2016年8月