今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

彼女たちの場合は

2022年10月19日 | 「本」のひきだし

ブクログより


14歳の礼那と17歳の逸佳は従姉妹。
二人はある日黙って旅に出る。
アメリカを巡る旅。

礼那は父親の仕事でニューヨークに住んでいるので、英語はできるし、アメリカにはそこそこ馴染んでいるし、だが女の子二人の旅、アメリカといっても広い、雑多な人種、地域性もいろいろ、そういうもろもろのことをやはり心配し、二人の両親は半狂乱にならんばかりの取り乱しよう。
あらゆる手を尽くしても手掛かりがないとわかると、もはや二人が無事帰ってくるのを待つばかり。

一方二人は、無謀な行き当たりばったり的な旅ではなくて、年長の逸佳が、地図やガイドブックを綿密に調べて、計画的に旅をする様子に、安心を覚える。この子たちなら大丈夫と。礼那の無邪気すぎる無防備なふるまいにはハラハラさせられるけど。
やがて業を煮やした親に資金源であるクレジットカードを止められてしまう。
お金が無くなれば帰ってくるだろうという親の考えをしり目に、ここから益々たくましくなっていく彼女たち。
たくさんの人に助けてもらいながら、何とか窮地を切り抜けていく彼女たちをいつしか応援している。
もっと遠くへ、もっと遠くへと。

普通ティーンエイジャーが主人公の小説はあまり読まないのですが、今回はなぜだか彼女たちに惹きつけられて、一気に読んでしまいました。
舞台がアメリカで、彼女たちを取り囲む人たちが皆大人だからでしょうか。
帰りを待つ父親と母親の感情の変化も興味深いものでした。


彼女たちの場合は / 江國香織

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする