今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

秋の北アルプス、最終日

2015年10月09日 | 「山」のひきだし
槍が岳山荘の夜は怖かった・・・
一晩中台風のような風が吹き荒れて、小屋のきしむ音そして地震のように揺れるのです。
「小屋が吹き飛んだらどうなるんやろ?どこにつかまってたらいいやろ・・・」などと考えると眠れないのです。

うとうととしては目覚め、風は止んでいるかなと耳を澄ませますが、とうとう朝までこの調子でした。

朝食を済ませ荷物の整理をして、いつでも出発できるように待機していますが、天気はなかなか回復しそうにありません。しびれを切らしてぼつぼつと出発するパーティーもあります。
私たちも7時過ぎまで待って、出発することにしました。
もちろん下山です、槍が岳登頂は今回は見送りです。ここまで来て残念やらほっとするやら・・・え?



外に出た途端、暴風に襲われます。昨日の昼からぬくぬくとしすぎました。
槍沢を降りていきます、沢だから少しは風もましかと思いましたが、相変わらずすさまじいです。
途中にある殺生ヒュッテも確認できませんでした。


播隆上人が修行されたという窟。
播隆上人は初めて槍が岳に登られた修行僧、詳しくは新田次郎の「槍が岳開山」をぜひお読みください。



降りるにしたがい、ガスが切れてきました。


天狗原分岐までくると、雨もやみレインを脱いでしまっていると、二人連れのおねえさんが話をされています。「天気も良くなってきたし、せめて天狗池で逆さ槍を見ようよ!」「ねえ、みんなで行きましょうよ」えっ?みんなって・・・?

というわけでみんなで天狗池の逆さ槍を見に行くことになりました。またレインを着て、水とカメラを持って。


「あれが南岳」えっ どれどれ? 本当なら今日は南岳から天狗原に廻る予定でした。


あ~きれいだ~

と言ってるまもなく

がらがらの結構キツイ登りになり


ぴょこんと池に出ました。
思ったより小さい池です。右端にまだ雪渓が残っています。


池ですが、水は流れ出ています。



雲の切れ間を待って姿を見せた槍、肉眼では池に移った槍は見づらいのですが、ファインダーを通すと、何となく移っているように見えます。
うん、逆さ槍 にしとこう。

池の奥に歩いていくと、屏風岩がありその麓は黄金平という秘境らしいです。
ちょうど涸沢の反対側です。賑わっているであろう涸沢とは対照的になんて静かな山。


あ~ん、見納め!


憎らしい青空。


言葉もない・・・


戻ってきました。さあ後は下るだけ。


名残惜しく振り返る・・・


水俣乗越を過ぎて、ババ平も過ぎて、


槍沢ロッヂで休憩、何ご飯かわかりませんが、うどんを食べました。
ここはお風呂があるんですね。


二の俣を過ぎ、


一の俣を過ぎ


倒木をくぐったり、またいだりしながら (昨日の暴雨風の被害?)


横尾山荘に到着。大勢の人で賑わっています。ほとんどの人が涸沢に向かわれるようです。
隣のおじさんは、「あの混雑ぶりはごめんや」と槍に向かわれました。
もし涸沢に行くのなら、この横尾山荘で泊まってピストンというのがいいかなぁ。


山の交差点。

さあ、先を急ぎましょう。

新村橋を過ぎて


徳沢園まで帰ってきました。のこさんはここでご飯を食べるという期待を裏切られ、次の明神館までおあずけ。
明神館で軽く食事。何ご飯かわかりませんが、私は冷たいとろろそばを食べました。食べてばかりいるみたいですが、いくらでも食べられるのです。恐ろしや。

明神館を出ると、さあもう一踏ん張り、みんな最終の5時のバスに向かってほとんど小走りのような人もいます。負けじと頑張って歩きますが、ザックがなぜか重い。肩に食い込んで痛い。


時々こんな景色も見ながら。


ふうふう言いながら、やっと着いた河童橋。
もう夕方で人もまばらです。なんとか5時には間に合いました。やれやれ・・・


行ってみれば、当初の不安はどこへやら夢中の3日間でした。
悪天候に阻まれ、予定通りの行程はたどれませんでしたが、大展望と紅葉を満喫させていただきました。何より静かな山歩きができて良かったです。
途中でテレビのクルーに何組か出会ったり、撮影隊と同宿したりと、今が一番良い時期って言うことですよね。家でまたその放映を見て、ゆっくり思い起こしたいと思います。


今回もいろんな人にお世話になったり、協力してもらったり、感謝します。



乱丸さんのGPSより


平成27年10月2日(金)

槍が岳山荘(7:30)~天狗原分岐(8:56)~天狗池(9:30)~天狗原分岐(10:40)~水俣乗越(11:17)~槍沢ロッヂ(12:02)~横尾山荘(13:44)~明神館(15:38)~河童橋(16:38)

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槍が岳をめざして!

2015年10月07日 | 「山」のひきだし

きれいな夜明けです。

さて双六小屋の夜は明けて、2日目の山旅の始まりです。
夕べは窓から月も星も見えていて、明日のお天気を保証してくれているようでした。
夕方6時くらいまでは持つだろうという大方の予想で、予定通りいよいよ槍が岳を目指しての出発です。


お世話になりました。


双六岳を振り返りながら。


すぐに樅沢岳。


ちょっと登山道を逸れて、展望地より。


展望地より


目指すは槍。


赤茶色の山肌の硫黄岳。


氷が張ってます。


霜柱も。


硫黄乗越。 槍まで4時間・・・




とにかく風が強いんです。




ひっそり残って咲いています。


山裾の紅葉がきれい。


雲行きが怪しくなってきました。


どんどんガスがかかってきました。


道も険しくなってきて。


千丈乗越、このあたりでレインをきます。雨はたいしたこと無いのですが風がとにかく強い。


登りもきつくなってきたけど、もう経験したことのない強風で、5・6歩、歩いては近くの岩にしがみつくという状態で、何も捉まるもののない稜線に出るときは両足に力を入れて踏ん張りながら姿勢を低くして歩きました。
横殴りのアラレが当たって痛いのかと思ったら、砂が飛んできて当たっていたみたいです。
それとザックのひもがバシバシ顔をたたいてそれも痛い。


間が空くと人が見えなくなるので、頑張ってついていかないと。


実際、西鎌尾根がどんな尾根だったのか思い返しても記憶が不鮮明です。
歩くのに必死でした。
ただでさえキツイ登り(たぶん)なのに風雨で体力を消耗してしまい、ふらふらですがいつ見ても先頭ののこさんは歩いている・・・
そうだ足を動かさないことには小屋にたどり着けない、一歩一歩前に出そう。

発電機の音が聞こえてきて、ようやく小屋に到着です。
あれほど昨日から眺めていた槍が岳の麓に着いたというのに振り仰ぎもせず(ガスの中で見えないですが)小屋に飛び込んだのでした。


手続きをして、お昼ご飯。双六小屋で作ってもらったお弁当。乱丸さんたちの熱いラーメンがうらやましい。

濡れたものを一切合切乾燥室に吊し、荷物の整理をしたらもうすることはありません。
談話室で隣の人とおしゃべりしたり、本を読んだり、さっきの山の中が夢のようなのんびりした時間を過ごしこの日は終わったのでした。



平成27年10月1日(木)

双六小屋(6時過ぎ)~樅沢岳(6:39)~硫黄乗越(7:26)~千丈乗越(9:45)~槍が岳山荘(11時頃)


※本来ならばこの日は、槍が岳山荘について槍が岳に登って南岳まで行って、南岳小屋に泊まる予定でした。

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秋の山は双六岳から

2015年10月06日 | 「山」のひきだし
北アルプスへ行ってきました。
本当は夏山の予定だったのですが、お天気の都合で延び延びになり、ちょうど紅葉の季節となりました。

新穂高から双六岳、そこから西鎌尾根で槍ヶ岳へ、そして南岳から天狗原に寄り、上高地へ降りるという2泊3日の行程です。
3日間も歩き通せるだろうか、膝や股関節が痛くならないだろうか、いざ槍に取り付いて途中で怖くなって降りたいときはどうしたらいいの?いつもの頭痛はおきないだろうか・・・
不安材料はいっぱいありましたが、「やっぱり行ってみたい!」というその気持ちと乱丸さんの「山は待ってくれるけど、年齢はどんどん逃げていくんやで」と言う言葉に背中を押されて出かけることにしました。

新穂高温泉の駐車場で車中泊です。駐車状況は8割方といったところ。

新穂高センター、いよいよ出発です。



すっかり明るくなって、いいお天気。


ず~とず~と林道を歩き、笠新道の登山口に来ました。
かなりキツイ、といいながら行くんですか?


ほどなくわさび平小屋に着きました。
朝も早く人気はありません。小屋の横にはトマトやリンゴがちょっと寂しそうにプカプカ浮いていました。


いよいよ本格的な登山道の始まりです。







歓迎してくれるかのようなお花たち。


秩父沢出合。



ガラガラ石の登山道をひたすら登ります。長いです、お天気も良くて暑いです。
でも後ろを振り返ると、山並みと色付いた葉っぱが。


シシウドが原。鈴鹿から来られた単独の方と話をしながら休憩。


熊の踊り場で踊る人。
所々にこういうポイントがあって、長い道のりも飽きません。

あと5分というペイントがあったら、あと10分だと思って頑張ってください、とアドバイスをいただき

池に到着。槍だ!! 細かいさざ波があり逆さ槍は見ることができませんでした。


鏡平山荘。ここで軽い食事。神秘的な池と目の前の槍が岳、人気のスポットなんですね、たくさんの登山者で賑わっています。


色付く山肌。


槍に続く尾根、明日あそこを歩くんですか。険しいとかどうかというより、目の前の絶景に心奪われています。


弓も折れるという険しさ? 


延々と続く、まだまだ続く登り。




あ~~ 双六小屋が見えてきた~ その奥にはどんと鷲羽岳も見えます。


着いた~~。 遠かった、今夜のお宿 双六小屋。

小屋で宿泊の手続きをして、荷物を置いて身軽になってさあ!双六岳に行ってみましょう。
下手に休憩してしまうと、腰が上がりませんからすぐ出発です。

と気軽な気持ちで出かけたのはいいのですが・・・結構きついです。


どこが見えているのかな。


いつか行ってみたい方面。


まだか、まだかと、ガラガラ石の道を登り切ると


出ました~ この場所が写真でよく見るところですね。頂上はもうすぐ。


そして振り返ると・・・まるで楽園、天国のようです。


頂上です。360度の大展望・・・







脳みそがとろけそう・・・って誰かがおっしゃいました。

夕方になっても雲が出ることもなく、素晴らしいお天気に恵まれ幸先の良い一日を終えたのでした。
明日はお天気が崩れる予報ですが、この時点ではとても崩れるとは思えません。
明日もこのままお天気が続く事を祈りつつ、小屋に戻ります。


明日歩く道と樅沢岳。

小屋は8人部屋に4人で、ゆったり過ごすことができました。
同室になった方々は楽しい人たちで、いろいろ話は尽きないのですが前夜の睡眠不足と疲れで失礼して先に休ませていただきました。


平成27年9月30日(水)

新穂高センター(5:45)~わさび平小屋(6:55)~小池新道登山口(7:25)~シシウドが原(9:35)~鏡平山荘(10:40)~弓折乗越(12:10)~双六小屋(13:20)
双六小屋(14:20)~双六岳(15:28)~双六小屋(16:35)


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