2058冊目はこの本。
吉田則昭『緒方竹虎とCIA アメリカ公文書が語る保守政治家の実像』(平凡社新書、2012年)
タイトルにひかれて読んだけど、CIAが当時の保守系政治家・緒方竹虎にどう接触していたかという話は、最後の方に少し出てくる程度。その意味では、タイトルと本の内容にかなりかけ離れたところがある感じはした。
ただ、戦前の朝日新聞の敏腕記者だった緒方が、戦時体制下で情報局総裁になり、敗戦後は一時期公職追放にあったあと、再び政界に復帰して自民党の幹部になるまでのプロセスは、ていねいに描かれている。
政界及び新聞界の戦前・戦後の連続性と保守政治のあり方を考える上では、やはり重要な一冊だと思う。
緒方竹虎とCIA アメリカ公文書が語る保守政治家の実像 (平凡社新書)
2057冊目はこの本。
田村秀『自治体崩壊』(イースト新書、2014年)
テーマに関心をもって読んだものの、やっぱり「先々、展望がないなあ」という感じである。
これから先の人口減少社会の到来と、東京一極集中の傾向に何らかの歯止めをかけないと、やっぱり、地方自治体のなかにはコミュニティを維持しきれないところがでるんではないかな・・・。
ということまではみんな漠然と思うのだけど、「では、その傾向に何が有効な歯止め策になるのか?」が、まだ誰もわかっていないのではないか、と、この本を読んであらためて思った。
自治体崩壊 (イースト新書)
2056冊目はこの本。
島沢優子『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実―そして少年は死ぬことに決めた―』(朝日新聞出版、2014年)
2012年の年末に起きた大阪市の桜宮高校バスケットボール部主将の自死事件について、遺族側へのていねいな取材をもとに書かれたと思われる本。
このご遺族と亡くなった子どもがバスケットボールにどのように向き合って暮らしてきたのか。
また、亡くなる直前のお子さんや部活のあり方の問題点など、ていねいに書かれているように思った。
ただ、それだけにこの本を読むとよく見えてきたのだが、スポーツ部活動中における顧問教師の暴力(体罰)・暴言と、これを容認・支持する学校の土壌などを背景にした、いわゆる「指導死」事件としてやはり、このケースはみなければいけないと思う。
とすれば、この本の著者にもう少し「指導死」に関する理解があれば、記述のし方も変わってきたのではないか・・・というところも、なきにしもあらず。
桜宮高校バスケット部体罰事件の真実―そして少年は死ぬことに決めた―
島沢優子『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実―そして少年は死ぬことに決めた―』(朝日新聞出版、2014年)
2012年の年末に起きた大阪市の桜宮高校バスケットボール部主将の自死事件について、遺族側へのていねいな取材をもとに書かれたと思われる本。
このご遺族と亡くなった子どもがバスケットボールにどのように向き合って暮らしてきたのか。
また、亡くなる直前のお子さんや部活のあり方の問題点など、ていねいに書かれているように思った。
ただ、それだけにこの本を読むとよく見えてきたのだが、スポーツ部活動中における顧問教師の暴力(体罰)・暴言と、これを容認・支持する学校の土壌などを背景にした、いわゆる「指導死」事件としてやはり、このケースはみなければいけないと思う。
とすれば、この本の著者にもう少し「指導死」に関する理解があれば、記述のし方も変わってきたのではないか・・・というところも、なきにしもあらず。
桜宮高校バスケット部体罰事件の真実―そして少年は死ぬことに決めた―
2055冊目はこの本。
斎藤貴男『民主主義はいかにして劣化するか』(ベスト新書、2014年)
集団的自衛権容認の方針を打ち出した安倍政権を、国民が嬉々として受け入れているという、この構図。
国民が憲法改正、民主主義の否定の方向へ歩むことを容認している。
だから、この国の民主主義がいかに劣化しているのか・・・というのが、この本の著者のおおまかな主張。
それはそのとおりだと思うし、「そんなことではいかん」とは私も思う。
でも、今、必要とされているのは、その劣化をいかにして食い止め、反転させていく取り組みをどのようにすすめていくのか、ということ。
こうした著者のような現状批判の「その次」に、「具体的にどのような取り組みを、誰が、どのような形で始めるのか?」という、ある種の社会運動論的な話がいったい、いつになったら出てくるのだろうか?
民主主義はいかにして劣化するか (ベスト新書)
斎藤貴男『民主主義はいかにして劣化するか』(ベスト新書、2014年)
集団的自衛権容認の方針を打ち出した安倍政権を、国民が嬉々として受け入れているという、この構図。
国民が憲法改正、民主主義の否定の方向へ歩むことを容認している。
だから、この国の民主主義がいかに劣化しているのか・・・というのが、この本の著者のおおまかな主張。
それはそのとおりだと思うし、「そんなことではいかん」とは私も思う。
でも、今、必要とされているのは、その劣化をいかにして食い止め、反転させていく取り組みをどのようにすすめていくのか、ということ。
こうした著者のような現状批判の「その次」に、「具体的にどのような取り組みを、誰が、どのような形で始めるのか?」という、ある種の社会運動論的な話がいったい、いつになったら出てくるのだろうか?
民主主義はいかにして劣化するか (ベスト新書)
2054冊目はこの本。
竹信三恵子『ピケティ入門 『21世紀の資本』の読み方』(金曜日、2014年)
この本の著者・竹信氏自体の主張(格差社会批判やアベノミクス批判など)は、私も同感。
ただ、タイトルが『ピケティ入門』とあるから、それに期待して読んだ分には、かなりがっかり。
もっともっと、ピケティの著作そのものの解説をしていると思ったのだが・・・。
ピケティ入門 (『21世紀の資本』の読み方)
竹信三恵子『ピケティ入門 『21世紀の資本』の読み方』(金曜日、2014年)
この本の著者・竹信氏自体の主張(格差社会批判やアベノミクス批判など)は、私も同感。
ただ、タイトルが『ピケティ入門』とあるから、それに期待して読んだ分には、かなりがっかり。
もっともっと、ピケティの著作そのものの解説をしていると思ったのだが・・・。
ピケティ入門 (『21世紀の資本』の読み方)
20092053冊目はこの本。
出河雅彦『ルポ医療事故』(朝日新書、2009年)
私は学校事故・事件の事後対応、特に重大事態発生後の調査・検証作業のあり方や被害者家族・遺族救済、支援のあり方に関心を持ってきた。
その関心にひきつけてこの本を読むことができた。
医療現場における死亡事故発生後の事実隠しや真相を明らかにするための遺族の苦闘、医学関係者の調査委員会等による事実究明の苦労等々、学校事故・事件が抱えているのとよく似た構図が医療の現場にもあることがわかる一冊。
ルポ医療事故 (朝日新書)
出河雅彦『ルポ医療事故』(朝日新書、2009年)
私は学校事故・事件の事後対応、特に重大事態発生後の調査・検証作業のあり方や被害者家族・遺族救済、支援のあり方に関心を持ってきた。
その関心にひきつけてこの本を読むことができた。
医療現場における死亡事故発生後の事実隠しや真相を明らかにするための遺族の苦闘、医学関係者の調査委員会等による事実究明の苦労等々、学校事故・事件が抱えているのとよく似た構図が医療の現場にもあることがわかる一冊。
ルポ医療事故 (朝日新書)
2052冊目はこの本。
内藤正典『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』(集英社新書、2014年)
今のIS(いわゆる「イスラム国」)をめぐる情勢に限らず、中東諸国というか、イスラム文化圏で起きている政治・社会情勢を理解するうえで、おそらくいちばんいいコメントをしているのではないか、と思われる一冊。
欧米諸国のイスラム文化圏諸国に対する理解に安易に日本が追従していると、えらいめにあわされる。
そのことの理由が、この本を読むと見えてきます。
イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北 (集英社新書)
内藤正典『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』(集英社新書、2014年)
今のIS(いわゆる「イスラム国」)をめぐる情勢に限らず、中東諸国というか、イスラム文化圏で起きている政治・社会情勢を理解するうえで、おそらくいちばんいいコメントをしているのではないか、と思われる一冊。
欧米諸国のイスラム文化圏諸国に対する理解に安易に日本が追従していると、えらいめにあわされる。
そのことの理由が、この本を読むと見えてきます。
イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北 (集英社新書)