できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「教育機会確保法案」は今の国会では審議されないけど、今後も要注意です。

2016-05-27 21:12:14 | 受験・学校

http://ftk.blog.jp/archives/60560040.html

「不登校対策法案」は今国会の衆議院文部科学委員会で審議されないことになりました

(2016年05月25日 不登校・ひきこもりを考える当事者と親の会 ネットワーク)

上記のブログでていねいに経過報告がなされているとおり、例の「教育機会確保法案」(このブログでは「不登校対策法案」と呼んでいますが)は、今の国会では審議されないことになりました。

ただですねえ・・・。

この法案が5月上旬に衆院に出され、一度、衆院の文部科学委員会での審議を先週17日あたりに見送ったあとも、法案推進派が巻き返しをはかろうと、あるフリースクール関係者の呼びかけに応じて連日、関係する国会議員のところにファックスを送ったりとか、いろんなゆさぶりをかけようとしていたようです。そんな噂話が、私のところにまで届いてきています。

なので、この法案が今国会で審議されないことになったとしても、法案成立を推進したい側は夏の参院選後、秋頃に開かれる臨時国会あたりで、再び何かしかけてくることが予想されます。

ですから、今後もこの法案については、要注意。

法案成立を強く推進する側が秋までの間に何をしかけてくるかをあらかじめ想定しつつ、こちらからブログやSNSなどを活用して、積極的に「こんなもん、いらない」ということを言い続けていく必要があるな、と思いました。

それにしても・・・・。

もはや不登校の子どもたちの「当事者」団体は、法案推進派の側の団体だけとは限りません。

そのことは、この間の法案成立阻止の取り組みのなかで、明確になったことです。

また、今、法案推進派の団体が「子どもの最善の利益」とか「子どもの人権の尊重」を「錦の御旗」のようにして、法案の成立を急ごうとしていますが、同じように「子どもの最善の利益」や「子どもの人権の尊重」という観点から、法案は不要、急いで成立させる必要はないと主張する団体も出てきているわけです。

ですから、従来の法案推進派の側の主張は、この間の法案阻止の取り組みのなかで批判され、相対化されてしまったものでしかありません。

なにしろ、この間の動きのなかで、法案推進派がいう不登校の子どもの「最善の利益」や「人権の尊重」ということだって、そもそも「複数の考え方がある」ということ自体が明確になってしまったわけですから。

だから法案推進派が従来と同じことを主張して、超党派議連というルートを使って法案を通そうとしても、もはや「それって一部の人の声(それも、議員と仲良しの「声の大きい人」の声)を取り上げただけでしょ?」と言われて終わりです。

これから変わらなければならないのは、法案推進派の不登校の問題への認識ではないでしょうか。

「あなたたちだけが、不登校の子どもたちの利益や、その子どもたちの人権の諸課題を論じているわけではない」

このことをあえて、ここで強調しておきたいと思います。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

少なくとも、過去の施策の反省・総括くらいはしてほしいです。

2016-05-27 20:59:47 | 受験・学校

http://www.asahi.com/articles/ASJ5W440QJ5WUTIL01H.html

(「土日は部活の休養日に」 自民議連が中間まとめ 2016年5月27日19時35分 朝日新聞デジタル記事)

あの・・・。

1990年代末の『みんなでつくる運動部活動』という冊子のなかで、文部省(当時)は運動部活動の在り方に関する有識者会議の提言をうけるかたちで、すでに「学期中週2日の休養日確保」とか「土日のどちらかはできるだけ休養日」とか、いろいろ言うているんですけど。

それから、部活動外部指導者の活用、地域スポーツクラブの活用も、この冊子のなかで提案されていますしね。

だから「なにをいまさら言うてるねん?」というような提案でしかないし、「そもそも、それを今まで実現してこなかったのは、あんたら与党の無策のためとちがうんか?」と言いたくなりますね。

あと、事務職員の配置で教員の負担軽減・・・。

あの~。学校事務のセンター化とかいうて、各校配置の事務職員を引き上げていこう・・・なんて施策すすめてきたの、誰ですか? おたくら与党の政策とちがうんですか?

もうそろそろ「自分らの教育改革が無残にも失敗した」ということを認めた上で、「できていないこと、とりあえず遅ればせながら、やらせていただきます」ということくらい、言うたらどないやねん?

・・・と、この記事を読んで思いました。

もうひとつ、ついでに言うておく。

こういう政権与党の動きを受けて、おそらく文科省もそこそこ動くと思うけど・・・。

「なんや、文科省も与党も、最近、ものわかりよくなってきた」と思いはったおたく、「大丈夫でっか、おたく? もうちょっと、しっかりしなはれ」と言いたい。

上記のような歴史的な経過を知っていたら、「今のむちゃくちゃな状態つくった連中が、そのむちゃくちゃな状態つくったことをごまかすために、ちょっとええことしたった・・・くらいな話」でしかないものを、喜んで受け止めてはるわけですからねぇ・・・。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする