8日(月)市議会一般質問で、林業と関連産業の振興の問題について取り上げました。
林業と住宅建築などの関連産業は、鶴岡の貴重な資源である森林を活用した産業として、地域経済振興への効果が大きい重要産業です。
それは本来、百年というスパンで考えなければならない課題ですが、そういう視点を持ちながら、当面の策を考えました。
質問と答弁を3分の1位に要約してご報告します。(全文は後日)
関 林業は元来、「木材生産から、製材、そして木造住宅や木工品としての消費」が循環する中で成り立っている産業。そういう循環を取り戻すことをめざさなければならない。
第一に、ペレットを始めとする木質バイオマス活用を、地球温暖化対策、林業と関連産業振興の必須課題と位置づけて、消費拡大と、それに必要な供給体制確立を市の課題として、総合的な構想も立て、目標と具体策を持って取り組んではどうか。それは、
1、間伐等で発生し、廃棄されている端コロ、端材等を原料として買い取ることによる木材生産現場等での利益、
2つ目に、そのことによる林業活性化
3つ目に、ペレット製造・販売事業での経済効果、
4つ目に、公共施設で使用することによる燃料代低減効果、
5つ目に、こうした先進的事業による地域の活性化効果
6つ目に、地球温暖化対策としての効果、
7つ目に、これらの循環をつくることによって成立する森林と人間生活の循環システムが与える深く広い効果。
地域全体のメリットを俯瞰した構想を立てるといくことが行政の役割。消費拡大も目標を立て、それと合わせて供給体制整備も目標を持って進める。
質問の二つめは、公共施設でのペレットボイラー導入、学校改築など全ての新規施設への設置を図るとともに、既存施設更新時には入れ替えるべく検討をおこなうということ。
市では以前「検討したが、総合的な費用対効果で見送った」経過があるが、市の施策全体として総合的に考えて克服できない課題と考えているのか、検討の現状を聞きたい。
三つめに、民間でのボイラー(ストーブ)設置へも補助制度をもうけてはどうか。
四つ目、地場産材を使い、地元業者を使って建築する住宅への「祝い金」制度を創設してどうか。
これを、自治体が経済的なインセンティブを与えることで、地場産材・地元業者による住宅建築を増やしてやるという施策が祝い金制度。
なお、地場産材の販売を促進していくという意味で、市外への建築にも支給することを合わせて求めたい。
最後に高知県檮原町の例を紹介する。(省略)
農林水産部長答弁 1番目、木質バイオマスの活用は、木市の広大な森林資源を活用、さらに地球温暖化対策としても有効で、間伐材や林地残材などの未利用の木質資源をエネルギー源として活用するなど、木質バイオマスの利活用について、研究、検討を進め、有効活用を図っていきたい。
そのため、スギの間伐材等を原料としたペレットを試作、有効性等、運搬手法とコストなど検証する。このような段階であり、具体的な施策を展開するには至っていない。
2点目の公共施設へのペレットボイラー及びペレットストーブの導入について。
これまでも公共施設の整備の際にペレットボイラー導入の検討はしたものの採用には至っていないという経過。
今後、木質ペレットの活用を推進していくためにも、公共施設への導入は重要なことと認識、モデル的な導入について検討したい。
2番目、「祝い金」制度の提案だが、合併前の温海町で実施していたが、近年、利用者がすくなくなり、個効果が薄いということで、昨年度限りで廃止をした。
このような経過があるので制度を創設することは考えていない。
なお、森林環境循環システムを構築していくには、地域材の利用の拡大を図っていくことが重要と認識、公共建築物への地域産木材の利用を積極的に進めるとともに、山林所有者に利益が還元されるよう木材の分離発注など。
また、森林所有者、製材業者、設計事務所、工務店等により組織する「庄内の森から始まる家づくりネットワーク鶴岡・田川」で、シンポジウムや家づくりツアーの開催、農水まつりでの広報活動等、地域材を使った家づくりの推進に取り組んでいる。当地域の木材を使って首都圏で住宅を建築するためのセミナーも東京で開催する予定であり期待している。
一般住宅での地減産材及び地元業者による建築促進は、林業及び住宅関連産業の活性化を図る上で重要な課題と認識しており、さらに利用拡大に向けて努力したい。
関 最初に、祝い金制度の問題について。
田川建設労働組合という団体が、「住宅関係融資・利子補給・補助金制度」を創設することを求めて自治体に申し入れ。
この団体の見解は、「利子補給制度は10万、20万程度では、施主が利用しようという心理が働かない。補助金制度が消費者性向を刺激して住宅需要の喚起に繋がる(概略)」。
長年鶴岡で住宅建築に関わる運動、不況の最中で苦闘されている方々の提言として貴重。
それから、「庄内の森から始まる家づくりネットワーク鶴岡田川」の関係者の一人も、「祝い金というのは、家を建てようという人に直接アピールして、効果があるのではないか」と期待。
今年創設した庄内町では、大いに地域経済を刺激する大いに効果を上げているという。
関係者の声に耳を傾けて、検討をするということでよろしいか
市外に建築する場合について。
庄内温海材などは、全国的にも高い評価を得ていて、関係者は県外販売に意欲。
家づくりネットワークでも、鶴岡の木を都会に売り出すキャンペーン。
市外への建築の場合も、そういう関係者の声に基づいて検討するということで宜しいか。
温海森林組合
部長 田川建労さんは、色んな形でご意見を聞いている。特に地元の業者を育てる活動で敬意を表している。
住宅建設の13-18%が木材であり、そこに祝い金を出すと、全体のバランスとして適切かという判断がある。そういう点で全体の効果は別としてもなかなか難しいものがある。
ただ、意見を聞きながら、色んな形で促進する方法は検討していきたい。
関 従来の補助金とはバランスも少し違うが、林業自体が事業の7,8割を国や自治体の補助金で充当していくという構造になっているということも頭におきながら要望しておきたい。
ペレットの件、市としての位置づけについては改めて確認した。多面的なメリットを、行政全体としてしっかり考察して計画を立てていただきたい。
ボイラーの検討は、どのぐらいのところまで見積もりを立てたのか。
部長 ペレットも一定の木材利用、二酸化炭素吸収源も必要であり、前向きに検討していきたい。
関 市として総合的な施策の中でつくっていただくことをお願いしたい。
住宅の方について、消費者の要望に応えたものにしていくための工夫も、関係者の皆さんと協力して進めていただきたい。
最後になるが、林業や関連産業の困難の根底には、長年に渡って外材依存で、中山間地の農業の荒廃も生んできた政治。
自治体としては、地域経済の振興にあたって「地域の資源を活かして、地域にお金を回す」ということを一番重視する必要がある。そのことを申し上げて質問を終わる。
温海杉の角材