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横浜焼売(シウマイ)物語2025

ハマっ子のソウルフードは崎陽軒のシウマイ。漫画書き柴犬溺愛落語らぶ晴れ時々ランニング、更新随時

河北新報の一番長い日

2011-12-20 | BOOKS & DISCS


今から約5ヶ月前、横浜駅東口の地下の小さなイベントスペースで、ある写真展が開かれました。



恥ずかしい話ですが、『河北新報』という地方新聞社の名前を知ったのは、この震災の直後です。震災の翌日に朝刊を発行、一部は無料で配布したというニュースきいた時、全身鳥肌が立ちました。
何故,そんなことができたのか。

新聞協定(緊急時の新聞発行相互協定)という耳慣れない言葉も、ここで知りました。
これがなければ、創刊以来1日も欠かす事なく発行し続れた『河北新報』は震災当日と翌日休刊を余儀なくされたでしょう。

未曾有の災害だから、と、言い訳も立派に立ったはずです。
しかし、それを許さなかった、許せなかった人たちが確かにそこにいたのです。
ですが彼らもまた被災者でした。
当時の現場の葛藤、混乱はこの3ヶ月後、一冊の本にまとめらました。

河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙
河北新報社 単行本: 272ページ
文藝春秋


この本の最後で、河北新報社は問いかけています。
地元紙とは、報道とは何か?




このイベントの写真パネルとは別のコーナーにひっそりと百科事典ほどの厚さの冊子が置かれていました。
河北新報が震災直後から一ヶ月の間に発行した朝刊と夕刊の縮刷です。
ずしりとした表紙を開くと、次々に記事が飛び込んできます。
写真というより、その当時の緊迫した息づかいのようなものが、紙面からダイレクトに伝わってきました。
重い重い冊子でした。

年末です。
挨拶の最後に「良いお年を!」ときかれるようになりました。
今年は間もなく終わりますが、今春の震災が起こした現象までが終わるわけではありません。
忘れようとするのではなく、なんとか後世に伝えようとする動きに、希望を託したいと思っています。


合わせて再読。

三陸海岸大津波 (文春文庫)
吉村昭 文庫: 191ページ
文藝春秋


奇しくもこの二冊、どちらも文芸春秋社発行でした!!