柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

死後の顔が綺麗 エンバーミング

2008年12月20日 | ご遺体のケア
人は亡くなると、1時間後から腐敗が始まってきます。
悲しいけれど、どうしようもありません。

日本では、遺体にドライアイスを施すのが通常です。
ドライアイスは10kを目安に使用します。
すごい量でしょう。
冷たいし、重いし。
家族が見れば、可哀想に感じます。

もっと、優しい遺体の防腐処置はないのでしょうか?

あるんです。

エンバーミングという方法があります。

この方法は、遺体の血液を取り出し
防腐剤を体内に入れる方法です。

解かり易く言えば、人工透析と同じ方法です。

エンバーミングの良さは、その後、何の処置もいらないことです。
ドライアイスを施すことなく、そのままの状態で3週間は大丈夫です。
そして、何より遺体からの感染症をなくします。
(実は、遺体には危険な感染症の危険があるのです。遺体を扱う葬儀社にとって
この問題は大きな問題なのです)

エンバーミングは日本では必要ないのではないか?
と、言われてました。
日本は死後2~3日くらいで火葬してしまうからです。

わざわざ、エンバーミングする時間も費用も無駄。
そう考えられていました。

しかし、日本でも最近この技術を教える学校ができました。
2年間しっかり講義、技術を学びます。
そして、すでにエンバーミングを多くの故人が受けています。

エンバーミングの第1人者の橋爪謙一郎先生と
先日、お目にかかってきました。

橋爪先生とはもう10年近いお付き合いになります。
私が葬儀の世界に入って、一番最初に教えを頂いた先生です。

エンバーミングは防腐、感染症を防ぐだけでなく
やつれた故人を生前の面影に修復したり
事故などで対面できない状態を修復します。
そして、死顔から生きているような顔にする化粧をします。

「この技術はひとつの目的の為にある」と先生は言われました。

「全て、遺族の心を癒せる優しい別れの時間を作る為に
エンバーミングはある」と力説されました。

交通事故で愛娘を亡くしたご両親は
最期の悲惨な様子を見ています。
綺麗にエンバーミングされて戻ってきた娘を
葬式の間中、抱きしめてさすっていたそうです。

子供らしい安らかな顔にするために化粧をしていますが
ご両親が顔に触れるので、時間と共に化粧が落ちてくるそうです。
先生のスタッフは、出棺の前に綺麗に化粧の手直しをするそうです。

もし、事故のままの状態なら、棺の蓋は開けられることはないと思う。
しかし両親の頭には、事故の子供のイメージが残ってしまうでしょう


傷ついた故人だけじゃなく、亡くなる前の「その人らしい」面影で
別れられるのは、遺族にとって救いになると思います。

以前、タレントの吉村真理さんがお母さんにエンバーミングをした事を話していました。
「私達子供は、家族だけでそっと母を送ることにした。葬儀にお金はかけなかったけど、母へのプレゼントとしてエンバーミングをしました。
そこには、生前のおしゃれで綺麗な母がいました」