先日の総務常任委員会でアツくなったシリーズも一旦、今日が最終回。
ネタは「西宮市 新型コロナウイルス感染症 対応検証報告書」についてですよ。
なお、その目的は「今後の新たなパンデミックに備えて、本市の対策改善の手掛かりとするために、今回の新型コロナウイルス感染症への対応を通じて得た知見や経験を整理する」ことだそうです。
その上で、様々な項目について評価を下し、「必要なものについては、今後、取組みを講じる!」と。
でも、その内容に、甚だ違和感が強いんですよね。
例えば、コロナの感染が広がり始めてから間もない時期の臨時休校。
本市では、臨時休校の延長に関連して、市の方針が二転三転しました。
加えて、その内容に関して、
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●市としての公式発表がなされていない段階で、市長が自身のSNSで広報
●ミマモルメで誤った情報を配信
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等、様々な不手際が重なり、学校・保護者の間で大きな混乱が起こりました。
ところが、このことには一切触れられていないんですよね。
「特に混乱が生じることなく臨時休業を実施できた」って、いやいや本気ですか…と。
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【ご参照】
【続報15】急転直下・学校の臨時休校が延長されます!&公共施設も5/10まで閉鎖期間が延長されることになりました。@2020年4月のブログ
またワクチン接種についても、
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●受付方法の整理
●接種可能な個人病院の広報
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等、様々な要因によって大きな混乱が起こりました。
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【ご参照】
「かかりつけの患者さんしか接種しない病院を示すと、それ以外の病院に高齢者が殺到する。だから隠しましょう!」って明らかにおかしいでしょ…@新型コロナウイルスワクチンの話 @2021年5月のブログ
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ところが、これについても報告書では「市民や医療機関に多大な不安と混乱を招くこととなった」という事実が述べられているだけ。
今後の取組みが必要な箇所には、下線が引かれることになっているのですが、ひかれてないんですよね。
いや、これこそ、「今後の新たなパンデミックに備え」るためには絶対避けられない、超重要マターだと思うんですが…
また他市では、あたたかい調理された給食が提供される中、本市で、おかずとして提供されたのはポールウインナーだけだった...という、いわゆる(?)ポールウインナー事件。
これについても簡易給食を提供した事実は記載されているものの、下線はひかれていません。
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【ご参照】
簡易給食にポールウインナー2本が追加されることになりました... 笑い話みたいやけど、これが今の西宮市政の現実なんでしょうね。。。@2020年7月のブログ
それ以外にも、HPに記載されている内容と、実際の運用が異なった…という問題。
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【ご参照】
・今の西宮にはプリンシプル(by白洲次郎)が足りない! ~安井小学校は明日から再開されることになりましたが…@2020年7月のブログ
・重要なのは、方針を明確化して示すこと。教育委員会がコロナ感染者が確認された際の対応指針を明確化し、示したことを評価します!@2020年12月のブログ
当初は保健所が全件行っていた疫学調査が、いつの間にか学校・教育委員会が担うようになり、それが公表されていなかった等、きちんとした方針がどこにも説明されないまま、なし崩しで運用が変わっていった…という問題。
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【ご参照】
・重要なのは、方針を明確化して示すこと。教育委員会がコロナ感染者が確認された際の対応指針を明確化し、示したことを評価します!@2020年12月のブログ
・保健所は、学校園・保育所等での濃厚接触者判定を行っていません。ご存知の方もいらっしゃると思いますが…@2022年2月のブログ
効果がほとんど見られなかったうえ、経費率が異様に高かった「コロナワクチン接種促進のため、若者にコーヒー券を配ります!」という事業がコロナの感染拡大に伴い、著しく業務状況が逼迫している中で実施された…という問題。
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【ご参照】
280万円分のコーヒー券&景品を配るのに250万円かかるってどうゆうこと? なんでこんなことばっかり、したがるんですかね…@2021年12月のブログ
他にも、市職員が感染した場合、ある時期までは全件広報されていたが、いつの間にか「市の業務継続に影響を与える場合のみ発表」に変更されていた、という話など、いや、これについて検証とか反省とか必要ないわけ???と思う話は、枚挙にいとまがありません。
「対策改善の手掛かりとする」のが目的なら、重要なのは、まず問題になった事案を抽出すること。
その次に、そうなった原因・課題・背景といったところを洗い出すこと。
その上で、再発防止策を講じること。
こういった一連の流れが重要だと思っています。
そう考えるなら、それこそ情報発信について、さらっと考えただけでも、上にリンク先として複数挙げたトホホな話から
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●どこで、誰が、どのように意思決定するのか?
●決定した内容をどのような形で広報するのか?
●その内容について事前に関係者と情報共有が必要ではないのか?
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等等、山ほどある課題を拾い上げ、それぞれについて丹念に精査していく過程が絶対に必要だと思うわけで。
てなことをつらつらと考えていたもので、久しぶりに、この分野の名著中の名著「失敗の本質」をサラッと読み直しちゃいましたよ。
関係部署のトップにも「よければ参考に…」ということでお渡しし、「今、読んでいます!」という話を頂きました。
ご参考になるなら、嬉しい限り。
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ちなみに課題の抽出という意味では、同じ会派のたかの議員が当時、問題となっていた話を丁寧に拾い上げ
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●情報発信
●事務事業のあり方と人員体制
●簡易給食
●オンライン教育
●積極的疫学調査
●ワクチン初回接種予約
●ワクチン接種促進事業
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という形で整理して、一般質問で配布した際の資料なんかは分かりやすかったな…と思っています。
興味おありの筋には是非どうぞ。
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たかのしん一般質問資料@2022年3月議会
閑話休題。
振り返れば、コロナの初期段階だった2021年7月に「保健所業務を中心に、新型コロナウイルス感染症(第4波迄)の対応検証報告書を作りました!」という話がありました。
その際、私は
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●保健所だけで検証しても意味がない。むしろ市全体の対応について検証するべき!
●意思決定過程や、組織の動き方、広報の進め方をこそ検証するべき!
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と主張していました。
そういう意味で今回、全市的な検証がなされようとしていること自体は良かったと思っています。
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【ご参照】
むしろこれまでの市の対応全体をこそ検証するべきでは?保健所の対応策だけを示しても、意味がないと思うのですが…+α。@2021年7月のブログ
また当時の市の逼迫した状況も一定理解しています。
加えて、当時は明らかになっておらず、今になったからこそわかる疫学的知見に立った考え方を、後出しジャンケン的にぶつけるのも違うと思っています。
でも組織の真価は、緊急事態においてこそ明らかになるもの。
そういう意味で、コロナ下で発生した問題を明らかにし、それを正すこと。
それこそが西宮市役所を、より強く、しなやかで、様々な課題に柔軟かつ円滑に対応できる組織に変えていくために、とても重要なことだと思っています。
そうした観点からも、引き続き、今後の推移を見守ってまいります。
それでは今日のブログは、これにて失礼いたします。