lurking place

ニッポンのゆる~い日常

【産経抄】  

2011-02-10 16:01:19 | Weblog
【産経抄】  2月10日


http://sankei.jp.msn.com/world/news/110210/erp11021002590002-n1.htm



 ロシアの動きは、相変わらず素早い。タス通信によると、北方領土の日の7日、東京の在日ロシア大使館前で、右翼の活動家がロシア国旗を引き裂いた。ロシア外務省は翌日、日本大使館の井出敬二公使を呼び、当局が犯人を処罰するよう要求する。


 ▼同じく7日、菅直人首相は、「許し難い暴挙だ」と、メドベージェフ大統領の国後島訪問を批判した。この発言に対するロシア側のいら立ちが、背景にあるのは言うまでもない。ただせっかくの首相の勇ましい弁舌も、鳩山由紀夫前首相が講演で、北方領土の2島先行返還論に言及した直後とあっては、効果も半減だ。


 ▼前原誠司外相のロシア訪問を前に、出はなをくじく外交戦術でもあろう。そうした政治的な思惑を差し引いても、国旗の侮辱に対して強い姿勢で臨むのは、国際社会では当然といえる。


 ▼これまで日の丸は、中国や韓国で何度も燃やされ、切り裂かれてきた。そうした行為に対して、日本政府は弱腰でありすぎた。いや政府の責任だけではない。公立学校の入学、卒業式で、国旗に対して起立しない教師の姿がみられる、世界でも珍しい国である。


 ▼教育委員会や校長が国旗、国歌に敬意を示すよう求めると、「憲法違反」だと抗弁する。先月東京高裁は、さすがにそんな非常識を認めない判決を下した。原告の東京都の教職員たちは、きのう上告した。救いは、こんな先生ばかりではないことだ。


 ▼栃木県内のある公立学校では、毎朝、掲揚塔に国旗を掲げるのはもちろん、全教室でも常時掲揚している。地区最悪といわれた学校を立て直した校長から送られてきた、改革の記録で知った。校長の要望で、学校名を公表できないのが残念だが。

2011.2.10 02:59











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中露の嘘を逆利用

2011-02-10 15:58:31 | 日本
【櫻井よしこ 菅首相に申す】  中露の嘘を逆利用


http://sankei.jp.msn.com/world/news/110210/erp11021004080003-n1.htm



 1956年、鳩山一郎らを相手に北方領土交渉をしたフルシチョフ・ソ連最高会議幹部は、領土問題をこう語っている。

 「ロシアの力が弱くて自分の領土を守ることができなかったとき、日本の帝国主義者が力ずくでこれらの島を奪い取った」

 にもかかわらず、ソ連指導部が「(歯舞、色丹の)小さな島を与えることに同意すべきだという結論に達した」のは、「島と引き換えに、日本国民から勝ち取る友好関係はきわめて大き」いと判断したからだ(『フルシチョフ 封印されていた証言』草思社)。

 フルシチョフの北方領土に関する認識は噴飯(ふんぱん)ものだが、彼は「戦争で粉砕されたにもかかわらず、また原材料を持たないにもかかわらず、このように大きな発展を遂げた」日本に「一抹の悔しさ」を抱くと語るほどに、日本の産業と技術を絶賛していた。それを心の底から渇望していた(同)。対日交渉に応じたのは、日本を米中に接近させず、ソ連側に取り込むためだったとも語っている。

 一方、1979年、中国はソ連への警戒感から日本に軍事費をGNPの2%程度まで増やすよう求めた。トウ小平は日本に北方領土奪還を勧め、中国は手助けする旨、語っている。


 だがいまや、中露は対日政策を大きく変え、第二次大戦で日本を敵として共闘したとの立場に立つ。昨年9月27日の対日戦勝65周年に関する共同声明では「歴史の歪曲(わいきょく)」や「大戦の結果の見直し」は許さないとして、彼ら自身の歴史の捏造(ねつぞう)を正当化した。1945年、日ソ中立条約を一方的に破棄して満州を軍事侵略し、日本兵60万人余を強制抑留し、北方領土を奪うに至ったソ連の蛮行を、中露共同声明は「中国東北戦線解放」と呼ぶのである。


 唾棄(だき)すべき一連の捏造を中露が臆面もなく宣言した背景に、菅直人首相の無気力外交がある。尖閣諸島沖の日本の領海を侵犯した中国人船長を、無条件即時釈放せよと要求した温家宝首相の恫喝(どうかつ)に、菅、仙谷由人両氏が屈した姿を見て、中露は、今の日本なら、北方領土も東シナ海も尖閣も取れると確信したのだ。


 では、いま、どう対処すべきか。まず首相自身、落ち着いて考えよ。問題整理せよ。中露が一体となって、日本の主権と国益を脅かす構図を作ったことを認識し、両国の嘘を逆利用せよ。彼らの道義なき言辞を内外に明らかにする世論戦を展開するのだ。世論戦は、中国の得意技で、自国の主張を嘘でも捏造でも構わずに広める教育、広報活動である。日本は中露のように嘘をつく必要はない。ただ、嘘に打ち負かされない気力で、歴史の真実を広めればよい。

 そのうえで次の策を考えるのだ。一体、ロシアにどんな将来展望があり、北方領土に起き得る事象は何かを分析するのだ。



                          ◇



 ロシアが大国として再生するのは極めて難しい。日本の45倍の国土に住む1億4千万余の人口はすでに減少し始めた。平均寿命は男性58・9歳、女性72・5歳(2006年)で伸び悩む。国土の約3分の1を占める極東ロシアの人口減はさらに著しく、現在、わずか700万の人口が2015年には450万に減る見込みだ。

 対照的に、国境の南側に広がる旧満州(遼寧省、吉林省、黒龍江省)には1億人以上の中国人が住む。彼らが労働力として極東ロシアに流入するにつれてすさまじい中国化現象が起きている。今後、さらに顕著になっていくこの現象は、両国関係に必ず負の影響を与えるだろう。中露の対日協調路線は崩れると考えてよいだろう。

 極東で勢いを盛り返せないロシアは、北方領土においても同様だと見てよい。彼らはいま、北方領土に中国や韓国の資本を呼び込み、中国人や韓国人労働者を入れようとしているが、結局それは、極東ロシアが中国化するのと同じ結果をもたらしかねず、メドベージェフ大統領やプーチン首相の夢見るロシア繁栄が担保できるとは思えない。だから日本は冷静にその行く末を見ておけばよい。


 だが、黙って見ていてはならない。日本国の領土を不法占拠し続け、第三国の経済力や労働力導入で既成事実を積み重ねるのを傍観してはならない。前述の世論戦を常に実行し、ロシア政府に厳重に警告し続けながら、北方領土に資本投下したり技術協力する第三国の企業を日本市場に入れない、あるいは日本の企業との取引を制限、または禁止することなどを考えるのだ。フルシチョフ以来ロシアが渇望してきた日本の技術などは、決して渡してはならない。ここで明確に、国家意志を示すことが、ロシアだけでなく、東シナ海や尖閣諸島を虎視眈々(たんたん)と狙う中国への強い意思表示となる。

 菅首相は、昨年秋、中国に膝を屈したことが直接の引き金となって、日本外交最悪の危機が生まれた責任を痛感し、いま打つべき手を打って挽回を試みよ。

 だが、所詮、菅首相には、中露相手にこんな大仕事はとてもできないだろう。国益を損ねるばかりの首相の実態はすでにほぼすべての国民が知るところだ。にもかかわらず、氏に替わる政治家が出てこないのが民主党の限界である。国民の政治に対する絶望感は首相一人の無能への絶望を通り越して、民主党全体への不信から生まれていることを、民主党は認識しなければならない。

2011.2.10 04:08


















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日本はどうなるのかと問われて

2011-02-10 09:06:12 | 正論より
2月10日付       産経新聞【正論】より



日本はどうなるのかと問われて     元駐タイ大使・岡崎久彦氏



http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110210/plc11021003010001-n1.htm




 昨年、私は不思議な経験をした。

 道を歩いていると、知らない人がツカツカと歩み寄って、「日本はどうなるのでしょうか」と問いかけてきた。それも、一度ならず三度もあった。

 恐らく、前なら、「どこか新聞で見た顔だな」と思いながら、黙って通り過ぎて行った人たちなのであろう。それが、抑えきれない不安感を訴えてきたのである。

 不思議なのは、三度とも、昨秋の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件や北朝鮮による韓国砲撃という、誰の目にも明らかな脅威が見えて来る前の昨春だったことである。その時点で日本国民は日本の前途に深い不安を抱いたのである。

 そのころのことなどは、いずれ人々の記憶から消えてしまうと思う。また覚えている必要もないかもしれない。ただ、あまりにも異常な経験だったので、それがどういうことだったのか、考えて分析しておきたいと思うのである。

 当時は、鳩山由紀夫政権が普天間飛行場の移設問題で迷走していた。鳩山首相がオバマ米大統領に「トラスト・ミー」と言った直後に信頼を裏切る発言をし、それを釈明しようとしても大統領が会ってくれない。やっと、食事の際にヒラリー・クリントン国務長官の隣席に座って、意思が疎通したと新聞に漏らすと、クリントン長官はわざわざ日本の大使を招致して私は何も了承していない、と伝えたりしたころのことだった。




 ≪鳩山政権で崩れた国民の信頼≫


 国民は政府がちゃんと機能していないと思うと不安になるのである。何のかのいっても日本人ほど政府を信頼している国民はない。

 かつて韓国の哲人、兪鎮午氏は私に語ってくれた。「植民地時代日本人は韓国人には愛国心がないと軽蔑したが、韓国人にも愛国心はある。ただ、韓国人は歴史の中で政府の恩恵を受けた記憶が少ない。それに反して日本人はいざという時は政府と国民が愛国心で結束する。愛国心の表れ方が違うのだ。違うということと、善しあしということは別のことだ」と。

 欧州でも中国、韓国でも、個人はいざという場合に持って逃げる貴金属や宝石は所有している。日本人はその点、全くノーテンキで、有り金を全部銀行か郵便局に預けて安心しきっている。国家、社会を信用しているのである。

 また、官僚に対する悪口は言いたい放題であるが、それでも、政治は時として乱れても、行政は国民の利益を守ってくれると思っていた。それが、官僚バッシングを目の当たりにして、せめて行政組織だけは頼りになるという安心感も持てなくなったのである。

 そして、口では対米追随などと批判しても、最後には米国が日本を守ってくれると思っていた。

 それが、鳩山政権の時に、全て崩れてしまったのである。

 この経験を他人に話しているうちに、これが初めてではないという記憶が脳裏をよぎった。




 ≪戦争末期、二・二六にも似て≫


 私の記憶に、昭和20年という年がある。それまで、国民は緒戦の勝利に酔っていた。ところが、日本爆撃が始まって被災者は巷(ちまた)にあふれ食料も乏しくなってきた。その時、誰もが口にした言葉が、「日本はどうなってしまうのでしょうか」だったことを覚えている。

 政府は戦況を隠していたが、政府が言うことと現実との間の乖離(かいり)は国民の目に明らかになった。日本人が政府への信頼を失ったもう一つの時期だったのである。

 さらに遡(さかのぼ)れば二・二六事件がある。6歳だった私も当時のことはよく覚えている。大人たちは見通しのない将来に戦(おのの)いていた。

 明治維新から数えて百年たったころ、老人たちに人生で何が一番のショックだったかを訊(き)いたところ、日露戦争も大震災も大恐慌も敗戦も経験している彼らが挙げたのは、二・二六事件だった。戦争も敗戦もいかに辛くても政府と国民は一体だった。しかし、日本近代史で唯一のクーデター、二・二六事件の時は、国民は頼るべき政府を失ったと感じたのである。

 幸い、こうした国民の心配ももう過去のことになりつつある。




 ≪集団的自衛権容認で安心を≫


 その後、中国、北朝鮮の挑発があったこともあり、鳩山政権時代とは雰囲気が一変している。菅直人政権は日米同盟基軸を高らかに謳(うた)い上げ、米国もこれに応じている。防衛省が南西諸島防衛を言っても、米韓演習にオブザーバーを派遣しても、どこからも反論の出ない雰囲気となった。官僚たたきももう前のようなことはない。

 これは日本民族の英知だと思う。国民感情はここまで来ている。改革のためには与謝野馨氏まで迎え入れた度胸のある菅内閣ではないか。この際、過去の行きがかりなど離れて、来(きた)る日米首脳会談で集団的自衛権の行使と武器輸出三原則の見直しを宣言し、日米同盟をより強固にして国民の不安感を悉(ことごと)く払拭してほしい。

 日本の防衛費負担が少なすぎることは今後とも、日米同盟強化の障害ではあろうが、当面、この経費不要の措置だけでも、同盟を抜本的に強化し、国民に深い安心感を与えることができる。(おかざき ひさひこ)














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