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ニッポンのゆる~い日常

公約通り公務員給与2割削減を

2011-06-01 10:00:23 | 正論より
6月1日付     産経新聞【正論】より


公約通り公務員給与2割削減を   評論家・屋山太郎氏


http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110601/plc11060102500001-n1.htm



 ≪財源なしでもやれる公約実現≫ 
 

 菅直人首相は福島第1原発の事故に紛れて、いたずらに政権を長引かせている。菅政権の使命は、2009年衆院選で打ち出したマニフェスト(政権公約)を実行することだった。国民も、民主党の「天下り根絶」と社会政策を充実させるための諸公約に期待した。ところが、現実には天下りは野放し状態である。社会政策は、子ども手当にしろ高速道路の無料化にしろ財源の裏打ちが全くないことが判明した。東日本大震災の復興費調達の大義名分の下、公約取り下げが相次いでいるが、財源なしでもやれる大きな政策がある。


 それは、「公務員給与の2割削減」である。片山善博総務相は、「11年から13年まで公務員給与を1割削減する方針」を国家公務員の2つの組合に申し入れ、連合系組合の了承を引き出した。1割削減の次にもう1割削減が続けば、公約実現ということになるが、公務員給与の問題は実は給与削減だけで終わる話ではない。公務員制度の抜本改革に結び付けなければ、官僚の宿弊は解消できない。

 東京電力への経済産業省官僚の天下りが奇っ怪な監督官庁と業界の癒着を生み出し、国家の信用を失墜させた。原子力ムラの癒着体質は他の天下り問題と同根だと知るべきだ。給与削減も公務員制度の改革も天下りと同一線上の問題として捉えなければならない。

 民主党は、給与削減を盛り込んだ給与法改正とともに、(1)人事院に代わる公務員庁の設置(2)労働協約締結権の付与(3)内閣人事局の設置-など国家公務員法にかかわる一連の改正案を国会に提出する予定である。しかし、これらの改正はいずれも、抜本的な公務員制度改正に結び付くものではない。





 ≪制度の抜本改正につなげよ≫


 公務員賃金は1948年以来、「スト権、労働協約締結権を禁止する代わりに、人事院が賃金を決定する」方式で定められてきた。人事院は、従業員50人以上の民間企業7千事業所の賃金を調査し、その平均額を「人事院勧告」(人勧)として発表、政府はそれを受けて毎年、国家公務員の賃金を決める。俗に“民間準拠”といわれるやり方だ。優良企業を賃金の基礎とするから、国家公務員の給与が全民間労働者の平均よりはるかに高く設定されるのは当然だ。


 一方、地方公務員は、県も市町村も自治体ごとに設けられた人事委員会が、地場企業を調査して平均賃金を出す仕組みになっているが、これを実施している自治体はほとんどない。国家公務員の人勧に準じて横並びで給与を決めている。東京と鳥取では生活費や賃金に差が出るのは当たり前で、片山総務相は鳥取県知事時代、県の給与を切り下げたことがあるが、こんなケースはごくまれである。

 むしろ、裏で特殊手当などを付けるから、地方公務員の方が国家公務員よりも高額給与になっているのが実態だ。給与に準じて年金も上がるから、年金額は地方公務員が最高で、国家公務員よりも月に2万円ほど多い。民間は常にその下だから、日本はまさに公務員天国なのである。その天国を担保しているのが人勧制度なのだ。

 したがって、1割削減とともに人勧制度を廃止し、国は省ごと、地方は自治体ごとに当事者と賃金交渉をして決めるべきなのだ。現に全先進国が当事者と組合との交渉で賃金を決めている。かつて総評(後の連合)はスト権を寄こせという「スト権スト」を打ち、全国の列車を8日間も止めたことがある。いま連合はなぜスト権を寄こせと言わないのか。人勧制度により高賃金、公務員天国が保障されているからにほかならない。





 ≪名前変えた「人勧」はペテン≫


 給与の1割削減には応じるが、人勧制度をいじってほしくない。この連合の思惑に応じ、民主党は人事院を廃止し、「公務員庁を設置」する詐術を編み出した。公務員庁が民間準拠の賃金を発表すれば、従来の人勧制度が名前を変えて、そのまま存続するわけだ。

 世間の常識では、こういうのをペテンという。1割削減で浮くカネは3千億円弱にすぎない。未曽有の国難だから、この3千億円を寄付はするものの、改革には全く手を付けない、ということだ。


 自民党政権の末期、公務員制度改革は、(イ)年金をもらうまで定年を延長する(ロ)その代わり、幹部に限って、人事評価を行う「内閣人事局」を設置し、昇給、降格、給与の査定を行う-ことになっていた。この改革を主導したのは、安倍晋三首相と渡辺喜美行革担当相(現「みんなの党」代表)である。関連法案は次の福田康夫首相の時に成立したが、後継の麻生太郎政権にかけて骨抜きにされた。怒った渡辺氏は党を出た。


 脱官僚、天下り根絶を叫ぶ民主党政権になれば、改革は進むと期待した。が、公務員制度の改革を嫌う連合と人事院制度の存続を願う官僚が結託、実質は全く変えず3千億円の目くらましで国民を騙そうという。これが民主党政治の実態か。党内にはなお天下り根絶や人勧制度の廃止を叫ぶ勢力が残っているが、民主党ではもはや改革を実現する力はないだろう。(ややま たろう)











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国歌起立判決 「合憲」機に指導の徹底を

2011-06-01 09:54:34 | 日本
国歌起立判決 「合憲」機に指導の徹底を


http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110601/trl11060102520000-n1.htm


 卒業式の国歌斉唱の際、東京都教育委員会の通達に基づき教職員に起立斉唱を命じた校長の職務命令について、最高裁が「思想、良心を直ちに制約するものではない」などとし、合憲の初判断を示した。

 同様の訴訟は各地の裁判所で争われているが、最高裁判決として決着した意義は大きい。教育現場の正常化の大きな一歩と評価したい。


 提訴したのは都立高校の元教諭で、平成16年春の卒業式に起立しなかったため戒告処分を受けた。これがもとで退職後の再雇用が認められず、都に損害賠償を求めていた。

 都教委は15年秋から、教職員に対し、卒業式や入学式の国歌斉唱で国旗に向かって起立して斉唱するよう通達し、校長が職務命令を出している。しかし従わずに懲戒処分などを受け、処分取り消しなどを求める訴訟が20件以上、係争中だという。


 不起立の教師側は「思想、良心の自由を保障した憲法19条に反する」などと主張している。これに対し19年、国歌斉唱のピアノ伴奏を命じた校長の職務命令を合憲とする最高裁判決が出ていた。今回は起立命令についても、合憲と判断された。

 節目となる行事の国歌斉唱で、教師が座ったままの光景は保護者や生徒にどう映るか。こうした教師の行為は個人の政治的主張や感情を生徒らに押しつけるもので、教育の場では許されない。


 今回の判決では、「国旗・国歌が強制的にではなく、自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが何よりも重要」という補足意見もあった。だが自然に敬うことを妨げる教師がいるからこそ、職務命令は出されている。補足意見を盾に「強制はいけない」と主張するなら筋違いだ。


 学校現場ではこれまでにも、国旗掲揚や国歌斉唱に反対する一部教師に対し、校長らが苦労を重ねてきた。11年には広島県の校長が自殺する痛ましい事件が起き、これを契機に「国旗国歌法」が制定された。


 大阪府では、国歌斉唱で教職員の起立を求める条例案も府議会で提案されている。国旗、国歌に敬意を払う国際的な礼儀を守らず、「憲法違反」だと言いつのる教師こそ問題なのである。教委は「合憲」判決を機に、改めて指導を徹底してもらいたい。

2011.6.1 02:52












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