二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

「ウォーキングのすすめ」 平成24年2月 東洋医学研究所コラム

2012年02月18日 | 東洋医学研究所 コラム
東洋医学研究所のコラムが更新されました

 『ウォーキングのすすめ』 

      二葉鍼灸療院 院長  河瀬美之 先生(名古屋市港区)

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2月の担当は疼痛疾患に対する鍼治療を研究されている河瀬先生です。

今月のお題は、ウォーキングです。歩くことです。コラムの内容は、最新の運動に関する研究を紹介しながら、「痛みの改善」「脂質代謝(脂肪を燃やすこと)」「心肺機能の改善」「生活習慣病の改善」「脳の活性化」「具体的な運動方法」などになっています。

ウォーキングにしろ、ランニングにしろ、今、運動が注目されています… でも、運動ってなぜ注目されるかというと、簡単に言うと運動しないからです。もともと人間も動物、「動くもの」です。その体が運動をしなくなったため、様々な身体機能が低下し不都合が生じてくるわけです。

現代の文明は様々なものを発明、創造してきました。人間の脳はもともと「楽をしたい」方に働くということも言われています。現代の生活様式をみると、掃除にしても、洗濯にしても、食事にしても、通勤、通学にしても日常生活が「便利」になり、身体運動を要せずして短時間に目的が達成できるようになっています。これも人間の脳が編み出した「快適な生活」なのだと思います。
もしかして、「楽をしたい脳」が生み出した生活なのかもしれません。運動するところと言えば指先くらいですしね

そんなことで、生活の中から運動が減少したことにより、フィットネスジムや健康教室に「運動」を求めて、運動後に感じることができる爽快感(ストレスからの開放)を求めて、せっせと通われるのだと思います。


コラムに出てきます「ミトコンドリア」という細胞内小器官があります。生物の教科書の細胞の絵の中に楕円形の中に二重線が蛇行した模様が書かれた、あれです。分かって頂けたかな~
この「ミトコンドリア」は(以下はミトちゃんって書きます)全身の細胞すべてに存在し、特に活発に新陳代謝を行う部分、よく働く部分に多く存在します。筋肉の細胞、脳の細胞、肝臓の細胞、腸の粘膜細、皮膚の細胞などなど、よく働く部分に多く存在します。

何をしているのかというと、細胞が、あるいは身体全体が、様々な刺激に対応し身体を動かすためのエネルギーを生産しています。いわゆる身体のエネルギー発電所です。もうひとつ重要な働きがあります。原子力発電所の報道で電気がどうしてできるのか理解出来た方も多いと思いますが、ミトちゃんもエネルギーとともに体熱を生産します。ミトちゃんでは脂肪や糖分、それに酸素を原料としてエネルギーをつくります。そのエネルギー変換率は約40%であり、残りの60%は体熱となるようです。人間の細胞は熱もちゃんと利用しています。原子力発電所では、この熱を冷却するために水辺に建設する必要があるのです。

話がこんがらがってきましたが、何を言いたいかと言うと、運動をして筋肉が増加すれば、ミトちゃんも増加します。エネルギーに満ち、体も心もホカホカした身体ができるんだ~と想像できませんか


アメリカ、イリノイ州にネーパーヴィル203学区という地域があります。そこのある高校での取り組みが「0時限体育」です。これは、普通の授業を行う前の朝の時間に体育の授業を行うというものです。体育と言っても、走るのです。タイムを計測して、最大心拍数の80~90%の拍動を目標値として走ります。この取り組みを継続して行ったところ何が起きたか…

非常に健康になったこともさることながら、生徒たちの読解力が格段に上がり、成績が上がり出したのです

また、TIMSS(国際数学・理科教育動向指数)というテストがあり、このテストは1994年以降、4年ごとに行われているそうです。1999年には、世界38カ国、23万人の生徒が受験し、アメリカからは5万9千人が参加しました。初回にはシンガポールやアジア地域に惨敗したのだとか。
この年のアメリカの平均は理科が18位で、数学が19位でした。驚くべきことは、ネーパーヴィルの生徒たちの平均は、理科で第1位、数学で第6位となったことでした。
すべて運動の効果とは言えないまでも、運動することによって脳や身体の様々な部分が刺激され、いい方向に変化するということだけは言えるでしょうね。


ここ日本、時は幕末期。日本が大きな変化を迎えようとしていた大事な時期、日本各所に、この国を思い、この国の行く末に思いを馳せる幕末の志士が熱い空気をつくっていました。自分の思いを実現するため、勉強し、優れた人物に会う必要がありました。そのためには「長距離を歩く」必要がありました。
かの坂本竜馬は、土佐藩を脱藩したときも、土佐から四国山地を越え、京を通って江戸まで歩いて来ています。
幕末当時は、高名で、博学な学者は諸藩に散在しており、学ぶ意欲のあるものは「歩いて」諸藩をめぐりました。
吉田松陰は、その典型的な人物です。学問を修めるため、長州からまずは長崎、熊本という九州へ遊歴を行い、その後、江戸に出て、奥羽に足を伸ばしています。

司馬遼太郎『世に棲む日々(一)」には、次のように書かれています。

「どのような旅をしたか。

むろん暗いうちに提灯をかかげて城下を発った。械ヶ坂(かせがざか)というところで夜明けを迎え、そのあとはほとんど休みなく歩き、途中、数えきれぬほどの峠を越えて、夕刻、四郎河原という第一日目の宿泊予定地に辿りついたというから、四十八キロ(十二里)歩いている。はじめての旅で勢いたっていたからでもあるが、この当時、東海道を旅する者は一日七里(二十八キロ)というのが常識だったから、ほとんど無茶と言っていい激しさである。

が、激しく歩くことが、道中経済の一つであった。貧者ほどそのようにして歩いた。全行程において一晩でも、二晩でも宿泊費を切り詰めねばならなかった。

途中、立小便をする。その時間は二百歩の損がある。松陰はいつもその損を取り戻すため、そのあとほとんど駈けた。しかし、走りはしなかった。武士というものは走るものではないとしつけられている。


坂本さんや吉田さんのような幕末の熱い思いを持つ志士は、この長い距離を歩くことによって、さらに志高く、そして、さらに深く練っていったのかもしれません。

「歩く」ということは、筋肉がつき、体力がつくだけではなく、脳も、心も、身体を全体的に刺激し、思わぬ健康効果が現れるということです。

文武両道と昔からよく言われますが、最新の科学もそのことを証明しています。運動しているけど勉強できないのは、そこに「志」がないからだと思いますね。
どうぞ歩いてください。歩いて心身を活性化してください。疲れたら鍼灸治療を受けてください。さらに健康になったりして

ぜひ東洋医学研究所コラムをご覧になり、ご自身の生活に活かして頂ければ幸いです

二葉鍼灸療院 田中良和
コメント (4)
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