今年の3月11日(日)、報道各局は特別番組を組んで震災の特集を行っていました。
追悼式典では天皇陛下も体調の悪い中、国民に向けてのメッセージをお話になりました。被災に遭われた方、そして遺族の方々、さらに国難を迎えている日本に対して、どうしてもメッセージを伝えたいという天皇陛下の御心が画面を通じて伝わってきました。
その言葉を真摯に受け止めて政治家や官僚は動くべきでしょう。動いていると信じていますが…。
そんな3月11日、ある局のテレビ放送を観ていて非常に違和感を覚えました。
ちょうど瓦礫処理について、処理が進んでいない現状を伝えるものでした。そして住民の方が、
「絆、絆と言っていたのに、瓦礫処理になると協力しないとはおかしい」
「絆なんて言葉、安易に使わないほうがいい」
といった内容の言葉でした。そういう気持ちの被災者もいるかもしれませんが、果たしてそんな意見ばかりなのだろうかと疑問に思いました。
また、基本的に瓦礫は、居住区や商業地、工業地だったところにそのまま放置してあるわけではなく、特定の場所に集められています。岩手や宮城では90%以上の瓦礫がそのように処理されています。しかし、福島となると放射能の問題があるので別問題です。同じ時期では50%強ほどしか処理されていないということでした。そんな放映で瓦礫の山を放映すると何も処理されていないと勘違いするのではないかという疑問もありました。
私はフェイスブックでコメントしました。瓦礫処理に対して、多くのメディアが報道していたように各自治体の瓦礫処理受け入れも被災者の受け入れと同様、支援として必要なことだと。そして放射能の問題さえ、安全、安心に管理できるのであればいいのではないかと。しかし、実際、調べてみると、私の短絡的な意見では測れないことだと感じました。
これはあくまでも私見です。そして、大手メディアの報道が一斉に同じことを言っている時は、状況にもよりますが、一歩引いて広いところから報道をみるようにしています。
まずは、 ゴミ処理の問題。
ゴミを減らすことは環境に良いことです。これは誰が考えても分かることです。しかし、日本のゴミ処理場は「ゴミ不足状態」にあるというのです。
日本には約1600のごみ処理施設があります。な~んと、世界のゴミ焼却場の約7割が日本にあるそうです。人口で約2.5倍強のアメリカを凌いでいます。また、ゴミ焼却場は国が建設費のほとんどを負担し、一基 数百億円です。その後の運営費などの維持費は焼却場のある自治体が持ちます。
そして、現在、多くが最新鋭のごみ処理施設となっています。有害なダイオキシンなど煙が外部に出ないように処理されます。この施設の欠点は24時間、一定の温度で、それも高温で燃やし続けなければいけないということです。それには燃やすゴミが必要となるわけです。
そんなことで、これが全国にあるわけですから、ゴミ不足となるようです。そのような事実があります。
土建業者も世界の約6割が日本にあるということですから、何か偏りを感じますね。
常に燃やし続ける…原子力発電と同じです。
国は維持費のうちゴミ処理場の減価償却費分を国が負担するから、瓦礫を受け入れてくださいということを自治体側に申し出ているそうです。
この瓦礫の処理について、被災した地方自治体側は、違う見解を持っており、瓦礫処理専門のプラントを地元に建設し、何年かかっても地元で処理していく。そこで雇用を生んで、地元にお金が落とされていく。そう考えていたようです。これは農業の地産地消ではありませんが、地域を活性化させる方法の一つですよね。
しかし、国には却下され、門前払いだったそうです。
瓦礫は、全国にトラックで、船で輸送されるわけです。そして全国の処理業者が関るわけです。それだけ国はコストもかかり、かつ、やりとりにはお金が発生するわけです。被災地で行えることは、被災地で行ったほうがどれだけ効率的であり、地域の人のためになるかと思います。
阪神・淡路大震災の時の瓦礫は約2000万トン。国の指示で産業廃棄物、一般廃棄物ともに「持ち込むな、持ち出すな」ということで地元でほぼすべて処理されたそうです。東日本大震災の瓦礫は約2300万トン。放射能の有無や被災が3県にまたがる以外、この二つの震災での瓦礫処理について何が違うのか、国はどうして違う指示を出すのかがよく分かりません。
さて、全国に瓦礫を拡散させるということは、そこにお金が発生し、だれかがそれを請け負って仕事をします。そこに 政治家や官僚と結びついた利権 がないことを願います。
瓦礫の焼却ゴミについて東京都が受け入れましたが、その受け入れ先である、東京臨海リサイクルパワーという会社は東京電力が95%以上株式を有する会社だとか。また、自治体として東京あるいは近隣県以外で初めて瓦礫受け入れを正式表明し、センセーショナルに報道された静岡県の島田市。その市長の全職は産廃業者であり、現在は親族が経営しているとか。いい悪いは別にして、胡散臭い火種はないに越したことはありません。
世の中、お金を稼がなきゃ生きていけませんが、一部の人が特権的に、仕事を請け負う、それも秘密裏に。そんなシステムはないほうがいい。あっても今後、どんどん公開していけばいい。世の中や国民が審判すればいい。今回の瓦礫のことを調べていて、明確に、分かりやすく説明していたのが、新党日本のオフィシャルホームページで田中 康夫 代表が書いている文章でした。興味のある方はご覧ください。
放射能に関しては、もっと慎重を期すべきですね。ということを広島での原爆被爆者であり、医師である肥田舜太郎さんが、原爆症その後に起きた内部被曝の患者の体験を綴った書籍 『内部被曝の脅威―原爆から劣化ウラン弾まで』(ちくま新書)を読むとその事実に驚かされ、かつ勉強になります。
ちなみに、共著は、私も何度か直接お会いして少しですが話をさせて頂いたことのある、『六ヶ所村ラプソディー』『ヒバクシャ』などのドキュメンタリー映画を製作し、その真実を伝えようと世界を奔走している 鎌仲ひとみ さん です。
著書にも書いてありましたが、外部被曝については研究が進んでいても、内部被曝に関してはほとんど研究が進められていません。それは広島、長崎に原爆が投下された後、原爆にあっていないのにどんどん原爆症で亡くなって行く人を目の当たりにしたそうです。そして現在でも、そのような症状を訴える人、原爆症からガンや肝臓障害を患う人がいます。アメリカ軍は一切の公言、写真、絵など記録に残すことを禁止しました。原子力発電に繋げるためです。
これが世界を覆う原子力利権の始まりですね。日本もその対象であり、日本にお金を落としていったことも事実です。その話は置いておいて。
自然が創り出す放射性物質(放射線)と人間が創り出した放射性物質は同じものなのか。除染なんて言うが、おのおの放射能は半減期というものがあり、それは簡単になくなりません。どこかにも書いてありましたが移染です。いくら自然に自浄能力があるにしても、どこまでそれに甘えていいのか、どこまで人間の身勝手で自然を破壊していいのか、そのツケは返ってこないのか、いろいろ考えるべきことがあります。
内部被曝は、チェルノブイリ原発事故があった周辺、秘密裏に原爆製造のためのプルトニウム抽出や原子炉建設が行われていたアメリカの地域でも健康被害として事例が出ていますし、内部被曝の研究は始まったばかりといっても過言ではないようです。
だから何が安心か、ということは分かりません。もしかしてガンが死亡原因の第1位の日本では、これも原因の一つになっているのかもしれません…推測です。
ということで、長々と書きましたが、私は、瓦礫処理を日本の他の地域が行うことは反対です。
そんなことを、東日本大震災後1年のテレビ放映を観て考えていました。