二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

妊活と鍼灸 メンタルをととのえること、心の可能性

2022年04月23日 | 不妊症

 桜の季節から時はながれ、新緑がキレイな季節になってきました

 皆さま、体調の方はいかがでしょうか。気温差が10度以上ある日も多く、身体の調子が整えづらくなっているかもしれませんね

 

 さて、当院では妊娠しやすい身体作りをサポートするための鍼灸に力を入れております。

 婦人科で行う一般不妊治療にしても、専門クリニックで行う高度生殖医療の治療を受けても、すぐに妊娠して、順調に出産まで辿り着くご夫婦ばかりではありません。なかなか上手くいかないご夫婦の方が多いのかもしれません。

 不妊治療が長期になると、様々な感情や環境面あるいは経済面のストレスが蓄積し、心が前向きになれない、落ち込みからなかなか抜け出せない状況に追い込まれることも多々あります。そのストレスは百夫婦百様です。

 そんな時、その場から立ち上がらせ、積極的に、そして前向きになれるパワーは、元気な身体と、前向きな心です。特に誰でも心の中に秘めている神秘的な可能性というエネルギーが沸き立つことです。

 その心のパワーは、ご夫婦のお互いの思いやりや、心の視点を変えたり、リフレッシュすることで奥の方から引き寄せることができるのではないでしょうか。いえ、すぐそこにあるのかもしれません。

 そんな事例を「ちいさな 命のバトン」という本より抜粋してご紹介します


40歳の奥様、42歳のご主人様 不妊治療歴10年(人工授精8回、体外受精6回)のご夫婦の話

・奥様から何とか自然妊娠したいとの言葉

・問診票や治療歴から考えて、この言葉には心身への負担が大きいことが理由にあると考える医師

※著者である医師は、内科医としての診療の傍ら、不妊症カップルのカウンセリングを行い、治療が必要な場合は信頼ある専門クリニックをご紹介するという流れで診療を行っています。

医師「では、少し休んでから治療を再開しましょう。それでも年齢から考えると早めに体外受精することをお勧めします。しっかりとした技術の病院を紹介しますから」

婦人「もう体外受精はしません。そう決めました」

 どうしても子どもをあきらめることができないと書いてあるのになぜ?と思い、単刀直入に医師が質問。

医師「タイミング法を試し、お子さんができなかったら、それでよしということですか? 何をおいても妊娠したい、というお気持ちが書かれていますが・・・」

 婦人は、唇をかみしめ、目には涙をためています。医師はじっと待ち続けました。
 忙しい専門クリニックにはできない、じっと待ち続けることを実践され、心の底を吐き出して欲しいと思いました。

婦人「赤ちゃんが授かることは夫婦の夢であり希望でした。妊娠するまでどんなに辛いことがあっても二人で協力しようと決めていたのです。でも・・・」

医師「これまでずいぶんと治療費もかかったでしょう」

 うつむいた婦人の膝に涙が落ち、診療室にしばらく嗚咽が響いた後、婦人からこれまでの経緯が語られました。

・最初の医療機関で、人工授精、体外受精と言われるままにステップアップしていった。
・途中、義母の介護のため2~3年のブランクがあった。
・治療を再開しようと思ったところに不況がおそい、家計は生活するので精一杯になったこと。
・不妊治療費用が払えない状況となったこと。

婦人「時間も費用もかけてここまで頑張ったのです。本当は子どもがどうしても欲しくて、でも、どこかで終わりにしなければ・・・」

 その後、婦人は先生の不妊ルームに6ヶ月通院。
 月2回の診療と交わしたメールのやり取りで、しだいに婦人は心を開いてきました。

 ある日、次のような内容のメールが届きます。

・先生が信頼する医療機関を是非ご紹介ください。
・この6ヶ月間は、これまでの10年間と比較にならないほど充実した時間でした。
・こうでないとダメだ、と自分の気持ちが置き去りにされていました。
・先生との二人三脚の「不妊ルーム」での6ヶ月間で、自分がどうしたい、何をすべきかを知ることができました。
・自分の考えもハッキリ言えるようにもなりました。
・ラスト1回、自分の意志で紹介病院を訪れ、治療したい。
・もし妊娠しなくても、私は満足です。

 先生が不妊の医療期間をご紹介されてから半年近く経った頃、婦人が先生のクリニックを受診されました。

婦人「先生、今日は妊娠の報告にきました」

医師「それは良かったですね。体外受精がうまくいったのですか」

婦人「いいえ、先生。体外受精ではなく ”自家受精” です」

 高度生殖医療を最後と決め、紹介した医療機関に通院を開始し、体外受精に挑戦しようとした矢先、なんと自然妊娠したということです。

 環境を変えたり、不妊治療でいっぱいになっている頭と心を少し柔らかくすることで、思いがけない効果があるものです。

婦人「最後の不妊治療だと、体外受精を決意したわけですが、あるとき夫が久しぶりに旅行にでも行こうかと言い出しました。それで前から行きたかった温泉に主人と言ったのです。そしたら、その時に妊娠したようなのです」

・旅先で子どもがいなくてもいいと、夫婦で改めて誓い合った。
・それまでがんじがらめになっていた心が、リタイヤの決意で解放されたのかもしれない。

 妊娠はやはり神秘的なのです。そして、どうやら「子宝温泉」というのは、自分たちの気持ちの中にあるようです、と先生は話されています。


 素晴らしいミラクルな物語ですよね。

 いつも平常心ではいることは出来ないでしょうけど、心をととのえて、リラックス、そしてご夫婦で共通認識といいますか、同じ価値観で目標に向き合うと、このようなことも起こりうるのかなと思います。

 でもでも、不妊治療や妊活を行う際、1年以上夫婦生活があるのに妊娠しないご夫婦の場合は、クリニックで不妊に関する検査を早期に行うことは大前提です。そして、それが一番の近道であることは紛れもない事実です。

 

 ストレス過多状態。それは自律神経の一つ、交感神経が過緊張している状態です。

 鍼灸治療は自律神経に作用して、過剰になった神経機能を正常に近づけようと身体を調整します。

 また、脳内で副腎皮質刺激ホルモンやエンケファリン、βエンドルフィン、ダイノルフィン、セロトニンやオキシトシンの分泌に影響することが明らかとなっています。これら神経伝達物質の変化は、不安や抑うつなどの感情と関連が深い中枢神経系の異常状態において、有益な効果をもたらす可能性があると考えられています。

 

 鍼灸で心と身体を整えることも、妊活における一つの方法として提案することができます。

 それにしても、「子宝温泉」というのは、自分たちの気持ちの中にあるようです って、イイ言葉だな~。

 自分のメンタルと向き合いととのえることは、自分の心の深くから湧き上がる未知の可能性を引き出すことなのだと感じます。

 

 最後まで、お読みいただき、ありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

健康・養生・幸せブログ

コメント
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