二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

令和6年~7年 年末年始の鍼灸施術お休みのお知らせ ~と 鍼鎮痛について~

2024年12月24日 | 鍼灸

 今年も早いもので年末を迎えました

 皆様、体調はいかがでしょうか。

 ここ最近、寒気が入ってきており急な冷え込みによる腰痛や首痛などの疼痛や体調の変化が激しくなっているかもしれません。

 金沢の雪はまだたいしたことはありませんが、日本海側の山沿いや東北、北海道ではかなり積雪のあるところもあり、除雪による筋肉痛などの訴えがあるかもしれません。

 インフルエンザやマイコプラズム、コロナ感染症など呼吸器疾患も増加する時期であり、特に太平洋側は乾燥した空気となりますので注意が必要です。

 まずは、睡眠、食事、衣服など生活習慣の再確認を行なっていただき、身体が冷えないような対応も必要です。セルフ灸なども体調管理の一つの方法ですよ

 

 さて、当院の年末年始のお休みは冒頭のイラストの通りとなっておりますので、ご参考にご来院いただければありがたく思います

 

年末年始 鍼灸施術お休み期間

令和6年12月31日(火)~令和7年1月3日(金)

 ※令和6年仕事納めは12月30日(月)の14時まで受付しています

 ※令和7年1月4日(土)の仕事始めは通常施術となります

 

 以上、よろしくお願いいたします。

 以下、少し鍼治療についてオマケ記事でございま~す

 

 さて、現在は様々な治療法や施術方法がSNSやYouTubeで流れています。病める人の心理を利用した怪しいものもたくさんありますが、皆様それぞれが責任をもって情報を読み解き、選択できる時代になっていることも言えるかなと思います。

 

鍼灸は医療か 医学か

 患者さんによっては痛みがとれれば何でもいいんだ、やった・効いた・治った、それだけで充分だと思う方も多いと思いますが、私は人の身体を触り施術する者は、国家資格をとり最低限の身体の知識や医療者としても倫理観をもって患者さんに臨むこと、これは大原則として社会人として必要なことであるということ、この線は人の身体に触れる者として全く譲れないところです。

 話は逸れましたが、それも含めて私たちが行なう鍼灸は奈良時代頃に大陸から伝わってから約1400年継続している伝統医学です。今もなおその解明に向けて様々な研究が行なわれている、まさに医療であり 医学です

 

師匠 東洋医学研究所® 、黒野保三先生の言葉

 先生がよく使われた言葉に「真実の探求」という言葉があります。その言葉どおり、師匠の黒野先生は、鍼灸治療を行なうと改善していく身体の状況の摩訶不思議で神秘的な鍼灸の解明のため、多くの臨床研究や基礎研究を行なわれました。

 ポリモーダル受容器、ヒト免疫系、肝障害、不定愁訴、糖尿病、高血圧、自律神経、慢性疲労症候群、その他、臨床から生まれた疑問を名古屋大学や名古屋市立大学の研究員として長年研究されてきました。その情熱や鍼にかける真剣さはすごいものがありました。

 その中で筋膜上圧刺激という一つの治療方法を提唱されました。

 そんな師匠のもとで勉強させていただき、鍼灸学や鍼灸治療、その精神や人間形成について勉強させていただきましたが・・・果たしてどこまで近づけているでしょうか~

 

鍼鎮痛の最近の研究

 鍼治療はさまざまな生理作用をもたらし、その作用機序については世界中で数多くの基礎研究が行なわれています。

 痛みに関するだけではないかもしれませんが、生体には痛みを抑制する仕組み(抑制系)と促進する仕組み(促進系)があり、強い痛みが加わっても抑制系が働くことで脳(大脳皮質体性感覚野)に伝わる痛み信号が抑制され、ある程度は我慢できるようになっています。

 しかし末梢組織の損傷が大きかったり、炎症の程度がひどかったり、長引いたりすると促進系の方が優位に働くようになり、アロディ二アや痛覚過敏症状が現れ、さらに長期化し慢性疼痛に移行します。長い間の疼痛が存在する状態は抑制系と促進系のバランスが崩れた状態となるわけです。

 西洋薬については非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が急性痛には有用ですが、慢性化した痛みには各種鎮痛薬を駆使しても奏功しないことも多いのです。

 そんな時、鍼治療を行なうと改善したり、薬物療法と併用することでその鎮痛効果が高まる症例も多く報告されています。

 

 鍼鎮痛の作用機序~中枢神経系における機序~

【鍼通電の作用機序】

 下行性疼痛抑制系の賦活・ゲートコントロール・内因性オピオイド(β-エンドルフィン エンケファリン ダイノルフィンなど)やGABAをはじめとする鎮痛作用物質の分泌促進 広汎性侵害抑制機能などが知られていますが・・・今回はオレキシンとオキシトシンを紹介。

① オレキシン

・視床下部外側野のオレキシン作動性ニューロンから分泌される神経ペプチド

・オレキシン作動性神経の軸索は、小脳を除く中枢神経系全域に広く投射

・機能は、覚醒レベルの維持、覚醒-睡眠リズムの制御、摂食行動の制御、血糖値の調節、エネルギー消費と代謝の調節、疼痛制御などの生理機能の調節などに関与

Chen YHら

マウス両側の内関穴に低周波正中神経刺激(2HZ)
→カンナビノイド受容体1の活性化を介して視床下部オレキシンニューロンの活性化を誘発、中脳水道周囲灰白質の脱抑制を媒介し、急性の熱侵害受容反応と神経障害による機械的アロディ二アの軽減を報告。

砂川ら

ラットのヒト百会穴相当部に円皮鍼貼付(1.2mm)
→24時間後に上口唇へホルマリン投与で急性炎症誘発 円皮鍼により疼痛軽減がみられ、血漿オレキシンA濃度が有意に上昇。

以上、鍼刺激による鎮痛効果の作用機序の一端にオレキシンの分泌制御の関与が示唆されています。

 

②オキシトシン

・子宮収縮や射乳を誘導する下垂体後葉ホルモン

・近年、中枢への作用も注目される

・オキシトシン作動性ニューロンは視床下部の室傍核と視索上核に存在し、Gタンパク質共役受容体であるオキシトシン受容体に作用

・産生されたオキシトシンは下垂体後葉の軸索終末より血中に分泌されホルモンとして末梢組織に作用

・細胞体、樹状突起からも分泌され脳内の生理活性に関与
 その中枢における作用の一つに鎮痛作用がある

Yang Jら

ラット両足三里穴へ鍼通電(10/20HZ)
→抗オキシトシン血清の髄腔内投与により拮抗
 視床下部視索上核のオキシトシン濃度低下
 視床下部視交叉上核、視床下部腹内側核、視床腹側核、中脳水道周囲灰白質、大縫線核、尾状核、胸髄、腰髄のオキシトシン分泌促進
 鎮痛効果が得られたと考えられる

 

 鍼鎮痛の作用機序~経穴(ツボ)における機序~

【経穴で何が起こっているかの研究が散見】

①肥満細胞

・組織の粘膜や結合組織に存在する造血幹細胞由来の細胞

・炎症や免疫反応など生体防御機構に重要な役割を持つ

・脱顆粒(抗体などが細胞膜に引っ付くことにより細胞膜が破壊される中の物質が放出されること)によりヒスタミンやプロアテ-ゼ、サイトカイン、ロイコトリエンなどの炎症メディエーターを放出

Ding Nら
→変形性膝関節症モデルラットでは その進行度に伴い陽陵泉穴や鶴頂穴に肥満細胞数の増加や脱顆粒率が上昇

Wei Heら
→ラットの胃に塩酸を投与・・・膈兪穴、脊中穴、脾兪穴、胃兪穴で肥満細胞の凝集や脱顆粒がみられた

Zhang Dら(2008)
→ラットの足三里穴へ鍼刺激(雀啄・捻鍼)により肥満細胞の凝集や脱顆粒が生じた

Goldmanら(2010)
→マウス足三里穴への鍼刺激(捻鍼)で局所のアデノシン分泌が促進され鎮痛効果が得られた

Cui Xら(2018)
→肥満細胞欠損ラットで機械刺激・熱刺激に対する足三里穴への鍼刺激(1mAの鍼通電20HZ・3mAの鍼通電20HZ・捻鍼)で効果を検証・・・機械刺激に対する鍼治療の鎮痛効果は肥満細胞欠損ラットで優位に減弱

Huang Mら
→マウス足三里穴への鍼刺激・・・肥満細胞がTRPV2チャンネルを介して活性化・・・アデノシン、ヒスタミン放出・・・アデノシンA1受容体、ヒスタミンH1受容体に作用・・・その後・・・中枢におけるβエンドルフィンの分泌促進を介して鎮痛作用

Zheng Yら
→急性炎症性疼痛モデルラットの足三里穴への鍼刺激(雀啄・捻鍼)でATP分泌が高まり鎮痛効果・・・TRPV4チャンネル拮抗薬の前投与で鍼による効果が抑制・・・

 すべての経穴で検証されているわけでなく、現段階では一部の経穴での現象と考えられているが興味わく現象です。

 動物実験ですが人でもそのような可能性があるということです。

 

 鍼治療にまつわる最近の話題

Nature誌(2021年10月)Liu Sら
→マウス後肢深部組織(足三里穴相当部)の感覚ニューロンの一つが鍼通電(10HZ)によって迷走神経ー副腎軸を活性化・・・副腎髄質のカテコールアミン分泌を介して炎症を軽減すると報告

 鍼治療の作用機序に関する研究は鎮痛作用に関するものが主でしたが、近年、痛み以外の様々な症状や疾患に対する報告がされています。

※第41回日本神経治療学会学術集会(2023年11月3日)のシンポジウム:神経疾患に対する鍼灸治療の果たす役割ー疼痛に対する鍼の効果とその科学的根拠ー~要旨~を参考にさせていただきました。

 

 鍼灸医療、鍼灸医学については今回は基礎研究でしたが、臨床研究も併せて、現在、日本をはじめ世界でその効果や摩訶不思議な作用機序について研究がされています。

 近年はテレビや雑誌などで取り上げられていますが、その効果については世界レベルで注目されていることは確かです。

 

 だから常に勉強しなくてはいけないのですよ~それがワクワク感に繋がっていくのですけどね

 

 管理栄養士の方がこんなこと言ってました。

 ある食材があり、それにはビタミンBが豊富に含まれているとビタミンBを摂るためには・・・と、まるで栄養素を摂ることを中心にした栄養学がまかり通っているがそれは間違いだ・・・食事は栄養素を食べるわけではなく、その食材にはまだ分ってない未知なる栄養素もあり、すべての栄養素を解明できたわけではない・・・と。

 

 まさしく科学的根拠は大事であり先端科学での解明は重要であるにしても、その人の心と身体を、なんなら精神や魂、人生をも扱うのが医療だとすれば、全体をみること、分らないことが多いのだという謙虚な気持ちで対応することも、人の心身を施術するものにとっては大切な考えなのだと思ってます。

 

 長くなりました 

 

 令和6年も二葉鍼灸療院(金沢)へご来院いただきました皆様、様々な行事で出逢ったすべての皆様に感謝申し上げます。

 来たるべき令和7年が皆様にとりまして、また、災害で過ごした1年を振り返り能登の被災地の皆様にとりまして、素晴らしい復活と再生の1年になり、喜び溢れる1年になりますことを祈念いたしましております

 

 最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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田中良和 note

東洋医学研究所

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