仲の悪い親子です。
皆さまは如何お過ごしでしょうか。
さてマッピー、スーパーカブ50をいじくりました!
今回はエンジンを49ccから88ccにボアアップしました。
製品は㈱キタコ社製“88cc LIGHT ボアアップKIT(214-1016402)”です。
ベースエンジンが3速自動遠心クラッチなのでシリンダーヘッドはいじくりません。
先ずはキャブレータ、マフラーなどを取り外しました。
シリンダーヘッドの右ヘッドサイドカバーの中心辺りにあるM6長ボルトを抜き取り左ヘッドサイドカバーを取り外しました。
シリンダーヘッドカバーのM6キャップナット3個とM6ナット1個とシリンダーヘッドサイドボルトを取り外しました。
カムスプロケットの◯刻印をハウジングの切り欠きに概ね合わせカムスプロケットのM4ボルト×2本を取り外しました。
カムスプロケットを取り外しカムチェーンガイドローラーボルトを取り外しました。
クランクケース左カバーとチェンジペダルを取り外しチェンジペダルシャフトの左側にあるM6ボル トを緩めました。※カムチェーンのテンショナーが緩みます。
プラスチックハンマーでシリンダーヘッドを軽く叩き取り外しました。
抜き取ったシリンダーヘッドをノーマルのまま再利用する場合はカムスプロケット側に傾けるとカムシャフトが簡単に抜けてしまうので要注意です。
またロッカーアームシャフトもズレてしまうので右ヘッドサイドカバーを外すハメになります。
シリンダーサイドボルトを取り外しプラスチックハンマーでシリンダーを軽く叩き取り外しました。
シリンダーベースガスケットが酷い状態でした。
片側のピストンピンサークリップを取り外しピストンピンを抜きピストンを取り外しました。
作業効率向上のためシリンダースタッドボルトのネジ部分にM6ナットを2個ねじ込みダブルナットで締め付けシリンダースタッドボルトを3本抜き取りました。※1本は固着して抜けんませんでした。
既存のシリンダーベースガスケットをカッターナイフとオイルストーンを使いきれいに除去しました。
この工程で最も重要なことはコンロッドの遊び(ガタつき)をチェックすることです。
遊びが大きければコンロッドベアリングとクランクシャフトの摩耗まで確かめないとなりません。
ピストンリングセットをピストンにセッティングしました。
コンプレッションリング(トップリング、セカンドリング)と3ピースオイルリング(レール+スペーサエキスパンダ+レール)は圧縮漏れ対策として合口を120°づつズラしました。
因みに3ピースオイルリングも3つの合口がシンメトリーになるようセッティングします。※マニュアルの解説ではスペーサエキスパンダの合口に対しレール合口は両側に10mmづつズラします。
で、マニュアルでは“ピストンピンサークリップ合口をラジオペンチなどで摘み挿入する”と解説がありますが、この方法ではピストンピンハウジングのピストンスリット部に上手にはめ込むのが難しいです。
先ずはピストンピンサークリップ合口を上に向けピストンピンハウジングの外側にグリースなどで貼り付け指(爪)を添えます。
次に胴体部(合口を上に向け3時と9時の方向)をラジオペンチなどで摘み合口隙間を無くしそのまま押し込めば簡単にインサート完了です。
マッピー的に申しますとピストンピンサークリップは“C型のバネ”なので摘み損なうと簡単に何処かに飛んで行ってしまい欠品~注文ということになり兼ねません…
インサートの経験がない場合、一つめは飛散を想定し部屋の隅でインサート、二つめも飛散を想定し現場でエンジン周りに段ボールで壁を作れば間違い無いのでは。
また飛んでしまっても簡単に見付ける方法としてピストンピンサークリップに針金荷札をインサートの直前まで巻き付けて置いても良いかと思います。
ピストンピン挿入時にはたっぷりエンジンオイルを塗布しておきます。
スタッドボルトを戻しノックピンとシリンダーヘッドガスケットを挿入しました。※ロッカーアームシャフトがズレているとスタッドボルトが貫通しないので右サイドヘッドカバーを取り外しロッカーアームシャフトを奥まで押し込みます。
エンジンオイルをピストンとシリンダーにたっぷり塗布しピストンリングの合口隙間を縮めながらシリンダーにピストンを挿入します。
カムチェーンガイドローラーボルトのシーリングワッシャーの挿入を忘れると後で面倒なことになります。
ここから先は分解と逆です。
ボルトの増し締めにはトルクレンチが必要です。
アームの長いレンチを使いM6の締め付けに力を込めれば簡単にねじ切れてしまうのでトルク管理が必要です。
カムチェーンのテンショナーボルトの締め忘れに注意します。
スタッドボルトナットのLAYOUTを間違えないように注意します。
カムスプロケットの◯刻印とフライホイールのTマークが各ハウジングの切り欠きに合った状態でカムチェーンが掛かっているか注意します。
セッティングですがピストンは上死点、両バルブは閉じた状態です。
流石33年落ちのバイクなので兎に角シリンダーヘッドや各カバー類などのガスケット剥がしを丁寧に行ったのでとても時間が掛かりました。
最後に最も重要なことですがキーを“OFF”のまま何回もクランキングをすることを推奨します。
真新しいシリンダー&ピストンの間にエンジンオイルが付着していない状態で行き成り燃焼させると最初から“焼付き”の恐れがあります。
で、交換後の結果ですが問題なくエンジンが掛かり今のところアイドリングも安定しています。
キャブレータのメインジェットは#88のままですがボアアップ前(49cc)のカブリは無くなりました。
次回はテールランプ取り付けについてです。