山背古道(やましろこどう)は京都と奈良の中間、南山城の東の山裾を北は城陽市から南は
木津川市まで延びる一本の小径です。
「古道」と名付けられていますが、実際は平成7年に城陽市、井手町、山城町、木津川市の
4市町の交流を深め、其々の町づくりに活かす目的で設立された「山背古道推進協議会」に
よって決定されたハイキングコースで、全体としては旧大和街道そのものではありません。
飛鳥時代以前使われていた実際の古道の大部分は、恐らくは地中に埋もれているものと思われます。
しかしながら、コースの所々には、往時の街道の一部であったろうと思われるような場所が
随所に見られるのも、このコースの面白いところです。
画像の「良弁の滝」もその一つで、「山背古道」のパンフレット等には記載がありませんが
才田川沿いのこの区間を昔の「大和街道」の一部だと考える郷土史研究家もいます。
「良弁」は東大寺を建立した高僧で、伝承によると赤ん坊の頃に坂東(関東)で鷲に連れ去られ
山城多賀のあたりに落とされ、里人によって育てられたそうです。
多賀と井手の村界に位置するこの滝が、何時から「良弁の滝」と名付けられ、また誰によって
名付けられたかは不明ですが、良弁僧正の徳をしのんで名付けられたことには間違いなさそうです。
良弁の滝のある多賀~井手の町道には立派な石標がありますが、左の多賀方面から車で来る人には、
ガードレールに遮られて全く見えません。
滝はこの下を流れる才田川にありますが、前方の竹薮を掻き分けて見なければならないのも、この滝が
一般に知られない原因の一つでしょう。