日本産テントウムシの代表的な種類で、黄赤地に7個の黒い紋を付けたナナホシテントウです。
成虫の姿の愛らしさとは裏腹に、幼虫、成虫のいずれも肉食性で、大好物は植物にとっての
害虫、アブラムシ(アリマキ)です。幼虫の時期には共食いをすることもあります。
昆虫の世界では単為生殖は決して珍しくありませんが、テントウムシも春から夏にかけて生まれる
幼虫は全てが♀で、単為生殖による産卵が当分続けられます。
秋になると♂が生まれ、交尾による遺伝子交換(有精生殖)が行われます。
美しい輝きを放つ成虫からは想像もできないグロテスクな姿の幼虫です。腹部背面には
刺状の突起があり、先端は3分しています。
幼虫は2~3回脱皮して、このような蛹になります。既に成虫と同じ模様が出来上がっていますが、
この状態から約一週間で羽化して成虫になります。
美しい漆質の輝きを放つ成虫
葉の上ではかなり派手で目立つ存在ですが、これは一種の「警戒色」で、自身が有毒であることを
鳥などの外敵にアピールする効果があります。実際に足の関節から有毒のアルカロイドを分泌しています。
可愛い姿で人の心を癒してくれるテントウムシも、生態を知るとかなり獰猛な昆虫であることが分かります。
植物の枝にビッシリ付いたアブラムシも、テントウムシの通った跡は綺麗に食べ尽くされています。
人間から見るとこれは「益虫」ということになりますが、これも喰うと喰われるで保たれる
自然界のバランスの一つと言えるでしょう。
こうして拝見しますと、成虫になるまでの様子が興味深いものです
アブラムシを食ってくれるとはありがたいことです