四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「核兵器禁止条約」に

2021年08月09日 14時52分17秒 | 日々の歩み
原爆投下から76年を迎えた本日9日。長崎市の平和公園で「平和祈念式典」が開かれ、
同市の田上富久市長が長崎平和宣言を読み上げました。そこで、今年1月に発効した
「核兵器禁止条約」に署名・批准していない政府に対し、2022年1月にウィーンで
開催予定の第1回締約国会議にオブザーバー参加するよう求め、原爆投下時、
国が定める被爆地域外にいたため被爆認定されていない「被爆体験者」の救済も
求めました。

  酔芙蓉「八重」

この平和祈念式典に参列した菅義偉首相は、あいさつで「核兵器のない世界の実現に
向けた国際社会の努力を着実に前に進める」と述べる一方、核兵器禁止条約についても
昨年まで参列した安倍晋三前首相と同様、触れませんでした。
広島、長崎での唯一の被爆国である日本が「核兵器禁止条約」を批准しないことの
明確な理由すら、今回も菅義偉首相は「説明」しないどころか、触れもしませんでした。

「核戦争の勝利者は存在しない」は自明のことですので、核廃絶の第一歩として
「核兵器禁止条約」の批准が出来る政権を、選択していくことが私たちに出来る
当面の課題とも思っています。

  むくげ「八重」

 夾竹桃が炎暑に咲き、せみ時雨ふる、この季節になると鮮明な記憶となって甦る、
少し先輩の友への思いを綴ってみたいと思います。
 その友は、長崎での胎内被爆という重い十字架を生まれながらに背負った方でもありました。
重い血液の病を背負いながらも、自分と同じ辛いめに合う人をこれ以上作ってはならない、
そして、ナガサキに続く原爆の被害を三度起こしてはならない、との強い思いと祈りを秘めた、
行動するキリスト者でもありました。

  芙蓉「うす紅」

 また、「怒りを祈りへ」と、想いを深めること、さらに祈ることの深淵を、血気盛んな私に
教え諭した方でもありました。
青春の真っ只中、学び舎の片隅で出会ったその友の印象はあまりに鮮明で、その友によって
教えられ、切り開かれた世界は未だ私の中に鮮明な映像として、また想いの姿として残っています。

 23才にも満たない短い生涯を、赤と白の夾竹桃の咲き乱れる、夏の日に閉じましたが、
この友の想いを受け継ぎ、語り継ぐこと。また、詠いつづけること。それを私の一つの
責務として課して来た思いもあります。

  夾竹桃「うす紅」

「平和祈念式典」の日に、手向けの花の一つとして短歌を捧げたいと思います。
  ☆涙呑みケルンを積みし峰遥か 君逝く葉月 またも巡りて
  ☆一つだに骨も残さず燃え尽きし かの八月を君は想えと
  ☆重たかり胎内被爆の十字架よ 無念も言わず君は旅立つ
  ☆三十路をも待たずに旅立つ君が背に 負いし非核のクルスを継がん
  ☆ナガサキの背負いきれない悲しみを 抱きしままに君はたびたつ
  ☆怒りをも祈りに変えよ 君が声 葉月の闇にまたも響きて
  ☆祈りさえ無力に思える日々を経て 君が想いを静かに継がん
  ☆声高に叫ぶことなく語り継ぐ 我ら世代の非戦の想い
  ☆茜雲消え行く果てのきら星か 温めきたる夢のひとつは

  百日紅「白色」
コメント (13)
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