四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その6) 

2021年10月20日 05時36分45秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その6)   短歌の投稿を歓迎します!!

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うコーナーです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の投稿を歓迎します。

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。


  「酔芙蓉」(八重)

「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

☆マスクのみ着けてメガネも補聴器も着けず歯科医に行きて気付けり
☆マスクするこの頃こんな失敗が多くなりたり真面目に悩む
☆子を叱り親を叱りてこしわれは今は己を叱りてゐたる
                    びこさん

【解説】
 本サロンは、短歌の初心の方も参加しやすいようにとの事から、「口語、新仮名遣い」を
 奨励させて頂きましたが、投稿頂いた短歌の表記方法は尊重して参りたいと思います。
 今回の投稿歌は、いずれも私たちの世代では身に覚えのある事象ですが、三首目の歌に
 漂う「ほろ苦さ」が秀逸と思います。

☆水曜の サロンの会に 誘われて 短歌を詠める 幸せ深く
☆楽しみは 海を感じる 土曜日に 白身の肴 酒でつまむとき
☆お三度を 現役終わり 軽々と 手伝う我を 驚くあなた
                        浅間山明鏡止水(kencyan)さん 

【解説】
 日々の生活の中で、情景を眺めていると三十一文字が自然と浮かぶと言われる作者。その感性の
 ひらめきに拍手をおくりたいと思います。なお、三首目は、奥様との日々が思い浮ぶ、
 ほほえましい短歌と思います。三首目の句の順序を少し整理してみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
★リタイヤ後 気軽にお三度 こなす我 驚くあなたに 愛しさも湧き

☆Tokyoと言う巨大な街が
  人々を飲み込んで行く
   ハレーション               jikan314(自閑)さん

【解説】作者のjikan314(自閑)さん、ご自身による解説です。
 オリンピックを控え、様々な建物や駅が改修され、東京が国際都市TOKYOに変わって行く中で、
 1年以上もコロナ自主隔離で孤独に過ごし、久しぶりに東京に行った時、慣れていた駅で道に迷い、
 人々の多さにめまいを感じ、写真や映像用語の「光が強く当たりすぎて画面が白くぼやけたり
 濁ったりする現象」ハレーションとしました。何十年と東京で過ごしたのに、拒否反応して、
 「この列車に確率的に感染者が1人以上いる」と恐怖し、この恐怖を無視する様に人々は街に
 向かっていました。
 三行詩にしたのは、読者が文字を追う時に、改行で小休止するので、軽い切れを表しています。
【補足】様変わりする「国際都市TOKYO」への「畏れ」を、鋭く表現した口語自由律短歌です。

☆その柄は木槿のようねと母笑う 夏服揺れる10月の午後
                        あんりママさん

【解説】
 作者は「暑さが一段落して夏服を干した時、母がその模様を木槿のようだと言ったのを思い出し、
 母を見送った暑い夏の日を思い」を詠んだ、とのことです。
 最初「逝く夏惜しむ」の句が印象に残り、ご自分の短歌に取り入れて詠まれていましたが、再度詠み
 直して投稿頂きました。
 短歌には「本歌取り」という手法もあり、新古今集時代には結構行われていました。
 従って、気に入った句を取り入れて、自分の短歌を完成させることもありと思っています。
 なお、「夏と10月が入って良いものか」と気にされていましたが、今年の気候の特殊性もありますので、
 問題ないと思いますが、何年かの後に読者から違和感を抱かれる可能性もありますので、少し整理して
 みましたが、いかがでしょうか。あくまでも一例ですが…。
【ご参考】
★干されいる 木槿の柄に 笑む母を 偲びて過ごす10月の午後

☆海のどか 秋の夕暮 船一艘 繋がれるのは 船の宿命か
                       「kencyan&オライ」さん

【解説】
 オライさんの写真に寄せた、Kencyanさんと、オライさんとのコラボ蓮歌です。
 オライさんの写真は、そのまま詩となり、その心象風景には圧倒されるというより、しみじみと
 包まれる印象があります。学んで身につくものではありませんが、目標としたい映像です。
 なお、連歌は即興を旨としますが、生煮えで済みませんが、参加させてください。
【ご参考】
★揺れゆれて 秋の夕凪 船一艘 繋がれいるは 船の宿命(さだめ)か

  「秋薔薇」

☆水曜日
   楽しみな日が
    やって来た!
   力作揃い
    皆様サンキュー          すずさん

【解説】
 作者は「ルール違反的な言葉選び」と言われていましたが、それはありません。
 短歌は、長い伝統を持つ短詩型ですが、その時代の状況や、意識に、さらには気分に晒されながら進化し
 「生きた言葉」を獲得してきたものと考えています。従って、ルールはその時代を反映し、多くの変遷を
 経て変えられてきた経緯があると思っています。「ルール違反的な言葉選び」は大いに結構なことと
 思います。挑戦失くして進化はないとも思っていますので・・・。

☆落ち葉食む
  「いいの?」と見上げる
    愛しき仔
   カサコソカサと
    音立て走る               クロママさん

【解説】
 作者は愛犬「クロちゃん」を「吾が子」と、言われるほど可愛いがっております。その「吾が子」との
 日々を、愛おしむように詠った短歌です。「クロちゃん」の見上げる可愛い眼差しが浮かびます。

☆病院の待合室でメール打つ人の指先じっと見つめる
☆楽しみは早起きをして野や路地をカメラ片手に散歩する時
                        ものくろ往来さん

【解説】
 「独楽吟」の二首目は、ものくろ往来さんの日常が垣間見える、楽しい短歌になっています。
 なお、いつも拝見する詩情に満ちた写真から、ものくろ往来さんの被写体に向ける目の鋭さと
 共に、それとは裏腹な温もりが感じられるのは「写真」に籠める想いの深さでしょうか。
 その想いと、温もりが短歌にも滲んでいます。
 
☆帰り咲く さつき ひと花楚々として 狂えるものの命 愛(いと)しく
                        ポエット・M

【解説】
 清秋の夕べ、酔芙蓉、ムクゲなど夏の花が花弁を閉じながら散っていく中で、初夏の花「さつき」が
 一輪、二輪と咲いています。帰り花、狂い咲き等とも呼ばれていますが、この花の楚々とした姿に、
 季節に戸惑い狂いながらも、凛として咲く命の確かさと、愛おしさを感じます。そんな花に寄せて
 詠んでみました。

  「酔芙蓉」(一重)

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (7)

3.別れ (1)
  これ以上
   あなたにお会い
    いたしません
   言う君あわれ
    聞く我あわれ
   
    君さえも
     そんな女か
      我が命
     闇にはかなく
      消えゆく思い

      別れきて
       夜道に一人
        むせび泣く
       命も闇も
        消えよとばかり
    
    永遠の
     審判(さばき)を受けて
      滅びゆけ
     君を打ちたる
      我の右の手

     リリリンと
      音なき音を
       奏でつつ
      君面影の
       雨に泣く庭


  「秋桜」  

【短歌入門・質問コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からの提案、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。それが学びに
 繋がれば嬉しいです。

【本歌取り】
 本歌取(ほんかどり)とは、短歌(和歌)の作成技法の1つで、有名な古歌(本歌)の
 1句もしくは2句を自作に取り入れて作歌を行う方法を言います。主に本歌を背景として
 用いることで、短歌に奥行きを与えて表現の効果を高めることが出来ます。
 こうした本歌取については、批判的に評価する等、様々な受け取り方がありましたが、
 藤原俊成は表現技法として評価している歴史的経緯もあります。
 藤原俊成の子・藤原定家は『近代秀歌』で、本歌取の原則を以下のようにまとめています。

 (1) 本歌と句の置き所を変えないで用いる場合には2句以下とする。
 (2) 本歌と句の置き所を変えて用いる場合には2句+3・4字までとする。
 (3) 著名歌人の秀句と評される歌を除いて、枕詞・序詞を含む初2句に本歌をそのまま
   用いるのは許容される。
 その他に、本歌とは主題を合致させない等が述べられています。

【字余り・字足らず について】
 短歌の基本は5・7・5・7・7の5句31音ですが、この基本をはみ出したものに
 「字余り(じあまり)」「字足らず(じたらず)」があります。
  ☆夜の張(ちょう)にささめき尽きし星の今を 下界の人の鬢(びん)のほつれよ(与謝野晶子)
 この歌の場合、3句が基本の5音を外れて「星の今を」と6音になっています。
 このような歌を「字余り」と言います。
 逆にそれぞれの音数に一音以上足りなくなることが字足らずです。「字余り」でも
 「アイウエオ」の母音が入ったときは許容されています。

                      了

  「むくげ」(一重)
コメント (33)
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