四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その7) 

2021年10月27日 05時30分05秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その7)   短歌の投稿を歓迎します!!

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うコーナーです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の投稿を歓迎します。

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。


  「むくげ (八重)」

「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」


☆ひさかたの 日射し射し込む 白樺の 秋を感じる ビーナスライン
☆あしひきの 山を従え 蓼科の 湖面に写す くれない紅葉
☆ぬばたまの 夢にかけた 数正の お堀に映る 姿はかなし
                      浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【解説】
 前回「枕詞」について説明させて頂きましたが、作者はさっそくそれを用いて、
 「蓼科」方面へ吟行され、短歌を詠んで頂きました。
 「枕詞」を完全にマスターされ詠まれていると考えます。なお、一首目の
 「秋を感じる」を少し変えてみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
★ひさかたの 日差しに揺れる 白樺の 秋もさやかに ビーナスライン

☆英文法必要なれど必須ではなきことを知る会話のときに
☆習ふより慣れろが英語の会話するときも必要条件らしも 
☆なにごとも囚われることよくなしと英会話するときも思はむ
                      びこさん

【解説】
 びこさんは「安易な出詠」でと謙遜されますが、決してそうではありませんし、
 私たちも、平易に詠まれたびこさんの短歌に流れる「響き」を学びたいと思います。
 私たちが成長の過程で言葉を獲得する際は、決して文法を学んで、そののちに
 言葉を学ぶわけではありませんね。改めて短歌から気付かされます。
 「囚われることよくなし」を、かみしめて参りたいと思います。

☆制服で赤い電車にぬくぬくと朝日をうけて父母を追想
                      あんりさん

【解説】
 「独楽吟」にトライされるとのコメントもありました。独楽吟は結構奥が深く
 優れた短歌も数多く生まれています。韻を身に着け、想いを整理するのにも適した
 様式と思っていますので、是非トライしてみて下さい。あんりさんらしい独楽吟を
 期待しています。
 出詠歌は、少女時代の懐かしい思い出を詠んだ、爽やかな短歌と思います。
 時空の流れと、見守ってくれた父母への想いを、少し整理してみましたが
 いかがでしょうか。
【ご参考】
★かの日々に赤い電車で通いたる 制服のわれ父母につつまれ

  「秋桜」

☆字余りに
   いつも泣く泣く
    今回は
   ピタッと決まり
     ハイ完了✋ 
                      すずさん

【解説】
 作者は「何か思いつくまま(思いつけば)書いてみようという気持ちに
 なりました」とおっしゃっていましたが、「何か思いつくまま」に大いに
 詠ってみましょう。思いが言葉になり歌になるなんて、素敵なことと思います。
 「ハイ完了」が、字足らずと気にされていましたが、これでもよろしいかと
 思います。「ハイ完了よ」との表現もありますが、いかがでしょうか。

☆友の声 長電話して 懐かしみ 若きあの頃 蘇る日々
                      Yokiさん

【解説】
 郷里の親友との語らい。「一瞬にしてうん十年前のあの頃へ引き戻され」は
 実感でしょうね。自分も友も青春の季節を共有した思いは、いつまでも
 鮮明な記憶となって残っていると思います。それゆえ一瞬にしてその時代に
 戻ることが出来るとも…。まさに思いは時空を越えますね。
 即興ですが、少し時間軸を整理してみました。
【ご参考】
★長電話 友の変わらぬ声を聴き 青春の日々 蘇りくる

☆干し物をする手の染みと皺を見る 敬老の日や老人デビュー
                      りこさん

【自家自注】リコさんご自身の解説です。
 手の染みと皺を敬老の日とどう結びつけるか、「や」は照れくささを
 表現しました。老人の仲間入りをした日です。
【解説補足】
 「手は人生を物語る」と、友人でもある写真家が語っていましたが、
 手は皺やしみも含めて、その方の歩んできた人生を、紛れもなく刻んでいると
 考えています。顔はある程度装うことが出来ますが、手だけは素のままを
 晒さざるを得ませんね。
 敬老の日に改めてデビューを決意される、その思いがこもる短歌は
 「サラダ記念日」にも似た「記念日短歌」になると拝察します。

☆大塩湖
  寒い夜明けに
    出会ったね?
   ずぶぬれ仔犬
    今は家族に💓
                      クロママさん

【自家自注】クロママさんご自身の解説です。
 生後4~5ヶ月のクロに近くの湖で、9年前に出会いました。明方まで
 降っていた雨で寒い朝でした。身体も濡れてさぞ、寒かっただろうと~
 その日の事は忘れられません。
【解説】
 愛犬、クロちゃんとの出会いを詠んだ短歌には、クロママさんの心情が
 溢れていますね。その後の9年にわたるクロちゃんとの日々を想うと、
 胸に迫るものがあります。
 「今は家族に」の句に、しみじみとした深い想いが籠るいい歌です。

  「秋桜」

☆執拗な生保レディの勧誘に戸惑っている秋の夕暮れ
☆楽しみは妻のおでんと熱燗に舌鼓打つ夕餉のひととき
                      ものくろ往来さん

【解説】
 深まりゆく秋の夕暮れ。夕餉のひと時に、奥様手作りのおでんと、
 気に入ったお酒を熱燗で味わうひと時は、まさに至福の時間ですね。
 「炉辺の幸」という言葉がありますが、二首目の短歌は、そんな言葉も
 浮かぶ味わい深い短歌と思います。

☆晩秋の海 サーファーは 黙々と ひたすら波を 追いかけ泳ぐ
                      オライ&kencyanさん

                      参照https://blog.goo.ne.jp/orai

【解説】
 「オライ&kencyan」さんの息がぴったりと合った連歌です。オライさんの写真が、そのまま短歌に
 なっていますね。四句の「ひたすら」の流れから、五句は「追いかけてゆく」もありと思いますが、
 いかがでしょうか。

☆遅く起きた日は何もしたくないアダージェットの秋のゆう暮
                      自閑(jikan314)さん

【解説】自閑さんご自身の解説です。
 blog「新古今和歌集の部屋」の亭主、自閑と号しております。短歌を学ぶ為に、新古今和歌集、
 伊勢物語、源氏物語、芭蕉俳句、漢詩、万葉集などを読んでおります。
 アダージェットは、マーラー交響曲第五番で、Adagietto。音楽の速度標語で、
 アダージョ(Adagio)よりやや速くです。映画「ベニスに死す」で流れていて有名です。
 YouTube短歌なる物を考案して、「自由律愚詠」を映像、音楽で補完すると言う趣旨です。
 題詠となります。拙blog(以下にURL示します)を御覧頂ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/be063167e4012991c26d579d9318a9e9
 新古今和歌集の三夕は、中世の連歌、茶道、俳句に大きな影響を与えた和歌で、それに対抗する
 為に、秋のゆう暮の体言止めとしました。アダージェットと言うイタリア語とマーラー交響曲の
 本歌取りです。それぞれのアダージェットと愚詠を鑑賞頂ければ幸いです。

☆萩に吹く 風は乱れをさらに増し こぼれる花の かそけくひかる
                      ポエット・M

【解説】
 晩秋の庭隅に乱れ咲く萩。その萩に吹く風は乱れをさらに増し吹き抜けてゆく。
 風にこぼれるように散る花は、早くも傾き始めた陽の光を受け、かすかに光っている。
 散りゆく花の一瞬の輝きに、魅入る想いを詠ってみました。


  「酔芙蓉 (八重)」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (8)

3.別れ (2)
   魂の
    抜けてうつろな
     我が身なり
    いくらでも吸え
     闇の憐れ蚊
   
     泣き濡れて
      深夜の街を
       さまよえば
      我を追い打つ
        無情の雨よ

      柿の実が
       月影あわき
        庭に落ち
       虫の楽隊
        ちょっと間をおく
    
    真夜中の
     夢に目覚めて
      しのび泣く
     甘美な君よ
      今はいずこに

     君も夢
      我も夢とは
       思えども
      ああこの哀しさ
        この切なさよ


  「酔芙蓉 (一重)」

【短歌入門・質問コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、さらに質問、疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からの提案、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、 意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しいです。

【繋がれいる、複合名詞】
 〇「いる」は、その動作や状態の程度が非常に深い、また、その動作に徹したり、
  その状態にすっかりなってしまったりする意を表しています。
  「ぐっすり寝―・る」「心に染み―・る」「恥じ―・る」等と使われています。
 〇「複合名詞」 動詞+名詞
  動詞のマス形と名詞の組み合わせで複合名詞ができます。
   ・慌て者、流れ星、歩きスマホ、切り株、持ち物、
  これらは名詞修飾ですが、句にしてみると
   慌て者…よく慌てる者
   流れ星…流れている星
   歩きスマホ…歩きながらスマホする
  と法則性はありません。
  よく使う名詞修飾を短縮し、複合名詞として使うようになったと推測します。

 短歌の句として使う「複合名詞」は、それぞれの方が作歌経験の中で身に着けた
 技法の一つでしょうが名詞、動詞を結び付けて、一つの言葉を作り出していく。
 そしてその言葉が読む方に伝わる工夫を重ねていく中で、少しづつ出来上がって
 いくものと思っています。

  「キンモクセイ」

【三夕の歌】
 三夕(さんせき)の歌とは、新古今和歌集に収められている以下の3首の和歌のことで、
 全て「秋の夕暮れ」という体言で、五句目が成り立っています。
 体言とは名詞の事で、「三夕の和歌」とも呼ばれています。

☆寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ(寂蓮法師)
 現代語訳:この寂しさはどこから来るというものでもないのだが、
      寂しさが我が身を包む、真木が生えている山の秋の夕暮れよ。

☆心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ(西行法師)
 現代語訳:あわれなど、既に理解するすべをもたない私にも、今はそれが
      よくわかるのだ。鴫が飛び立つ沢の、心に沁みる秋の夕暮れよ。

☆見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ (藤原定家)
 現代語訳:見わたすと、花も紅葉もここにはないが、それでも
      海辺の仮小屋にも、確かに訪れている侘しい秋の夕暮れよ。

                      了
コメント (30)
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