四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その37)

2022年06月01日 05時00分37秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その37)   短歌の投稿を歓迎します!!

  ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。  ☆☆☆
  ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。 ☆☆☆
  ☆☆☆ 緊急連絡!! 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
       誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の詠まれた短歌を
 掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に短歌を投稿し、
 鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「薔薇 マダムサチ」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】5月20日ハルニレテラス遊歩道を散策しました。5月初旬とはまるで違う景色でした。
    軽井沢の風と新緑の美しさを噛みしめて、2首作成しました。
☆この道を 歩く幸せ 噛みしめて 新緑香る 景色の変化
☆白秋が 書いた落葉松 歩く道 皐月の風が 心震わす

                         浅間山明鏡止水(knsw0805)
【詞書】5月20日星野温泉トンボの湯付近にも散策に行きましたが、何と野生の猿の群れが
    10匹以上いました。家族で行動しているのでしょうか?
☆猿の群れ 春の陽気に 誘われて 辺りうかがう ピッキオの森
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)

【解説】
 今の季節、ハルニレテラス遊歩道を散策されると、おっしゃるように「歩く幸せ 噛みしめて」が、
 実感されることと思います。軽井沢は紅葉の季節もさることながら、新緑に染まる今の季節も
 さわやかで素敵ですね。
 二首目の「白秋が 書いた落葉松」は、北原白秋が詠んだ4行8章からなる彼の代表作ですが、
 「からまつの林を過ぎて、からまつをしみじみと見き。からまつはさびしかりけり。
  たびゆくはさびしかりけり。」に始まり、
 「世の中よ、あはれなりけり。常なれどうれしかりけり。山川に山がはの音、
  からまつにからまつのかぜ。」で結ばれています。
 作者の詠歌から「からまつのかぜ」が包むように流れてきます。少し添削させて頂きましたが
 いかがでしょうか。
 ★白秋の うたう落葉松眺めつつ 歩めばそよぐ 皐月の風が


【詞書】去る5月某日に姪が、コロナでなかなか出来なかった結婚式を挙げまして、
    私も両親と参加して来ました。ほぼ両家の親族だけのこじんまりとした式でしたが、
    向こうのご両親やお兄さん夫婦、その子供達にも気に入られているのがわかる、
    いい雰囲気の式でした。
    姪は実は中学、高校とミッション系の学校で、私も高校はミッション系だったので
    知っているのですが、5月は聖母の月で、そのことを歌う聖歌の中に、青葉若葉に…という
    歌い出しの歌があるので、何となくふと思い出しまして…。
☆今宮の 青葉若葉の風の中 挙式の姪の笑顔はじけて
                         ちがやねこさん
【詞書】大河ドラマの「鎌倉殿の13人」で、カットされていた、「平家物語」の“宇治川の合戦”に描かれて
    いる“先陣争い”のエピソード。一応、“宇治川で戦っている”シーンはあったんですが、川に馬を
    乗り入れて渡る時に二人の武士が、先陣争いをする、というシーンが無かったんで、あの回を
    見ていた宇治の人達は「やれへんのかーい!」と叫んだかもなあ…と思ったわけで…。
    あれ以来、“先陣の碑”が見えるところを通るたびに、何か寂しげに見えるという…。
☆『大河では出てこなかった…』と寂しげに ぼやいてないか “先陣の碑”は
                         ちがやねこさん

【解説】
 作者は日々ISS(国際宇宙ステーション)を見るのが趣味と化しておられるとのこと。
 ロシアの状況で暗雲もありますが、ISSに象徴される宇宙への夢は、いいものですね。
 姪御さんのご結婚おめでとうございます。コロナ禍の下で式に漕ぎ着けるまでに諸々
 ご苦労があったことと思いますが、若い二人の門出を「5月、聖母の月」に祝うことが
 できよろしかったですね。一首目「笑顔はじけて」の表現が秀逸と思います。
 二首目も、ぼやくのは「先陣の碑」ばかりでなく、宇治の地元の方々もがっかりされた
 でしょうね。地元に伝わる史実は、郷土の歴史としてそれぞれの方の胸に強く刻まれて
 いますので、ドラマで表現されない残念さは十分わかります。そんな思いが滲む詠歌と
 なっていますね。


【詞書】今年はことのほか菜の花の黄色が綺麗でした。
    菜の花畑に入ると、菜の花の背丈がすっぽりと人を隠します。たくさんのあぜ道が
    あり、子供たちがかくれんぼをしていたことを詠みました。
☆畦道で幼き子らがかくれんぼ 菜の花畑 春風そよぐ
                         さわやか♪さん

【解説】
 最近は菜の花畑が方々で見られるようになり、子供達ばかりでなく大人たちも
 その景観も含めて楽しめるようになっていますね。
 背丈を越える菜の花畑でかくれんぼに興じる子供達の姿のほほえましさ、それを見守る
 作者の眼差しの優しさが覗く、味わい深い詠歌になっていると思います。
 今回も、ネットでの交流を行い添削、推敲を繰り返し、次の詠歌に整いました。
【推敲結果】
 ★菜の花の 畑で子らはかくれんぼ 花のまにまに我が身も隠れ


☆たのしみは お土産物の羊羹を 濃い目のお茶でそろり飲むとき
☆たのしみは 熱い渋茶をなみなみと 薫る草餅 一口食むとき
☆たのしみは リハビリ帰りスーパーで 草餅二つ買いてくるとき

                         shima-千恵子さん

【解説】
 三首の独樂吟は、いずれも「うん、そうそう」と頷ける場面を詠み、詩情とユーモアの
 程よいコラボレーションも感じられる楽しい詠歌と考えます。
 とくに三首目の「草餅二つ買いてくるとき」の、「二つ」に作者の生活者としての
 確かな立ち位置と、あり方を見る想いです。
 一首目は「羊羹を」に対応すると「そろり食むとき」とした方が自然かと思いますが、
 ご検討いただければと思います。



【詞書】半年に渡って続いておりました誹謗中傷も、助っ人が現れてやっと終わった
    ようです。犯人は複数のように見せかけて、やはり一人だったようでした。
    お陰様で、やっと眠れるようになれました。
    今週の出詠も、そんな状況で詠ったものですから、独りよがりで思い込みの
    強い作品ですけれども、嘘偽りのない気持ちとして出詠をさせて頂きました。
☆御年は七十四でありけれどおばあさんなどと思ふことなし
☆永遠に乙女と思ひてゐるわれを決して呼びてはならぬ老婆と
☆女帝でも老婆でもなくわたくしは永久(とは)に心の若きわたくし

                         suisenさん
【解説】
 ICTが生活の全ての分野に浸透し、その利便性ゆえになくてはならない存在になって
 久しい状況です。そのプラスの反面、負の状況も様々な場面に見られるようになって
 いることも事実です。特に、作者が半年に渡って受けた「いやがらせ」はネットに
 とどまらず、お住いの地域の議員さん達まで巻き込むひどい状況に至りました。
 作者のご努力と、「助っ人」の方の尽力もあり解決に向ったゆえ安堵しています。
 その過程で詠まれ、「負けない心」を表出した詠歌を改めて味わいたいと思います。
 「永久(とは)に心の若きわたくし」は、私たち皆の心に刻みたい言葉でもあります。


【詞書】気だるい午後 MJQ 「Summertime」を
☆まどろみながらゆうべのことを考えている
               夏の午後。
      風立ちぬ

                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 YouTubeのMJQ(Modern Jazz Quartet)「Summertime」を聞きながら、感じたままを
 短歌にしています。
 サマータイムは、ジョージ・ガーシュイン作曲のミュージカルの名曲です。
 ミルト・ジャクソンのビブラフォンが、夏の午後の気だるさを、更に加えていると
 思います。最後の「風立ちぬ」は「いざ生きめやも」と言う本歌取りの技法を使いました。
 下記urlにMJQの曲を貼付しております。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/0101f5c4445e0b023018b9475e1f0a88/?cid=25b98705961fd12dd260867ef1e7317b&st=0
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんのコメントです。
 やはりボブ・ディランの平和への力をもう一度と言う思いは、皆様強いですね。
 ただ、今の若い世代はこの歌を知っているのだろうか?歌う意味も?と言う思いです。

【解説】
 ジョージ・ガーシュウィンの代表作、オペラ「ポーギーとベス」の「サマータイム」。
 20世紀初頭、クラシックとジャズの橋渡しをしたと言われるガーシュウィンのこの曲は、
 スタンダードソングとしてジャンルを超えて数多くのカヴァーを生み出したと記憶しています。
 また、「風立ちぬ、いざ生きめやも」という有名な詩句は、ポール・ヴァレリーの詩
 『海辺の墓地』の一節を、堀辰雄が訳していますね。
 「サマータイム」と「風立ちぬ」を融合し、一つの詠歌を完成させることは「本歌取り」の
 極致とも考えます。
 作者の、短歌における積極的な「挑戦」を歓迎したいと思います。
 なお、「ボブ・ディランの平和への力」は、残念ながら若い世代に浸透しているとは
 言い難い状況ですが「イマジン」のような「持続する、静かな影響力」を信じたいと
 思っています。楽観的かも知れませんが…。

【詞書】桜、ハナミズキ、ライラックと続いて、風呂上がりに庭に出て、まだ暑苦しさの
    無い西陽が気持ちの良い季節になりました。こんな情景を詠んでみました。
☆草花にまだ軟らかき西陽さす小さき庭の風呂上がり
                         I.SATOさん

【解説】
 桜、ハナミズキ、ライラックと咲き継ぐ花は、春の移ろいを彩り鮮やかに演出して
 くれますね。
 仕事をやり終えた、風呂上がりのひと時、西日の射す庭に楚々と咲く草花を愛でる
 作者の満ち足りた姿が思い浮かびます。「ひと日の幸」を詠んだ味わい深い詠歌と
 考えます。なお「まだ軟らかき西陽さす」の春の季節の表現が秀逸ですが、五句を
 七音にして、下の句を少し調整してみました。いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★草花にまだ軟らかき西陽さす風呂上がりにも狭庭歩めば


☆白バラのほどけゆく先 朝露の滑りやまずに 光もまとい
                         ポエット・M
【解説】
 早朝に散策に行く遊歩道の一角にマダムサチ、マチルダ、アンネフランク等の素敵な
 薔薇が咲く一角があります。朝日がマダムサチの白薔薇に降り注ぎ、ちょうど蕾が
 ほどけるように咲き初める花びらを、朝露がすべる場面に出会いました。朝露が
 光を放ちつつ滑る様は、まさに恩寵にも似た瞬間ですが…、何とか詠んでみました。



「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (38)
 9.帰らざる河(4)


    逝くものはこのようなものだろうか
                『論語』

   喜びと
     言う字はほんとうに
          有ったのか
     なぜか辞書みて
        しみじみ思う

    哀しみを
      食べて生きれる
        ものならば
       どんなに楽に
         生きられましょう

      「帰らざる
         河よ」とひとり
           つぶやけば
          涙とまらず
            祖谷のかずら橋

      初恋の
        思い出にじむ
           かずら橋
        ひとり渡れば
          哀しみあらた
   
     祖谷川の
       清き水底
         しずしずと
        橋影わたる
          蒼き月影



   
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【破調について】要望により引き続き、今回も掲載致します。
 破調とは短歌・俳句などの定型詩で、音数に多少が生じることを言い、字余り・
 字足らずなどがあります。破調はあくまでも定型を遵守する上での例外的な措置と
 位置付けたいと思っています。
 なお、破調は、短歌会や結社によっては避けるよう指導されるところもありますが、
 一般的には広く許容されていると考えます。
 大切なことは調べ(リズム)が美しいか否かですが、名歌と呼ばれる歌歌に、
 極端な破調の歌は少ないと思っています。これは文語でも、口語でも同様と考えます。
 さらに破調でも字足らずの名歌というのは、知る限り少ないと考えています。

 例えば下記のように、字余りの名歌はかなりあり、有名な歌人でも正しく31音のみで
 詠う人は少ないと考えます。
 ・日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも    塚本邦雄(1句目)
 ・肺尖に ひとつ昼顔の 花燃ゆと告げんとしつつたわむ言葉は  岡井隆(2句目)
 ・瓶にさす藤の花ぶさ みじかければ たたみの上に届かざりけり 正岡子規(3句目)

 しかし、字余りには以下のようないくつかの法則があります。
 ・第1句は6音7音ぐらいなら許容され、かなり多用される字余りです。
 ・第2句~第5句は1音の字余りは許容範囲です。
 ・第4句は意外と桁外れな字余りを許しますが、例歌は少ないです。
 ・いくつかの字余りが混在する例は少ないです。

 一方、字足らずの名歌は少ないのですが、以下二首を例示します。
 ・さねさし相模の小野に燃ゆる火の火中に立ちて問ひし君はも  弟橘媛(1句目)
 ・あたらしき墓立つは家建つよりもはれやかにわがこころの夏至 塚本邦雄(5句目)
                      参照: 現代短歌辞典「角川書店」等

【投稿外コメント】自閑さんからのコメントです。歌友各位の参考として掲載します。
 破調について、新古今和歌集にも有名な歌が一首有りますので、ご紹介いたします。
  ☆阿耨多羅三藐三菩提の仏たちわがたつ杣に冥加あらせたまへ
 読み:あのくたら さんみゃくさんぼだいの ほとけたち わがたつそまに
    みょうがあらせたまえ

 伝教大師最澄の歌ですが、さすがに正岡子規も「九たび歌よみに与ふる書」の中で、
 「いとめでたき歌にて候。長句の用ゐ方など古今未曾有にて、これを詠みたる人も
  さすがなれど、此歌を勅撰集に加へたる勇気も称するに足るべくと存候。
  第二句十字の長句ながら成語なれば左迄口にたまらず、第五句九字にしたるは
  ことさらにもあらざるべけれど、此所はことさらにも九字位にする必要有之、
  若し七字句などを以て止めたらんには上の十字句に對して釣合取れ不申候。」
 と絶賛しております。和漢朗詠集などにも撰歌されて、我が立つ杣は、比叡山の
 異名ともなっており、天台座主の慈円も、おほけなく~の百人一首歌で
 本歌取りしております。
【読者からのコメント】チョウキチさんよりのコメントです。
 流石に最澄ですね。素直な祈りが伝わります、この気持ちをウクライナに。



【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                       了
コメント (16)
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