教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

特殊教育・各種学校

2006年02月16日 19時24分23秒 | 教育研究メモ
 今日の寝起きは、昨日に比べてよかったような気がします。でも昼間際まで寝てしまった… 登校後、書類づくりやら、事務仕事やらを処理。その後、明後日身だしなみにうるさい人に会いに行かなくてはいかないので、散髪へ。次に、稲垣著を読んでいたのですが、その内容に刺激されて、来月〆切の論文に使う資料を読み始めました。さらに、その資料の整理のために、ラベルを作り始めました。そうこうしていると17時になり、日本教育史読書会が始まってしまいました。読書会が終わるともうこんな時間。うーん、ほとんど中途半端に終わってしまった~
 読書会は、いつもの通り『日本近代教育史事典』を読みますが、今日は「特殊教育」と「各種学校」の項。正直言って、私にはまったく接触のなかった分野でした。その分、ほとんどみな新しい知識であったので、興味深かったです。「特殊教育」の分では、この分野のキーパーソンである古河太四郎・小西信八・石川倉次・町田則文・川本宇之介は、ことごとく大日本教育会・帝国教育会の幹部クラスの人物であり、そういえば特殊教育に関する論説や活動もところどころ見られたなあと思いました。欧米諸国に追いつくという国是に照らして日本でも特殊教育を実施すべきだという論説があったな~とか、学齢児童の就学を徹底するために特殊教育も整備すべきだという論説もあったな~とか思い出しました。
 「各種学校」の分では、いままで漠然としすぎて実態がまったくつかめなかった各種学校が、具体的にイメージできるようになりました。今で言うと、自動車学校、英語学校(イーオンとか?)、調理学校、アクターズスクール、予備校、看護学校、といったところ。学習塾はどうなんでしょうね? 各種学校と言って良いのかな? 各種学校のイメージが捉えられるようになると、小学校・中学校・高等学校・大学教育=学校教育とだけ単純に考えることは、そうとう間違った学校教育観なんじゃないか、と思うようになりました。なお、戦前日本では、夜間小学・中学、裁縫学校、宗教系学校、などが各種学校に区分されるため、これまた尋常高等小学校・中学校・高等女学校・師範学校・実業学校・高等学校・専門学校・大学といった学校だけで捉える学校観というのもだいぶ間違ったものじゃないかと思ってきました。近代日本教育史において、学校教育史はかなり重要で大きな分野だと思いますが、各種学校にまで目配りできている通史はなかなかないように思います。必要ないのでしょうか?
 ちなみに、『日本近代教育史事典』の全体の傾向でもあると思いますが、「特殊教育」「各種学校」の項は法律の変遷の紹介に偏っています。わかったような、わからないような。そもそも公教育からは阻害されてきた分野ですから、こういう書き方では歴史像が描けないような気がします。
コメント
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