教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

私の授業作り―シラバス作成・教材研究・授業案等作成

2015年05月14日 23時55分55秒 | 教育研究メモ

 ごぶさたしておりますが、元気に生きております。

 ただいま、授業作りに邁進中。これまであれこれ作ってきた授業をベースに、新たに教材研究を加えております。結局時間が足りなくて、授業づくりというか授業改善が続いていますが(^^;)。
 今年で大学教員9年目(非常勤1年・助手扱助教1年含む)になり、だんだん後輩が増えてきました。母校の教職課程担当教員養成プログラムにもたまに関わるようになり、後進養成のことも考えなくてはならないライフステージに入ってきてしまったようです。授業作りの方法については、各教員いろいろだと思いますが、後進の参考に私のやり方を簡単に紹介してみたいと思います(主に講義作り)。

 授業を作る前に、シラバス作成について少し整理しておきます。シラバスを作成するとき、私はまず前任者のシラバスを検討します。長い間行われてきた実践を大事にして参考にしたいからです。その結果、自分の力量・専門性や学生の予想を踏まえて、内容を総入れ替えすることもあれば、若干活用することもあります。
 次に、履修学生の傾向を検討します。その大学・学部・学科のカリキュラムや関連科目のシラバスを検討したり、教職科目であれば対象免許状の種類を検討したり、わかればその大学の入学者の傾向などを検討したりして、履修学生の興味関心の方向性を予想します。その大学・学部・学科のカリキュラムや、関連科目のシラバスはかなり参考になります。とくに関連科目の開講時期には要注意です。何を学生が学んで自分の科目を履修するか、自分の科目の後に何を履修するかがわかれば、内容の選択の際に大いに参考になります。ほかの科目と同じ内容を扱うのは繰り返し学習になっていいこともありますが、比べられて学生のモチベーションが急激に下がることもあるので注意が必要です。また、免許状の種類を気にすると今まで作ってきた授業内容をそのまま使えなくなることもあり、かなり大変な授業準備が必要になりますが、ここがズレていると、学生だけでなく授業者も授業中に苦しむことになります。(そんなことを考えながら生きてきたら、乳幼児から小・中・高・成人までの教育原理の授業ができるようになってしまいました笑)
 その次に、自分が教えたいことを前面に持ってきて、何を目的にし、何を各回のテーマにするか、どの順番にするか、どんな達成目標にするか、何でどのように評価するか、検討します。各回のテーマを決めるときは、基本的に何を教えたいかをある程度具体的に想定して決めます(おおよそ学術論文の章構成を考えるような程度ですが)。後の教材研究のために、基本的に使う予定の教材(研究書など)はこの段階で決めておくと便利です。最低でも1冊は考えておくべきでしょう。なお、評価方法を考える時、何人くらいの履修生がいるかがとても大きな判断材料になります。私は基本的に形成的評価を採用したいので、途中のフィードバックがどの程度できるかが大きな関心事だからです。
 シラバスがちゃんと出来ていると、授業作りの際に何をすべきかはっきりしますので、後が楽です。

 毎回の授業作りは、まず教材研究をします。最初は、教材になり得る本をひたすら読みます。ばしばし線を引き、どんどん付箋を貼ります。後から授業案をまとめるときに便利だからです。経験上、2~3冊読めば、学生たちに伝えたい何かがぼんやり見えてくると思います。
 次に、教材研究した本の内容をメモ書きしてまとめていきます。私は裏紙などを使って、大事な内容や、おもしろい内容を書きなぐっていきます。裏紙を使うのは書くことを惜しまないためで、気にならなければノートでもいいと思います。メモ書きがたまってくると、ぼんやり見えていた伝えたい何かが、だんだんまとまってきます。
 そして、授業案の作成に取りかかります。講義の場合、ほぼすべての授業案は簡略に作っており、ほぼ板書案と同義です。あまり詳しく書くと、学生の反応に対応しにくくなります。私は、自分の気分や学生の反応に沿って付け加えたりするので、講義録を作ってしまうと逆にやりにくいです。何より時間配分が狂うので私には向いていません。板書案は、いわば論文構成・レジュメのようなものです。ただし、論文と同じように言いたいことを後に持っていくと、だいたい学生の集中力が保ちません。プレゼンテーションと同様、言いたいことは先にもってくるように内容順序を工夫して構成します。板書案は試行錯誤しながら作っていきますが、その過程で何を伝えたいか、何を学生に考えさせたいかなどがはっきりしてきます。熟考してから取りかかる方が向いている方もいると思いますが、私は計画しながら固めていく方が向いています。演習授業の場合は、板書案も少し計画しますが、主に計画するのは授業の流れと時間配分です。最近はこのあと、学生の理解を進めるためにPPを作ることが多くなりました。なお、授業案を作成していくなかで、何を追加教材にするか考えることも大切です。
 授業案をあらかた計画したら、追加教材(プリント)を作成します。ここで大事なのは、一つ一つの資料を授業過程に沿って順番に配置することです。時間がないときは無秩序に作ってしまいがちですが、授業時に授業者も学生も見つけるのに迷ってしまって集中力が散漫になります(その間に考えるのをやめる学生もいます)。学生の興味喚起や理解を進めるため、文字資料だけでなく、画像資料もなるべく選定しましょう。
 追加教材の作成をしながら、授業案を仕上げます。追加資料を印刷して準備完了です。今の所属校は学生へのiPad配布が進んでおり、かつペーパーレス化の圧力も年々強くなってきているので、最近は、講義用HPにアップして印刷しないことも増えてきました。

 私は授業を重視するので、上記のように徹底的にやっていますが、やり方はみなさんそれぞれだと思います。私のやり方でやると、時間がかかるのはもちろんですが、かっちりしすぎて融通を利かせるのが難しいのが難点です。
 このやり方の原型は、M2の時に行った教育実習の時からだったような気がします(学部はゼロ免課程だったので、教員免許は大学院の時に取りました)。Dの時に行かせていただいた高校非常勤の時も、だいたい同じような授業づくりをしていました(この方法が一番自分に合っていると思ってきたのはこの頃です)。
 結構大変です。正直投げ出したくなることもありますが、学生たちに「ああ、勉強になった!」と感じて欲しい、というのが私の授業作りを続ける最大のモチベーションです。

 何か書き忘れているかもしれませんが、だいたい上記のやり方が私のやり方です。

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