11月23日の中国四国教育学会で発表します

　この土日11月23・24日に、中国四国教育学会第76回大会が岡山大学で開催されます。このうち23日の午前の部の最後（11:20～）から、「明治日本の辞典における「研究」概念」と題しまして研究成果を発表します。

　基本的には、教育学研究と教員の教育研究の関係史について、手がかりをつかむための研究ですが、「研究」という日本語の概念史研究としても大事なのではないかと思っています。言語学や日本語学の方は多少調べた程度ですが、大変意外なのですが、私が知る限り「研究」の語源・概念史研究は見当たりませんでした（だれかご存じでしょうか…ご存じでしたら白石までご連絡いただけると喜びます）。

　具体的には、明治期の国語・漢和・和英・英和・哲学・教育学辞典を博捜して「研究」や関係する語の語義を整理し、そこから「研究」概念の中核となる意味や意味の変遷について考察します。「研究」はもともと漢語で、明治期に英訳に使われるようになりましたが、明治期を通じて、日本語としての語義を変化させるとともに、対応する英単語を変化させていました。語義や訳語の変化についての因果関係についてはまだわからないことばかりですが、少なくとも教育学のいう「研究」と、教員を含む人々が一般的に行っていた「研究」や哲学の「研究」との間に、語義の違いが現れ、異なる概念をもってきた時期がいつ頃なのかは特定できました。

　教育学研究と教員の教育研究の関係史についての研究を、この10年ほどの間、ぼちぼち続けてきましたが、そろそろ一つにまとめようと思っているので、そのための大事な成果になりそうです。

 

明治のことば: 文明開化と日本語 (講談社学術文庫 1732) 斎藤 毅 講談社

 

「エビデンスに基づく教育」の閾を探る――教育学における規範と事実をめぐって 杉田浩崇 春風社