竹中直人監督作品5作目。第七藝術劇場で観た。
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海を臨む病院に勤める医師・正平(竹中直人)の元に、子宮がんを患った未知子(原田知世)が入院してきた。偶然にも未知子は、正平が高校時代思い焦がれた初恋の人、その当人であった。
気軽に独り身を謳歌しているかに見える正平には、長年付き合っている居酒屋の女将・聖子(中島唱子)や、最近知り合い、いきなり援交を申し込んできた女子高生・まなみ(水田芙美子)がいるが、心の中は二十数年もの間一途に思い続けてきた未知子でいっぱいだ。
「思い出してくれましたか ? 僕のこと」
そう問いかける正平だが、肝心の未知子はすっかり正平を忘れている様子。
一方の未知子にも長年の恋人・雅夫(段田安則)がいた。雅夫は今をときめく売れっ子スタイリストだ。しかし浮気性の雅夫には、未知子の友人で、彼女が作るガラス細工のランプを売るアンティーク・ショップの経営者・あき子(雅子)という愛人がいた。
献身的に治療を施しながら、なにかと自分を思い出してもらおうと試みる正平。始めのうちはしつこくされて迷惑気味の未知子だったが、いつしかそんな彼に心を開いていく。
化学療法が効き未知子は手術できる状態にまで回復した。自分で執刀したいと願う正平だったが、正平自身の体調を心配する後輩の医師・前田(内村光良)の薦めで、担当は子宮がんの権威・巌岳先生(中島みゆき)に決まった。
そして、いよいよ手術の日がやってきた・・・。
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鎌倉が舞台となっていて、その点を含め小津安二郎監督作品の影響を感じさせた。ストーリー自体は男の妄想だと思った。それが竹中直人の真骨頂なんだろうが、あまりに自惚れていて困っちゃった。今回は原田知世の涙ぐらいしか見るべきところはなかったのかも。退屈ではなかったけれどシナリオにもう少し客観的な視点があれば竹中直人ファン以外にもアピールしただろう。