10月12日(木) 晴。
阪神タイガースの片岡篤史内野手(37)が引退した。今季の甲子園最終戦にスタート・メンバー6番・サードで出場し、試合後に引退セレモニーが行われた。この模様はサンテレビで生中継され、僕はパ・リーグ・プレーオフ第二ステージ、日ハムVSソフトバンク戦のテレビ中継そっちのけで見た。
阪神の今夜の対戦相手は10日にリーグ優勝を決めたばかりの中日ドラゴンズ。そのチームには片岡とPL学園で同級生だった立浪和義がいた。立浪はシーズン途中、若い森野にレギュラーを奪われた。しかしこの試合にはスタメンでの出場を監督に直訴して、3番・レフトでグラウンドに現れた。
「意味のある偶然」 - シンクロニシティというものがこの夜にはあった。片岡と立浪はなんと数奇な縁で結ばれているのだろう。中日が優勝を決めていなかったら片岡は引退発表を先に延ばしシーズン終了後にしていたかもしれない。甲子園最終戦は雨天順延となり立浪のいる中日戦となった。球団は試合後引退式を片岡のために用意した。もうひとつ付け加えるとするならかつて片岡が10年在籍した日本ハムファイターズがこの日リーグ優勝した。
甲子園の観客席で片岡と立浪がPL学園の野球部だったころの監督中村順司が試合を見ていた。試合は優勝を決めた中日が主力を休ませたため阪神が快勝した。片岡もタイムリー・ヒット、レフト・オーバーの二塁打と二安打を放ち活躍した。ゲームセットの後、ベンチに引き上げる時、片岡の目から涙が落ちた。
試合後のセレモニーには中日から立浪、福留(PLの後輩)、井上選手会長が参加した。彼らは花束の贈呈をした。立浪と片岡はひしと抱き合いお互い涙を流した。片岡は律儀に日ハムの恩師や阪神球団、阪神と中日のチームに、そして観客にお礼を言った。"夢舞台"甲子園で最後にプレイしたことを喜んだ後、思うようなプレイができず泣きながら甲子園から帰ったこともあったと率直に話した。
3塁側ベンチの前でずっとセレモニーを見つめていた立浪の目からは止めどなく涙がこぼれていた。友の引退式に彼ははらはらと静かに泣いた。秀太、藤本、阪神の若い内野手も泣いていた。最後に阪神の選手と中日から立浪、福留、上田が加わり三塁の守備位置で片岡を胴上げした。片岡は5回宙を舞った。
画像はデイリー・スポーツonlineの記事から。