2012年09月16日プレイリスト
「ハル・デヴィッド追悼で棚からひとつかみ」
1. 悲しみのJODY / 山下達郎 "OPUS ALL TIME BEST 1975-2012" 09月26日発売
2. MAKE IT EASY ON YOURSELF / THE WALKER BROTHERS '65
3. DON'T GO BREAKING MY HEART / ROGER NICHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS '67
4. WIVES & LOVERS / JACK JONES '63
5. A HOUSE IS NOT A HOME / LUTHER VANDROSS "NEVER TOO MUCH" '81
6. YOU'll NEVER GET TO HEAVEN / THE STYLISTICS "ROUND 2" '73
7. TO WAIT FOR LOVE / 山下達郎 "レアリティーズ" '02
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■内容の一部を抜粋
・近況
番組は前倒しで収録。オールタイム・ベスト・アルバム『OPUS ~ALL TIME BEST 1975 - 2012~』の発売が近づいてきたので、プロモーションで今週から来週にかけてラジオ出演の録音を行うそうだ。本来ならば発売前の今週と来週の二週間かけて番組で特集するべきなのだが、なにしろCD3枚組で全49曲、総プレイングタイムが3時間半を超えるので、オリジナル・アルバムのように全曲をオンエアする時間がない。また今回はベストなのでそうした全曲紹介のプログラムにすることはないし、どちらにしろ曲数が多いので二週間かけても焼け石に水になることから、来週だけ特集することにしたという。
・悲しみのJODY
オールタイム・ベスト・アルバム『OPUS ~ALL TIME BEST 1975 - 2012~』から。1983年、達郎さんが30歳のときのアルバム『MELODIES』の1曲目に収録。アルバム『MELODIES』は'90年代にリマスタリングしたものが流通しているので、今回初めて現代的なデジタル・リマスタリングを行ったそうだ。
「ちょうど、この季節を背景にした歌でございます 」と達郎さん。
・ハル・デヴィッド追悼で棚からひとつかみ
ハル・デヴィッドが先日亡くなった。享年91歳なので大往生。ハル・デヴィッドはバート・バカラックのパートナーの作詞家。人が生きることをテーマにした詩が多い。今週はバート・バカラックの曲の中からハル・デヴィッドの訳詞をしながら、ハル・デヴィッドの追悼で「棚からひとつかみ」。
・MAKE IT EASY ON YOURSELF
1965年のウォーカー・ブラザーズの「MAKE IT EASY ON YOURSELF」。全米16位、全英で1位。邦題は「涙でさようなら」。もともとはジェリー・バトラーが1962年に歌ったのが初出。ウォーカー・ブラザーズの「MAKE IT EASY ON YOURSELF」は達郎さんがはじめてバカラック/デヴィッドのソングライター・コンビを認知した曲だそうだ。日本に入ってくるのは一年遅れの1966年、達郎さんが中学二年のとき。アルバムにはスコット・ウォーカーの好きな作家がジャック・ブレルとバート・バカラックと書いてあったとか。それがバカラックの名前を聞いた最初なんだそうだ。ずっと後になってハル・デヴィッドの作品は人の痛みや、悲しみとか喜びを、ひじょうに優しく包む歌詞だと知り、研究するようになったという。
君が彼を本当に愛していて 私にできることが何もないなら 私の気持ちに構わないで もう終わりだとただそう言って 自分を責めなくていいから あなたの楽な方法でいいから だって別れるのはとても辛いことだから いくら抱きしめても 彼の優しい触れ方にかなわないのなら どんな慰めの言葉もあなたを恋しく思う気持ちを軽くしてくれない これがさよならならば 私はきっと泣いてしまう だからあなたまで泣いてしまわないうちに 早く彼のもとに行って 自分を責めなくていいよ あなたにとって楽な方法でいい だって別れるのはとても辛いことだから
・DON'T GO BREAKING MY HEART
もともとはディオンヌ・ワーウィックの1965年のアルバム『HERE I AM』に収められていて、その後いろんな人がカヴァーしている。日本でいちばん人気があるのは1967年のロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズのヴァージョン。
雨が一粒落ちたって 太陽が消えるわけじゃない 行かないで このハートを引き裂かないで 葉っぱが一枚落ちたって 5月が9月になるわけじゃない 行かないで このハートを引き裂かないで 私が間違っていた びくびくしながら細かな砂粒で大きな山を築こうとしていた どうぞこの恋を捨ててしまわないで 私は少しのあいだ道に迷っていただけ このハートに微笑み方を教えて 一度さよならを言ってしまったらもう愛は終わり 行かないで このハートを引き裂かないで 私の愛は空が崩れ落ちてきたって変わらない 行かないで このハートを引き裂かないで さあこの腕に永遠に此処にいて そして私を愛して
・WIVES & LOVERS
ハル・デヴィッドは1921年生まれということは大正10年。達郎さんのお母様より少し下の世代。当然、戦中派の世代。ロックンロールの世代ではなくて、ミドル・オブ・ザ・ロードの、大人の作詞家。だから人間観察というのがロックの歌詞と違う。その大人の作詞家の持ち味が十二分に発揮されてるのが「WIVES & LOVERS」。1963年にジャック・ジョーンズが全米14位のスマッシュ・ヒットを記録した。
ねえ君 髪をとかして化粧をしなよ すぐに彼がドアを開けて入ってくるから その指にリングが光ってるからって もう自分を磨かなくていいと思っちゃだめだよ 奥さんはいつだって恋人でもあるべきなんだから 彼がドアを開けるや否や その腕に飛び込まなくっちゃ 僕の忠告を聞いてよ 来る日も来る日も彼のオフィスには女の子でいっぱい 男は誰でも所詮男なんだぜ カーラーを巻いたままで彼を見送ってなんかいたら もう帰ってこないかもしれないよ 奥さんはいつだって恋人でもあるべきなんだから 彼がドアを開けるや否や その腕に飛び込まなくっちゃ さあもうすぐ彼が帰ってくる ねえ君 もっときれいな服を着たほうがいいよ 街に出るときに着るような服を そして家中の明かりを少し落として ワインを注いで音楽をかけて さあ準備はいいかい ほら彼が帰ってくるよ 恋する気分を思い出して
・A HOUSE IS NOT A HOME
1964年にディオンヌ・ワーウィック、同じ年にブルック・ベントンがそれぞれチャートイン。1981年のルーサー・ヴァンドロスのヴァージョンが「A HOUSE IS NOT A HOME」の歌の解釈としては最高。ルーサー・ヴァンドロスのソロ・デビュー・アルバム『NEVER TOO MUCH』のB面の最後に収められている。
誰も座ってなくても 椅子は椅子 でも椅子は家じゃないし 抱きしめてくれる人もない おやすみのキスもする人もいない家は家庭ではない 部屋は部屋 暗がりしかなくても でも部屋は家ではない そして部屋は家庭じゃない 二人が別れていてどちらが傷ついていては たまに君の名前を呼ぶと 君の顔が現れるけれど 終わりは涙と決まってる悲しいゲーム たった一度の間違いで別れるなんてお願いだから言わないで 一人で生きていけない この家を家庭にしてほしい 階段を上がって鍵を開けたとき 僕は愛したままの君がいればいい
・オールタイム・ベスト・アルバム
3枚組のベスト・アルバムがいよいよ9月26日に発売されることになった。1975年にシュガーベイブでデビューしてから37年、ソロ・デビューから35年、エレック時代からRCA/AIR、ムーン、ワーナーとレーベルを越えた編成。タイトルは『OPUS ~ALL TIME BEST 1975 - 2012~』。CD3枚組全49曲。ボーナス・トラックとして新曲の「愛を教えて」を収録。初回限定盤
詳しくはワーナーミュージックの特設サイトで。
http://wmg.jp/tatsuro/
・ぴあ Special Issue ~山下達郎“超”大特集号~
ぴあが40周年を迎えたので一回だけ復活されることになった。それが山下達郎超特大号となる。9月26日発売の『OPUS ~ALL TIME BEST 1975 - 2012~』に合わせて「ぴあ Special Issue 山下達郎"超"大特集号」を発売。その中で読者の投稿コーナー「はみだしYOUとPIA」をもじった「はみだしYOUと達郎PIA」を募集しているそうだ。読者からの「あなたと山下達郎さんのエピソード」を募集中とのこと。
http://t.pia.jp/feature/tatsuro-pia/index.html
・プレゼント
『OPUS』のジャケット(とり・みきさんのイラスト)をあしらったTシャツを20名にプレゼント。S・M・L・XLとサイズを用意しているのでサイズ指定して応募してほしいとのこと。締め切りは『OPUS』の発売日頃。
オールタイム・ベスト・アルバム『OPUS ~ALL TIME BEST 1975 - 2012~』にも応募ハガキが封入されており、抽選で3500名に山下達郎の歴代のジャケットをプリントしたTシャツ(AからHまでの8パターンの中から選ぶ)を3枚セットでプレゼント。応募締め切りは10月1日。
詳しくはワーナーミュージックの特設サイトで。
http://wmg.jp/tatsuro/
・YOU'll NEVER GET TO HEAVEN
もともとはディオンヌ・ワーウィックの1964年のスマッシュ・ヒット。1973年のスタイリスティックスのアルバム『ROUND 2』に収録されて全米23位。アレンジがトム・ベルなので素晴らしいオーケストレーション。
黄金律を必ず守るようにとは母は話してくれた そして母は言っていた 卑しく残酷になることは本当に罪深いことだと だからもしあなたが偽ってるなら忘れないで 天界の天使たちはいつもあなたを見ていることを もし私の心を裏切ったなら あなたは天国に行けなくなってしまうはず だから私たちが離れ離れにならないように いつも気をつけていて もし私の心を裏切ったなら あなたは天国に行けなくなってしまう そんなの嫌でしょ あなたがどんなに遊び回ってるかって いろいろな噂を聞いてきたわ たとえそんな噂を信じなくても やっぱり気が滅入るものよ もし万が一あなたがさよならを言ったとしたら 天使たちも泣くほど恐ろしいことになるわ 決して裏切るようなことはしないって言う日を待つのはもうたくさん その日こそ私がずっと夢見てきた日 それが今現実になってきてるのよ あなたはこれからもずっと私を大事にしてくれると約束してくれた 忘れないでもしその約束を破ったら 天使たちがそれを見逃しはしないことを もし私の心を裏切ったなら あなたは天国に行けなくなってしまうはず だから私たちが離れ離れにならないように いつも気をつけていて もし私の心を裏切ったなら あなたは天国に行けなくなってしまうから そんなの嫌でしょ
・TO WAIT FOR LOVE
達郎さんがレコーディングしたバカラック/デヴィッド作品。2002年のアルバム『RARITIES』に収録されている。もともとは1993年の『SEASON'S GREETINGS』のアウトテイク。
「TO WAIT FOR LOVE」もカヴァーの多い曲。ヒットしたのは1968年のハーブ・アルパートのヴァージョン。達郎さんが初めて聴いたのはトム・ジョーンズのヴァージョンだとか。
恋をしないのはいつだって悲しい一日 明日まで待ったりしないで 恋を待つなんてただ人生を無駄にしてるだけ 夢は現実になるものなんだ あまりグズグズしていたらその夢をほかの誰かが代わりに見つけてしまう 恋を待つなんてただ人生を無駄にしてるだけ だからその唇を僕の唇に押し当てて その胸の温もりで僕をドキドキさせて 恋する時間は限られてる だからもう待つのをやめて 二人なら一緒に幸せを見つけられる そうさ恋をしないのはいつだって悲しい一日 君に喜びをもたらしてあげたいんだ 恋を待つなんてただ人生を無駄にしてるだけ 僕の言うことに耳を傾けて 明日には真実の愛もどこかに飛び去ってしまうかもしれない だから今日恋をしよう もう人生を無駄に過ごすのはやめて 恋に落ちようよ
■リクエスト・お便り・プレゼントの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
09月23日は、「OPUS All Time Best 1975-2012 解説&特集」
http://www.tatsuro.co.jp