2013/09/10 OnAir - 2nd. Week - ブルース・ロック特集~萩原健太氏を迎えて~ 第二回
01.Stevie Ray Vaughan & Double Trouble:Pride and Joy
02.The Georgia Satellites:Keep Your Hands to Yourself
03.The Jeff Healey Band:Confidence Man
04.Booker T. Jones:Broken Heart (feat. Jay James)
05.G. Love & Special Sauce:Shooting Hoops
06.The White Stripes:Stop Breaking Down
07.The Derek Trucks Band:Home In Your Heart
08.Gregg Allman:Floating Bridge
09.佐野元春 & The Coyote Band:Zooey
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・ブルース・ロック特集~萩原健太氏を迎えて~ 第二回
音楽評論家の萩原健太さんを迎え先週に引き続いてブルース・ロックを特集する。今夜はその第二回目。'80年代以降のブルース・ロック特集。
・Pride and Joy
'80年代に入ってデジタルの波が押し寄せて音楽が変わってきたところに出てきたのがスティーヴィー・レイ・ヴォーン。「こんなアナログなヤツが今でもいるんだ」と健太さんは思ったという。元春は'83年から'84年にかけてのニューヨーク滞在中にデイヴッド・ボウイがスティーヴィー・レイ・ヴォーンをレコーディングやライヴに起用してハプニングした瞬間を見てるそうだ。1984年の「Couldn't Stand The Weather」のビデオ・クリップでは嵐に向かってギターを弾いている。どんどんデジタルの方にながれてゆく中で生の手触りを教えてくれたのがスティーヴィー・レイ・ヴォーンだと健太さん。元春もスティーヴィー・レイ・ヴォーンの演奏が好きでもニューヨークのダウンタウンのクラヴでよく見たという。実際に話もしたことがあり無骨なテキサス州の男という感じがしたとか。バンドは3人編成だがギターのサウンドがいろんなふうに聴こえたそうだ。ギターはフェンダーのストラトキャスター1本で演奏していたという。
・Keep Your Hands to Yourself
1986年に登場したのがジョージア・サテライツ。アトランタ出身でダン・ベアードというリード・ギターとシンガーの男がやっていたバンド。アルバム全部スリー・コードのブルース進行でブギをやっていた。「Keep Your Hands to Yourself」は当時全米2位を記録した。
・Confidence Man
カナダ出身のジェフ・ヒーリーは一歳のときに失明したという盲目の男。ひざの上にギターを置いて、ネックを左で上から押さえる鍵盤を弾くようなスタイルの演奏法。その演奏スタイルは手に汗を握るような、持って行かれる、精神的に高い次元にあるギター演奏で、元春の中では特別なブルース・ギタリスト。ルーツ音楽の目線も確かでCCRをカヴァーしたりして音楽の幅を見せてくれると健太さん。ジャズのカヴァーもやっていたが2008年にガンのため41歳で亡くなった。「Confidence Man」はジョン・ハイアットの作品。
・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月9月の「3PICKS!」はテデスキ・トラックス・バンド『Made Up Mind
・ブッカー・T・ジョーンズ
'60年代、スタックス・レコード専属のスタジオ・バンド、ブッカー・T & MG'Sのオルガン・プレーヤーがブッカー・T・ジョーンズ。ギター、スティーヴ・クロッパー、ベースがドナルド "DUCK" ダン、ドラムス、アル・ジャクソン。このグループはオーティス・レディングをはじめとしてウィルソン・ピケット、サム & デイヴ、エディ・フロイドといったR & Bシンガーのバッキング・バンドとして数々のレコーディングを行った。その功績は計り知れないものがある。そのグループでオルガンを担当していたブッカー・T・ジョーンズが久し振りに古巣と言っていいスタックス・レーベルに戻って新しいレコードを作った。通算10作目に当たるソロ・アルバムでアルバム・タイトルは『Sound The Alarm
「自分もこのハモンド・オルガンの音色がとても好きで自分のバンドでは欠かせない楽器のひとつとなっています。ちなみに自分の中で3大オルガン・プレーヤーというとジミー・スミス、ジョージィ・フェイム、そしてブッカー・T・ジョーンズ。この3人ですね。それぞれ独特の素晴らしいオルガン・サウンドを持っています」と元春。
ブッカー・T・ジョーンズの新しいアルバム『Sound The Alarm
・Shooting Hoops
ここからは'90年代以降のブルース・ロック。
G. ラブ & スペシャル・ソースの1994年のデビュー・アルバムから「Shooting Hoops」。この時代はブルースをやるときにどういう切り口でやるのかというアプローチが重要になっていたと健太さん。フィラデルフィアを拠点にした白人のブルース・トリオのG. ラブ & スペシャル・ソースは生演奏ながらヒップホップの感覚を持ってるという。同じような時代に出てきたベックもブルースやカントリーのルーツ・ミュージックをその時代の新しいヒップホップのビートに乗せていたが、G. ラブ & スペシャル・ソースは生身の楽器でヒップホップ感覚を表現するというところがめちゃくちゃかっこよかったのだとか。「その時代に呼吸してるブルースを歌えたという感じがしますねぇ」と健太さん。
・Stop Breaking Down
ホワイト・ストライプスはポスト・パンク以降のオルタナティヴの感覚でブルースやカントリーにアプローチを仕掛けていた。ロックンロール・ホール・オブ・フェイムのニューヨーク支部が一瞬だけできたことがあり、健太さんが観に行ったときにブルース・ロックの歴史を掲示している場所があり、ヤードバーズからはじまり、レッド・ツェッペリンなどもあって、いちばん最後に飾られていたのがホワイト・ストライプスだったという。1999年のデビュー・アルバムから「Stop Breaking Down」。この曲は1937年のロバート・ジョンソンの曲のカヴァー。
・Home In Your Heart
2000年代のブルース・ロック。先週の「3PICKS!」で取り上げたテデスキ・トラックス・バンドの前身でデレク・トラックス・バンド。「独特のスモーキーなサウンド。あまりトレブリンじゃない、ちょっと鼻に詰まったような、くぐもった、それがまたなにか情感を表現しているような、僕はこのギタリストの音、すごく好きですね」と元春。「この人抜きでは今後のブルース・ロックは語れないだろうなというふうに思いました」と健太さん。2002年の『Joyful Noise』からソロモン・バークが1963年にリリースしたオーティス・ブラックウェルの曲を、ソロモン・バークをヴォーカルに迎え入れてレコーディングした「Home In Your Heart」。
・Floating Bridge
デレク・トラックスとも関係の深いグレッグ・オールマンの2011年のアルバム『Low Country Blues』から「Floating Bridge」。1960年代の後半にオールマン・ブラザーズ・バンドでデビューして、サザン・ロックといわれたが、ブルース・フィーリングやカントリー・フィーリングを下敷きにして、少しジャズの方向に発展したような独自のサザン・ロック・サウンドで人気を博した人。ソロ・アルバム『Low Country Blues』ではルーツに戻ってただのブルースをやっている。
・Zooey
日本のブルース・ロック・バンドで健太さんが好きだったのは1960年代の後半のブルース・クリエーション。竹田和夫さんのギターと布谷文夫さんのヴォーカルで混沌としたところも含めてブルースを感じさせてくれるバンドだったと健太さん。
十代の頃は元春も健太さんもそれぞれバンドでブルース・セッションをやっていたという。元春はキーボードで、オルガンやピアノでセッションに入ってやっていたとか。言葉を交わすよりブルース・セッションをしたほうがどんな音楽を聴いてきたかわかるのだという。
新しい世代ではアメリカのゲーリー・クラーク・ジュニアが素晴らしいと元春。「僕の世代では米国の'60年代、'70年代の音楽を聴いて育ちましたから、どんなポップ・ロックにも根底にブルースがある。この感覚はどうしても否めないですね」と元春。
「自分もソングライターとしてブルース音楽というのはとても大事に考えていて、ブルースの感覚というのは僕なりにあるわけですよね。決して米国のものだけではなく、今やユニバーサルな感覚ではないかなと思うんですよね、ブルース音楽というのは」と元春。
佐野元春 and The Coyote Bandの2013年のアルバム『ZOOEY
・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/