2016/01/12 OnAir - 2nd. Week - 伊藤銀次、杉真理、佐野元春が贈る新春DJトライアングル #2
01.Badfinger:No Matter What
02.Elton John:Rocket Man (I Think It's Going to Be a Long Long Time)
03.Bee Gees:Run to Me
04.Gilbert O'Sullivan:No Way
05.George Harrison:My Sweet Lord
06.杉真理:オー・プリティ・ウーマン ~トリビュート・トゥ・ロイ (Duet with ムッシュかまやつ、南佳孝&杉真理)
07.Nat "King" Cole:Almost Like Being In Love
08.Mel Torme:Nice Work If You Can Get It
09.Tony Bennett & Bill Charlap:Long Ago and Far Away
10.大滝詠一:君は天然色
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは佐野元春です。この番組は東京赤坂TBSのスタジオからお届けしています。今週もやってきました、Motoharu Radio Show。待っていてくれたみなさん、どうもありがとう。さて今夜の放送、スタジオには素晴らしいゲストを迎えています。先週に引き続いてMotoharu Radio Show特別番組、伊藤銀次、杉真理、佐野元春が贈る新春DJトライアングル。今夜はVOLUME 2をお届けします。火曜の夜はMotoharu Radio Show。DJ、佐野元春がお送りします。
佐野元春 : 今夜スタジオには素晴らしいゲストが来てくれています。伊藤銀次、そして杉真理、先週から二週にわたって放送。今夜もよろしくお願いします。新春DJトライアングルということで、前回は番組を三等分して銀次、杉くん、そして僕とひとりずつ、それぞれのスタイルでDJをやっていこうという、そんなアイディアでやっています。今回も引き続き同じやり方でDJトライアングルお届けしたいと思います。
ではまず僕からなんですけれども、テーマを設けてみました。「僕が16歳のときによく聴いた曲」ですね。まぁ"SWEET 16"という言葉があるけど、いちばん人生の中で多感な頃、僕はね16のときにいろんな物事が見えてきたというかね、こどもでもなく大人でもなく、そうちょうど中間にいてマジック、男の子にとって16というのはマジックのときではないかなと思ってますね。その16歳。1972年でした、僕の場合はね。今夜は1972年のヒット・レコードの中から、特に僕の胸をヒットした3曲を紹介したいと思います。まずはビートルズ・アップル・レコードからのバンド、バッド・フィンガー。曲は「No Matter What」。そしてエルトン・ジョン「Rocket Man」。2曲続きます。
・No Matter What
・Rocket Man (I Think It's Going to Be a Long Long Time)
元春 : 2曲とも当時ラジオでよくかかっていましたね。こうしたいわゆるHOT100に上がってくるヒット曲と同時に、グランドファンクレイルロードとか、それからレッド・ツェッペリン、マウンテン、こうしたハードロック勢を横で聴いていつつ、バンドをやりたいんだけれども、自分の目指してる音がなかなか出せないで...
銀次 : まだ練習スタジオとかなかったからね。
元春 : そうなんですよね。でも、ちょうど13歳、14歳ぐらいのときから曲を書きはじめていましたから、そろそろオリジナル曲もだいぶ溜まってきたんでね、僕のマイ・バンドがほしいと思っていた頃でしたね。
真理 : 「Bye Bye C-Boy」はこのちょっと後?
元春 : はい。「Bye Bye C-Boy」はそうですね、16、17ぐらいのときに書いたと思うんだよね。で、この「Bye Bye C-Boy」であるコンテストに出たら、僕はそこで杉くんと出会うことになるんです...
真理 : そうなんです。ショックでした。「Bye Bye C-Boy」聴いたとき。けっこうお山の大将で、「いい曲作るんだ、俺」なんて思ってたらあの曲聴いて、「あっ、すいませんでした。もう一回やり直します」。そのとき佐野くんが、「何曲ぐらい作ってんの?」って僕が訊いたら「600曲かな」って言われて。「駄目だ、これはもっと書かなきゃ」今に至る。
銀次 : ははは。
元春 : まぁ、突っ張ってましたから、僕は。「めんどくせー質問だな」と思って600曲って言ってしまいましたけれどもね(笑)。
真理 : ははは。
元春 : でも十代の時にね、杉くんとアマチュアの頃に落ち合って、その後、レコーディング・アーティストとして杉くんが最初にデビューしたんだよね。その後、僕がデビューして今ここに至るという。
伊藤銀次は1972年にごまのはえでデビューしていたそうだ。ごまのはえは大阪で結成して、ちょうどはっぴいえんどのレコーディングをロサンゼルスで行った直後の大瀧詠一にプロデュースをお願いしたという。後でわかったことだが大瀧詠一はロサンゼルスで向こうのエンジニアとかの仕事ぶりを見て、「よし、プロデュースをやるぞ」と思っていたんだとか。そこにカモネギでごまのはえが「プロデュースしていただけませんか?」と話をしたら「是非、プロデュースしたい」ということになった。幾つかの偶然が重なって事が動き出した。
・Run to Me
元春が16歳のときに聴いた曲でビージーズの「Run to Me」。「ビートは忘れてしまうけれどメロディはいつまで経っても覚えてるものですね」と元春。
●杉真理のコーナー
昨年の夏、杉真理のアイドルのひとり、ギルバート・オサリヴァンが来日したとき、知人を通して会うことができたという。ライヴの後にサイン会があり、それが終わってから会ったのだが、気さくに「写真撮ろうか」と声をかけてもらったのだとか。そのときに知人が前もって杉真理の2014年のアルバム『STRINGS OF GOLD』を送っていて、ギルバート・オサリヴァンは「ストリングスのアルバム、よかったよ」と言ってくれたそうだ。そして杉真理は持っていったギルバート・オサリヴァンのファースト・アルバムにサインをしてもらったという。そのときは舞い上がっていて気が付かなかったが、家に帰ってからもう一度よく見ると、最後に"I like your CD"と書いてあったとか。それを見て泣きそうになったという。
佐野元春もギルバート・オサリヴァンの「Alone Again」とか「Clair」といったキャリアの最初のヒットが好きなんだとか。ビートルズの活動がない状態の時代、ヒット・チャートにポール・マッカトニーの声のようなアイリッシュのシンガーが出てきて、それがギルバート・オサリヴァンだった。メロディのセンスや転調なんかはポール・マッカートニーに似通っていると話す。
・No Way
ギルバート・オサリヴァンの「No Way」。「ギルバートが今もちゃんと新しい曲を作り続けてるのがうれしかったです」と杉真理。
やまいだれ教授のポップス集中講座「ジョージ・ハリスン編」。前の席が空いてるのでずぃーと詰めて、と教授。「前座っていいんですか?」と生徒。「はい。前ずぃーと、どうぞ」。「まえすぃーとどうぞ」
・My Sweet Lord
ジョージ・ハリスンの「My Sweet Lord」。「まぁ、しかし新春から爆発力のあるラジオ・ドラマ? 杉真理構成・脚本、ねじれトライアングルでお送りしたお芝居でしたけれども。すごいね。杉くん」と元春。
・オー・プリティ・ウーマン
ロイ・オービソンの没後20年の年に『ESSENTIAL』というベスト盤が世界中で出た。そのときに日本でなにか特別なことしてくれとロイ・オービソンの未亡人が依頼。レコード会社から杉真理のもとに話が来たときは「Oh, Pretty Woman」のヴォーカル・トラックだけは使っていいことになっていたという。杉真理はみんなから文句言われるのは覚悟の上でその権限に惹かれて仕事を引き受けたそうだ。「Oh, Pretty Woman」のバックは杉真理の友だちの日本人のミュージシャンでやってアレンジは徳武弘文さんと一緒にしたとか。後で聞いたら未亡人はすごく喜んでくれたのだという。
●「伊藤銀次のI LOVE JAZZ」
銀次は子どもの頃、ビートルズを聴いてた時代にディーン・マーティンの「Everybody Loves Somebody」とかダニー・ケイの「五つの銅貨」といったスタンダード・ジャズを知らないうちに聴いていたという。ハーパス・ビザールやママス&パパスの曲の中にスタンダード・ナンバーの曲がいくつかあり、自分でオリジナル曲を作るようになると、知らないうちにそうしたスタンダード・ジャズの影響を受けたものがあることがわかったそうだ。それで今、ここで自分のルーツを辿っていくとガーシュインとかジェローム・カーンとかコール・ポーターという作曲家に辿り着いたとか。そして大胆にもピアニストと二人だけでライヴをやってみようと思ったそうだ。芦屋のレフト・アローンという伝統のあるジャズのライヴハウスで「I LOVE JAZZ」というライヴをはじめたという。まだCDにはなってないのでそのライヴで歌ってる曲を紹介するとのこと。ナット・キング・コールの「Almost Like Being In Love」とガーシュインの傑作、メル・トーメの歌で「Nice Work If You Can Get It」。
・Almost Like Being In Love
・Nice Work If You Can Get It
ジャズというと朗々と歌うイメージがあるが、このあたりの曲はバックのリズム隊の中にいて楽器のように声を響かせる姿がとってもかっこいいと思ったのだという。自分できるかどうかわからなかったが、やってみるととてもおもしろくて、最近日本ではこうしたジャズがあまり聴かれなくなったので、やってみたいと思うようになったのだとか。そう思うようになったのが7年くらい前のことで、ただ相棒のピアニストがいなくて、ずっとジャズ・ピアニストの人を探していたのだそうだ。そしたら阪神間に住む高岡正人さんという、映画『カサブランカ』に出てくるサムのようなタイトルを言うだけですぐに弾ける人が見つかったという。それでライヴを行うことができた。ただ、ライヴでいきなりスタンダード・ジャズばかり歌っても何だから、映画の中で使われてる曲といった曲紹介をして親近感を持ってもらったり、杉真理の「ウイスキーが、お好きでしょ」とか元春の「Do What You Like?」を入れて歌うんだそうだ。4ビートで、二人ともジャズを消化して作った曲なので違和感なくぴったりとはまるのだとか。また「笑っていいとも」のために書いた「ウキウキ・ウォッチング」だって4ビートの解釈で歌ってるという。「まだ東京ではやってないんだけど、自分の体の中にしっかりとジャズのビートをなじませてから、東京でもやろうと思ってます」と銀次。銀次が模範にしたのはビル・エヴァンスとトニー・ベネットのデュエット。最近、トニー・ベネットが新しいピアニストを見つけてきたという。ビル・チャーラップという人でこの二人が一緒にやってる曲「Long Ago and Far Away」。
・Long Ago and Far Away
佐野元春 : 新春DJトライアングル。伊藤銀次、そして杉真理をゲストに迎えての一時間。ここまで聴いてくれてどうもありがとう。みなさん楽しんでいただけましたか? 楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうね。そろそろ残り時間も少なくなってきました。1981年、作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一。アルバム『A LONG VACATION』から一曲聴きたいんですけれども。思い返せば昨年の8月でしたね。松本隆さんのアニバーサリー・コンサートで杉くんと銀次が見事に歌い上げたこの曲。個人的にあのときのベスト・パフォーマンスでした。大滝詠一「君は天然色」。特集最後はこの曲を聴いてお別れです。
・君は天然色
佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show、伊藤銀次、杉真理、そして佐野元春でお届けした新春DJトライアングル。楽しんでいただけましたか? 銀次、杉くん、本当に忙しいところゲストに来てくれてどうもありがとう。楽しかったね。まぁね、僕たちラジオ・ドラマの分野でもけっこういけるんじゃないかという...
真理 、銀次 : (笑)いけますねー。
元春 : その可能性も見え隠れした今回のとても楽しかったです。DJ、佐野元春、ではまた次回に。