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僕は『EACH TIME』をアナログ盤(LP)で2枚、CDで4枚所有している。この20周年記念盤を合わせると全部で7枚にもなる。LPとCDで全く同じ音源が使われていればリマスターの度に買い直す必要はないのだろうが、『EACH TIME』の場合はリイシューの度に内容が異なるので結局何枚も手元に所有することになった。僕は別にコレクターを自負しているわけじゃないので、同タイトルのCDを多数所有していることに困惑している。
アナログ盤の『EACH TIME』は1984年3月21日にリリースされた。発売1週目はマイケル・ジャクソンの『Thriller』に阻まれ1位になれなかったが、2週目からは3週連続でチャート1位になった。 『ロンバケ』も『トライアングル2』も結局チャートの1位にはなれなかったので『EACH TIME』は大滝詠一にとって最初で最後のNo.1を獲得したアルバムだった。
1984年4月1日には『EACH TIME SINGLE VOX』(アナログ盤12インチシングル5枚組)が、4月21日にはMASTER SOUND『EACH TIME』(デジタル・マスタリングのアナログ盤)が発表された。
SINGLE VOXでヴァージョン違いの曲が登場するわけだが、ファンの間で最も話題になったのが「レイクサイド ストーリー」の大エンディングだ。オリジナル盤ではフェイドアウトされた後にもう一度寄せ返す波のようなエンディングを迎える。しかしその大エンディングはオリジナル盤だけで、以降のリイシューではすべてフェイドアウト・ヴァージョンに差し替えられている。また、SINGLE VOXには「ペパーミント・ブルー」のインストゥルメンタル・ヴァージョンが収録されているのだが、こちらは現在まで未CD化のままになっている。
1984年3月21日に発売された『EACH TIME』のCD(35DH_78)はデジタル・マスターが使われているが、この後にリイシューされたリマスターCDはすべてアナログ・マスターからデジタル化されている。1989年6月1日発売の『EACH TIME』(27DH_5303)は曲順が変更されて曲の一部が差し替えられていた。1991年3月21日にリイシューされた廉価版のCD選書(CSCL_1664)は、オリジナル盤と同じ曲順なのだが「レイクサイド ストーリー」のエンディングはフェイドアウト・ヴァージョンとなっている。
1985年11月1日にはアルバム未収録のシングル「フィヨルドの少女/Bachelor Girl」がリリースされた。その2曲を追加収録したのが『Complete EACH TIME』(1986年6月1日発売)。オリジナルLP盤発表時にはカッティング技術の問題で9曲収録が限界だったそうだが、2年後にその問題が解決されたので完全版の『EACH TIME』として発表されたということだった。
『EACH TIME』20周年盤はまた曲順が入れ替わっている。音源自体はやはりオリジナル盤アナログ・マスターからだと思う。曲によってはフェイドアウトが長くなっているようだ。「レイクサイド ストーリー」のエンディングはフェイドアウト・ヴァージョンとなっている。もっともヴァージョン違いを指摘するほど聴き込んでいないし、もともとマニアックでもないのでよくわからない。
ボーナス・トラックには『NIAGARA CM SPECIAL』にも収録されていた「Cider'83」に、「恋のナックルボール」のファースト・レコーディング・ヴァージョンが初登場。『EIICHI OHTAKI SONG BOOK 2 大瀧詠一作品集 VOL.2(1971-1988)』に収録されていた「ゆらりろ」が「マルチスコープ」というタイトルになって収録されている。「ペパーミント・ブルー」のインストゥルメンタル・ヴァージョンは残念ながら収録されず。
『EACH TIME』は『ロンバケ』以降続いた作詞松本隆/作曲大滝詠一の最後の作品。アルバム製作の途中で一度コンビを解消しレコーディングが中断、そのためレコードの発売が延期となった(もともとの発売日は大滝詠一の誕生日の7月28日)。『EACH TIME』のアルバム・コンセプトは"時をテーマにした物語"で、楽曲はどれも長くほとんどが4分台だった。2番が終わったらストーリーが完結してて3番の歌詞がないなどということもあったそうだ。詳しくは語られてないが、共同作業ゆえに生じる力学的な問題や精神的なものの絡みあいを整理し直す意味で一度コンビを解消したという。
そうしてようやく完成した『EACH TIME』には意味深な歌詞が多く存在するようだ。誰かへの当てこすりじゃないかと思わせる部分もある。あるいはただ深読みしているだけのことかもしれない。今回1曲目となった「夏のペーパーバック」には"ありふれた終わり方なら ぼくなりに書き換えたいね"という印象的な歌詞がある。その言葉通り、曲順を変えたり、ヴァージョン違いの曲で、アルバムを常に書き換え続けているのだろうかなどと思ってしまう。
こうして何年振りかで聴いていると、確かにヴォーカル・アルバムとしての側面を強く感じる。実際、ウラ話として歌詞を覚えてからしか歌入れはしなかったと聞く。歌いまわしを微妙に変えて、最良のメロディを引き出すよう、1曲100回は歌ったとか。1週間ずっと同じ曲を歌い続けていることもあったらしい。そうやって更にいい部分をチョイスしたそうだ。
『EACH TIME』はスローな曲が素晴らしいと思う。そのスローな曲で僕のベストは今も昔も変わらず「ガラス壜の中の船」。「レイクサイド ストーリー」も捨てがたいけれど。ボーナス・トラックの「恋のナックルボール」ファースト・レコーディング・ヴァージョンも楽しい。
今回のCDには"ファイナル"というステッカーが貼られている。宣伝用のチラシには"ナイアガラ20周年企画の最後を飾る"とも書かれている。本当にこれで最後の『EACH TIME』なのだろうか。「20周年企画が終わりなら次は30周年」と気の早いファンの声が聞こえて来たりしている。2005年はナイアガラ・レーベル30周年なのだ。僕としてはニューアルバムのほうを期待したい気分。いつかきっとその願いが叶えられることを望んでいる。
■EACH TIME 20th Annniversary Edition
チャート最高位39位
夏のペーパーバック
Bachelor Girl
木の葉のスケッチ
恋のナックルボール
銀色のジェット
1969年のドラッグレース
ガラス壜の中の船
ペパーミント・ブルー
魔法の瞳
レイクサイド ストーリー
フィヨルドの少女
Bounus Tracks
Cider'83
恋のナックルボール
(1st Recording Version)
マルチスコープ
■EACH TIME
アナログ盤オリジナル(28AH_1555)
魔法の瞳
夏のペーパーバック
木の葉のスケッチ
恋のナックルボール
銀色のジェット
1969年のドラッグレース
ガラス壜の中の船
ペパーミント・ブルー
レイクサイド ストーリー
■EACH TIME
CD盤オリジナル(35DH_78)
*デジタル・マスターを唯一使用している
魔法の瞳
夏のペーパーバック
木の葉のスケッチ
恋のナックルボール
銀色のジェット
1969年のドラッグレース
ガラス壜の中の船
ペパーミント・ブルー
レイクサイド ストーリー
■EACH TIME SINGLE VOX
アナログ盤(50AH_1706~1710)
*12インチシングル5枚組
夏のペーパーバック(イントロが違う)
木の葉のスケッチ(フェイドアウトせずに終わる)
1969年のドラッグレース
銀色のジェット
魔法の瞳(ロング・ヴァージョンで収録)
恋のナックルボール
(SEのMIXがにぎやかになり最後に大滝のつぶやきが入る)
レイクサイド ストーリー(フェイドアウトで終わる)
ガラス壜の中の船
ペパーミント・ブルー
ペパーミント・ブルー(Instrumental)大滝詠一楽団
■Complete EACH TIME
アナログ盤(28AH_2001)
夏のペーパーバック
Bachelor Girl
魔法の瞳
木の葉のスケッチ
恋のナックルボール
銀色のジェット
1969年のドラッグレース
ガラス壜の中の船
ペパーミント・ブルー
レイクサイド ストーリー
フィヨルドの少女
■Complete EACH TIME
(32DH_555)
*CDはSINGLE VOXのマスター+2曲追加という内容
夏のペーパーバック
Bachelor Girl
魔法の瞳
木の葉のスケッチ
恋のナックルボール
銀色のジェット
1969年のドラッグレース
ガラス壜の中の船
ペパーミント・ブルー
レイクサイド ストーリー
フィヨルドの少女
■EACH TIME
(27DH_5303)
1969年のドラッグレース
Bachelor Girl
ペパーミント・ブルー
恋のナックルボール
銀色のジェット
夏のペーパーバック
木の葉のスケッチ
フィヨルドの少女
レイクサイド ストーリー
■EACH TIME
(CSCL_1664)
魔法の瞳
夏のペーパーバック
木の葉のスケッチ
恋のナックルボール
銀色のジェット
1969年のドラッグレース
ガラス壜の中の船
ペパーミント・ブルー
レイクサイド ストーリー
知らなかった… びっくり。
でも、わたしに比べたら立派なコレクターです(笑。
[ちょいとあんた、いやですよ。あこぎな商売ですよ、大滝さん?]
…とか(笑。
つぶやいて眉をそびやかしたりしてみますか~?
たぶんこのアルバムだけですよ、こんなに持ってるのは。