日々描いたマンガやスケッチ、似顔絵などを貯めていく貯金箱のようなブログ。
スケッチ貯金箱
うたのイラスト(「ないしょ話」・童謡のある情景)
母に甘える幼子を描いた歌です。
情景が目に浮かんできます。
作詞の結城よしをさんは、昭和19年に24歳で亡くなった夭逝の童謡詩人です。
小学校を卒業後奉公に出て働きながら童謡を書いて注目された(「ないしょ話」はレコード化もされた)ものの、
軍隊に召集され各地を転戦しながら童謡を書き続けましたが、
その軍隊生活の中でパラチフスに感染、小倉陸軍病院で亡くなったそうです。
自分の童謡集を出版してほしい、という言葉を残して。
その時、歌人だった両親の詠んだ歌が、
「臨終の子に童謡を聞かせつつ 頬つとふ涙妻は拭はず」
「乳首吸ふ力さへなし二十五の 兵なる吾子よ死に近き子よ」
というものでした。(上が父親の、下が母親の詠んだ歌。)
その経緯を知ってみると、19歳の時に作詞したというこの歌が切なく響く気がします。
よしをさんの直筆原稿の写真がネットにも出ていたので、その原稿に忠実に再現しました。
ただし新かなにしてあります。現行の歌詞と2番の一部が違っていますが、ほぼ同じ。
ただ、片仮名の使い方は、原稿の方が幼児の口調を繊細に表現していると思います。
ないしょ話
ないしょ ないしょ
ないしょの話は アノネのネ
ニコニコ ニッコリ ネ 母ちゃん
お耳へ こっそり アノネのネ
坊やのお願い 聞いてよネ
ないしょ ないしょ
ないしょのお願い アノネのネ
あしたの日曜 ネ 母ちゃん
ほんとに行きましょ アノネのネ
坊やのお願い 聞いてよネ
ないしょ ないしょ
ないしょの話は アノネのネ
お耳へこっそり ネ 母ちゃん
知っているのは アノネのネ
坊やと母ちゃん 二人だけ
今日も昨日も雪の空・早春賦(唱歌のある風景)
似顔絵(川島海荷さん 「花燃ゆ」高須糸)portrait Umika Kawashima
大河ドラマ「花燃ゆ」のワンシーン。
不義密通で獄中にある母・高須久子(井川遥さん演じる)を訪ねて別れを告げる場面。
彼女は激しく母をなじり、憎んでいると言う。
しかし「憎んだ人は、決して忘れないでしょうから。」と言ってそっと母の手を握る。
なかなかいいシーンだった。
うたのイラスト(「私の青空」)
「せまいながらも 楽しい我家」というフレーズで有名な曲。
1928年のアメリカのヒット曲なのに、もうその年に輸入されている。
訳詞は堀内敬三。名訳でしょう。
日本初のトーキー映画「マダムと女房」(1931年)のラストシーンで主人公の夫婦(渡辺篤・田中絹代)がこの歌を歌う。
このシーンがいい。歌いながら歩いている二人をカメラが瞬時、凝視している。
このカメラアイは、トーキーで音楽と映像が同居するようになって初めて感じられたもののような気がする。
そのはかないけれども至福の瞬間。それにこの曲がとてもよく合っていた。
夕焼けの空の下、家路を辿る勤め人が、ふと我が家の方向をふり仰いで幸せを感じる。
そんなイメージが湧いてくる。イラストもそんな感じで。