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少しずつ

暮れに親父が亡くなった。
もう覚悟はしていたので、ただ受け止めるしかなかった。
「昨日今日とは思わざりしを」という気持ちもあるが、
避けられないことである。
葬儀も済んだ。親父の骨は丈夫そうな骨だった。
一通りの事が済んで、四十九日を待っているある日、
朝から雪が降った。
私はダイニングでぼんやりと独り、窓越しに降る雪を眺めていた。
ふっと静かな時間が流れて、音もなく雪は舞っている。
その時初めて、「ああ親父は本当に死んでしまったのだな。」と思った。
人は死んだときに全て死んでしまうのではなくて、
こういうふうに少しずつ、親しかった者の心の中で、別れを告げて行くものなのかもしれない。
初めて親父が遠くに離れて行ったような気がして、
私はただ黙って窓を見つめているしかなかった。
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ジャンプの着地

先日、女子スキージャンプの高梨沙羅選手が練習中に転倒、
脳震盪で病院へ運ばれるというアクシデントがあった。
テレビの映像で見る限り、そんなに激しい転倒でもないように思えたが、
やはり現場での実際の感覚と、テレビで見ている感覚とは
天と地ほどもかけ離れているのだろう。
幸い大事には至らず、その後の国際試合で優勝したりしているから、
高木選手の大物ぶりには恐れ入る。
しかしスポーツの技術論などを素人があれこれ言っても、
現場を知っている人にとってはお笑い草でしかないのだろうと思う。
すごいことを平然とやっている、特別な人たちなのだな、と思う次第である。
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