日々描いたマンガやスケッチ、似顔絵などを貯めていく貯金箱のようなブログ。
スケッチ貯金箱
うたのイラスト(「ソーラン渡り鳥」とこまどり姉妹)
私の父母の世代の日本人庶民の心情というものは、徐々に忘れ去られているような気がしている。昔の歌を聴くと、特にそう感じる。
こまどり姉妹と言えば、相当の年配となっても若いころと同じ振り袖姿で三味線を抱え歌う、不思議な双子の歌手といった印象を持つ人もいるかと思うが、彼女たちの歌った歌は、昭和の中頃、まだ貧しかった日本人たちの、人生における苦労を象徴的な形で歌ってその心を癒した、まさに「昭和の歌」だった。
代表作「ソーラン渡り鳥」は、貧しく幼い姉妹が、東京に出て場末の酒場などで三味線を弾きながら歌って生きる姿を描いている。今とは比較にならないほど差別的言動の露骨だった昭和の時代に、そのような場所でうら若き乙女二人が、どれほど好奇の目にさらされ辛い目に遭うのかは想像を超える気がする。瞼の裏に浮かぶ故郷のハマナスの花を思い、江差の町を、鰊場(にしんば)を恋う姿、稀に巡り合う人の情けに涙して、今日も健気に唄を歌う姉妹の姿。その歌詞の姉妹と、こまどり姉妹の姿がオーバーラップし、庶民は戦後の苦しい時代の自らの苦労とも重ね合わせて涙を流したのであろう。
これは私が幼い頃見ていた大人の姿にも重なるものだ。その心情が今は伝わりにくくなっているのである。時は残酷なものだ。せめて彼女たちの若き頃の姿とその歌声がYoutubeなどで見られるようになったのは喜ばしいことである。文学などが掬いきれなかった、こういう庶民の心情を記録した貴重な音声と映像であると思う。
女性像(2017・10・20)
めがねレッサーパンダ
先日、福井へ行って校閲関連の講演をして来ました。
そこで知ったのは、福井の隣の鯖江市が、メガネのフレームの生産で有名で、
なおかつ市のマスコットキャラクターがレッサーパンダだということ。
これはメガネフレームの技術を中国に教えたお礼でレッサーパンダが贈られたことに始まるそうです。
私のやっている恒例の校閲講座のマスコットもレッサーパンダなので、何だか縁を感じた次第。
お世話になった担当の方が鯖江出身だったので、お礼も兼ねて「メガネをかけたレッサーパンダ」のキャラクターを描いて送りました。
これは校閲講座のマスコットの「小太郎」にメガネをかけさせたものです。
何故校閲講座のキャラクターなのかというと、レッサーという英語には「より小さい」「より少ない」という意味があり、
これがミスをより小さく、少なくする校閲の仕事にぴったりなのと、
ジャイアントパンダの陰に隠れて「地味」なレッサーパンダが、地味な校閲にふさわしいという理由によるものです。
それから、英語では普通はred pandaと言うらしいので、これもまた、赤字を入れる校閲の仕事を象徴しています。
まあこういったもろもろの理由と縁で、こんなイラストを描きました。
このブログでも、「めがねレッサーパンダ」をちょっとご披露です。