日々描いたマンガやスケッチ、似顔絵などを貯めていく貯金箱のようなブログ。
スケッチ貯金箱
似顔絵(テレサ・テン 麗君さん portrait Teresa Teng = Deng Li Jun )
最近の人の良い映像が見つからないので、懐かしい人を描きます。
亡くなってだいぶ経ちますが、いまだに根強い人気のある大歌手。
日本で歌った歌もよいのですが、台湾や香港などで歌った中国語の歌に、いいものがたくさんあります。
これはデビューしたての頃、「回娘家」という民謡風の歌を、ユーモラスなドラマ仕立てのPVの中で歌っているときの姿。
素朴な歌も、この人が歌うと微妙なニュアンスが魅力的でした。
まだ初々しいですね。
女子スキージャンプ・イラスト(Ski Jumping Girl Illustration)
似顔絵(倍賞千恵子さん portrait:Chieko Baisho)
昭和30年当時、松竹音楽舞踊学校を卒業した当時の、初々しい倍賞さんです。
若いころの映画を拝見すると、昭和の女性の清楚さを感じます。
描いていてもすがすがしいですね。
さて、お盆休みは私も旅行に出かけるので、このブログもちょっと一休みです。
うたのイラスト(「人を恋うる歌」)
この歌は、与謝野鉄幹の作詞である。作曲者は不明だという。
妻をめとらば才(さい)たけて
みめ美(うる)わしく情(なさけ)ある
友を選ばば書を読みて
六分(りくぶ)の侠気(きょうき)四分(しぶ)の熱
「才たけて」は、「才能があって」、「みめ美しく」は「姿が美しく」、「侠気」は「男気」の意味。
明治34年に発表された詩で、曲は他の寮歌などの曲が流用されたのではないかという説があるそうだが、詳しくは知らない。当時の書生や文学青年などに愛唱されたそうである。
この曲で思い出すのは、近年亡くなられた映画監督・新藤兼人のデビュー作「愛妻物語」で用いられた印象的なシーンである。
映画は、新藤監督の自伝的な物語で、まだ新人シナリオ作家であった彼の糟糠(そうこう)の妻・久慈孝子さんとの物語。孝子さんは監督が日の目を見る直前に肺の病で亡くなるのだが、貧窮にあえぐ暮らしの中、夫の才能を信じて懸命に支える。
新藤青年(映画では沼崎青年)は、大監督の坂口監督(溝口健二がモデルという)に「君のシナリオはただのストーリーだ。」と厳しく批判されて落ち込むが、一念発起、世界中の戯曲を読破してシナリオを勉強し直そうと懸命になっている。
ある冬の晩、沼崎は隣の長屋(?)に住む染物の職人に励まされる。何事も辛抱が肝心だ、と。そして職人は歌を歌おう、と言ってこの歌を歌いだす。沼崎も一緒に歌う。
そこへ金の工面で出掛けていた妻が、小雪のちらつく中帰ってくる。戸を開けて家に入るが電気は点いておらず夫もいない。安普請の壁から、お隣の歌声が聞こえてくる。夫の歌声である。
妻をめとらば 才たけて
みめ美しく 情けある
妻は暗闇の中で、立ったままじっと聴いている。ガラス戸の外には、ちらちらと雪が舞っている。カメラがその雪をしばらく映す。それがフェイドアウトしたかと思うと、白雪は満開の桜花に変わって、春のシーンへ移っていくのである。
こんな見事なシーン変換を見たことがない。監督の才能を観客は本当に観るのである。そしてこの歌も記憶に刻まれるのである。