Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

甲府への道すがら[6]ホームライナー静岡(沼津~静岡)■快適通勤を体感

2009年11月21日 |  □鉄道ジャーニーBlog編
 原の知人宅にお邪魔し、夕ご飯も頂いて、明日の結婚式に備えて早寝…とはならない。鉄ちゃん親子と共に、「ホームライナー静岡」の乗り試しツアーに出発だ。

 ホームライナー静岡は、新宿~沼津間の特急「あさぎり」の間合いで、沼津~静岡(平日は浜松まで)を結ぶ帰宅列車。乗車整理券310円で快適な特急電車に乗れることから、それなりの人気を得ているようだ。まずは出迎えに、沼津駅まで出る。

 「あさぎり」のマークを掲げたまま据え付けられた電車は、JR東海「ワイドビューシリーズ」とはまったく異なる、純白の外観。窓周りを覆う青色も100系新幹線のそれで、新幹線のイメージを引き継いだものとされる。プロトタイプのオリジナル色100系が消えた今、唯一その系譜を受け継ぐ電車とも言えるだろう。ただし窓はワイドビューで、でかい。

 車内は清潔に保たれており、登場18年を経た車両とは思えない。JR東海の電車いずれにも共通する感だが、清掃を念入りに行い、車両を大切に使う姿勢が見えてくる。

 さて地元人曰く、この電車の「特等席」は2つ。最前部の展望席は、夜でもブラインドを降ろされず、流れる夜景を楽しめてよい。しかし本当に人気なのは、2階建て車両の1階席。ゆったりした3列配置の上、シートピッチもグリーン車と同じ。のんびり過ごすならここというわけで、推薦に従い1階席に座を占めた。他の乗客は来ず、1両を3人で貸切りにした状態だ。

 走り出せば静か。2階建て車はモーターのない付随車で、サンライズエクスプレスの個室を思い出す乗り心地である。視線の高さを飛んでいくホームが新鮮。ホームライナーでお得に体験するのもいいけど、ぜひいつか、特急あさぎりとして乗り、この電車から富士の山を拝んでみたいものと思う。

 わずか40分で静岡着。平日なら上りのライナーもあるのだが、休日の今日は普通電車で戻るしかない。ただ戻るのも芸がないので、途中草薙駅までは、今日2度目の静鉄利用にしてみた。夜9時台も10分間隔の運行を維持しているのは立派で、遅い帰宅者の足も充分に果たしていた。

つづく
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甲府への道すがら[5]東海道本線/静鉄(豊橋~原)■寄り道しながら東海道を上る

2009年11月21日 |  □鉄道ジャーニーBlog編
 豊橋駅では、「休日乗り放題きっぷ」を購入した。豊橋以東のJR東海が乗り放題になる1日乗車券で、土休日限定発売。2600円と、青春18きっぷ1日分よりやや割高だが、特急券を買い足せば在来線特急にも乗れるのがミソである。

 浜松までの電車は117系。新快速として鳴らしたのも今は昔、今はローカル輸送を主に受け持つ。ゆったりしたクロスシート、2扉の落ち着いた雰囲気は、今もって快適だ。

 しかし、普通電車の快適な旅は浜松まで。この先は211系や313系の3扉ロングシート車が幅を利かせ、およそ旅気分とは無縁になる。しかも3両と短く、いつも混んでいる印象。静岡までの1時間10分、じっと耐える。浜名湖の車窓がきれいな区間なのだが、すべて背後で流れていった。

 午後2時を前にした静岡では、地下街で昼飯を物色。やっぱり静岡といえばうなぎか、でも正確には浜松だしなあ…と、浜名湖畔の駅前に揺れていた「うなぎ」ののぼりを思い出す。しかし東海道に面した静岡では、海産物も名物。焼津か沼津だったかの文字が見える食堂で、鯖のたたき丼を食らった。

 そのまま市街地方面へ歩き、静岡鉄道の新静岡駅へ。ターミナルビルは改築中で、ミニ私鉄らしからぬ立派なものが完成することを期待している。仮設駅舎で手持ちのICOCAを自動改札機に触れれば、バタンと扉が開いた。

 東海地方では、名鉄はICカード未導入、JRのTOICAは電子マネーとして使えず民鉄との相互利用に消極的というわけでか、静鉄は関西のPitapa勢と組んでICカード化を達成した。関西ではPitapaとJRのICOCAが共通利用できるが、静岡で使えるだろうかと半信半疑のまま触れてみたら、見事パスできた次第。JR系のカードを持つなら、静岡ではTOICAよりICOCAが便利だ。

 静鉄は2月以来、9ヶ月ぶりの乗車だが、ローカル私鉄とはとても思えない感は前回と同じ。2両ワンマンの姿こそローカルだが、運転頻度は日中でも6分、自社発注の新型車が走る姿は「準大手」と呼びたいくらいで、唯一11kmという路線規模が中小らしいくらいだ。

 時刻表を気にせず利用できる電車は便利で、日中であっても電車ごとにそこそこの乗客がある。大都市圏並みの利便性で利用できる電車で、沿線の人を羨ましく思う。元は静岡市と清水市に分かれていた沿線だが、家並みは途切れず市内電車の感覚もある。

 JRと併走するように走り、再び離れれば新清水着。あっけない20分の寄り道電車を終え、商店街を抜けてJR清水駅へ。上り電車の人となり30分、沼津市の原駅に到着した。

つづく
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甲府への道すがら[4]豊橋鉄道東田本線(駅前~市役所前)■生まれ変わった豊橋の路面電車

2009年11月21日 |  □鉄道ジャーニーBlog編
 名古屋からは、ひさびさに名鉄「パノラマスーパー」に乗り、豊橋へ向かった。JR東海と熾烈な競争を繰り広げる岐阜~名古屋~豊橋間だが、わずか350円の「ミューチケット」でくつろぎの時間を手にできる名鉄の人気も根強い。

 「パノラマ席」を指名すれば、一階の運転席を乗り越え、2階から先頭の景色が思いのまま。童心に帰り、心行くまで運転士気分を味わえる。フロントガラスが汚れ気味だったのは遺憾で、以前は駅に着く度に清掃していたように記憶しているのだが…

 豊橋では、豊橋鉄道の新型路面電車「ほっトラム」に乗れればと思い、駅前電停の時刻表を探しかけたのだが、すでにその電車が停まっていてラッキー。白地にグラデーションの帯が巻かれ、ちょっと釣りあがった目は、他都市の電車に見られないデザインである。

 車内もまた一風変わっていて、背ずりや天井の要所に、木目のデザインを取り入れている。近未来的でありながらも、温もりある親しまれるデザインといったところか。乗り心地や、段差のない乗降の楽さは、他都市と同じ。いつしか、どこでも見られる「当たり前」になってきた。

 市役所前で折り返す。97年に訪れた時は旧型車がほとんどだった豊橋の路面電車も、名鉄岐阜市内線の中古車を譲り受け、面目を一新。低床電車以外でも、インバータ制御の新型車ばかりになった。岐阜市内線の廃止は、返す返すも残念でならないのだが、福井と豊橋にとっては体質改善の達成へ大きな寄与になった。

つづく
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甲府への道すがら[3]基幹バス2系統(出来町通~市役所前~名鉄BC)■大役担う基幹バス

2009年11月21日 |  □鉄道ジャーニーBlog編
 折り返しのガイドウエイバスでナゴヤドーム前矢田へ戻り、ナゴヤドームを外観から見学。ペナントレースも終わり、陶磁器関係の催し物でお年寄りらが列を作る光景は、いつものドームとは違うものだろう。

 中京圏の名物といえば、充実した喫茶店のモーニング!というわけで、手近な喫茶店に入ってみたが、値段も内容も、大して九州と変わりはなかった。競争の激しい、都心で見られる現象なのかしら。

 そのまま南へ歩き、出来町通へ。ここから市内までは、バスが道路の中央を走る「基幹バスレーン」の区間である。バス停は道路の真ん中にあり、まるで路面電車。ガイドウエイバスの原型ともいえるバスだ。

 僕がよく訪れるソウルの街では、2004年から大々的にこの方法を取り入れ、今や100km単位の規模に成長。しかし名古屋の基幹バスの歴史ははるかに長く、1985年のスタートである。ソウルで高い評価を受けているこのシステムだが、名古屋ではいかに?というわけで、帰路はこのバスに乗り、市内へ戻った。

 ソウルとの大きな違いは、終日バスレーンとなっていない点。混雑時間帯以外は、容赦なくバス停の前を一般車が走り抜けていく。ソウルを見慣れていると、なんとも奇異な光景に映るのだが、終日規制は日本だと理解を得られにくい面があるのかも。どことなく一般車両が入りづらい雰囲気はあるので、慣れないドライバーは入ってこないようだ。

 真ん中をバスが走るものだから、右折車両の扱いは一般の道路と大きく異なる。右折時に対向車線だけでなく、後方からのバスレーンも注意を払うのは難しいからか、直進と右折の信号は分離されている。いきおい待機時間は長く、一般車のドライバーからすれば、少々不便な道路かもしれない。

 やってきた市バスに乗り込む。9時過ぎというのに身動きができないほどの混雑で、市内への交通機関としてよく利用されているのが分かる。運転頻度も市営、名鉄合わせると多く、ゆとりーとラインよりもはるかに多い利用者がいるのではないか?

 バス停が限られている上、中央レーンを車線変更なしに走れるスムーズさから、一般の路線バスに比べれば早い。ただバス優先信号(バスが接近したら青に変わる信号)までは設置されていないようで、信号待ちの時間がかなりストレス。特にゆとりーとラインから乗り換えた身には、顕著にそれを感じる。この路線がガイドウエイバスになれば…と思うが、工事は大変だろう。

 市役所前で下車。いかにも官庁街といった雰囲気だが、名古屋らしく、ど派手に鯱を載せた瓦屋根の市役所が圧巻だ。市議会議場なども歴史的建築物でありながら「城」風で、派手な地域の気質は脈々と受け継がれて行くものなのだと感じ入った。

 中央を行きかうバスの列に新鮮さを感じつつ、大津通から今度は名鉄の基幹バスへ。さすがは自動車産業の都だけあり、ハイブリット式の低床バスだった。静かな走りはまさに最先端。せっかくの電気駆動なのだから、基幹バスレーンに架線を張り、トロリーバスにしても面白いと思うのだが、いかがだろうか。

つづく
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甲府への道すがら[2]ゆとりーとライン(高蔵寺~小幡緑地)■ガイドウエイバスとは何者!?

2009年11月21日 |  □鉄道ジャーニーBlog編
 隣接するJR名古屋駅へと移動し、中央本線の普通電車に乗る。逆方向の電車は、短編成の車両を連ねた10両編成で圧倒。こちらの電車も、乗客はまばらながら乗降が多く、「中央本線」ではなく東京流に「中央線」と呼びたい雰囲気だ。

 下曽根駅下車。名鉄、地下鉄も集う拠点ターミナル駅だが、この駅から出発するもう一つの“鉄道”、ゆとりーとラインへの乗車が目的だ。

 ゆとりーとラインは、「ガイドウエイバス」と呼ばれる、専用の軌道上を走行するバス。軌道区間は鉄道に分類され、始発ターミナルの下曽根も立派な「駅」である。発着するのは、一般の路線バスタイプの車両1台なのだから、なんともアンバランスな感もある。

 しかし走り出してみれば、走行感覚は「ゆりかもめ」を始めとする、新交通システムそのもの。少しゴツゴツした感はあるものの、しっかり安定していてふらつかない。速度は60kmで、信号がない分、かなり早い。新交通システムやモノレールと、同等以上の速達性がありそうだ。

 軌道区間内のみの乗客も多く、地下鉄接続の矢田から乗る人も多かった。高蔵寺方面のバスはぎっしり満員で駆けていく。

 14分で小幡緑地着。この先はランプを経由し一般道路に降りて、普通のバスとして各方面へと走っていく。定時性に優れた軌道系交通機関と、きめ細かいネットワークを構築できるバスの特性を併せ持った、優れた交通システムと感じた。

 …と褒めちぎってみたものの、立派な高架橋や駅施設を見ていると、バス1台が昼間10分間隔で走る程度の需要じゃ、到底採算は合わないだろうなとも感じだ。平日8時台こそ、20本近くの便数を数えるものの、平日昼間でも5分間隔で走らせる程度の需要がないと、特性を発揮できない気がする。

 福岡の地下鉄3号線(七隈線)も、確か計画当初には、ガイドウエイバスという整備手法も候補に挙がっていたように記憶している。需要はまずまずで、西鉄の充実したバスネットワークを考えると、有用な手段だったかもしれないと感じた。

つづく
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