11月22日・朝8時。沼津から車を飛ばしてもらい、お隣富士市へ。製紙工場が煙を上げ、朝から「この街らしい」風景を見つつ、少し寂しい駅前通りを抜け、駐車場に入った。ご他聞に漏れず中心市街地の凋落はここでも見られ、駅前スーパーは店じまい。この駐車場も、もとはスーパーのものだったため、がら空きだ。映画館だけ営業しているのは立派だけど、内情は大変なことだろう。
富士駅はペデストリアンデッキでつながれた、橋上駅。ペデ化は早かったそうで、東京近郊のような駅前風景を作っている。
ここから甲府へは、身延線の特急「ふじがわ」が結ぶ。3両中2両は自由席で、まあ座れるだろうと高を括っていたが、ホームにはハイキング姿の乗客がちらほら。どうやらJR主催のウォーキング大会があるらしく、1本前には臨時特急も出た模様。
静岡からやってきた「ふじがわ1号」は、373系特急電車の3両編成。案の定ハイカーでほぼ満席、端に1席見つけてもぐりこんだ。せっかくの窓が大きい「ワイドビュー」シリーズなのに、端では窓もほとんどなく、富士川の流れとも反対側。座れただけよしとせねばならぬか。
富士宮駅までは複線が続き、都市近郊路線の勢いも感じる。近年注目を浴びるB級グルメ「富士宮やきそば」のノボリに見送られれば、単線の隘路へ。広々、悠々とした富士川が、車窓の友だ。
373系電車の特徴は、なんといっても「特急・普通兼用」であること。お陰でデッキがなく、端部ではちょっと騒音が気になるし、停車駅では寒風が吹き込む。特急の「特別」感と、普通の気軽さを兼ね備えたインテリア自体は、所期のコンセプトを達成できているように感じた。昼行特急はともかく、夜行列車「ムーンライトながら」での運用は厳しいと感じていたが、この春に撤退したのは記憶に新しいところ。
コース中盤の身延で、降りるわ降りるわ。ざっと4分の3が下車。鉄道会社主催のウォーキングの人気は聞いていたが、これだけの人数が(しかも1本前の臨時まで)特急を利用すれば、実質的な収益も無視できないものになりそう。かといって座りはぐれた人もいなかったのだから、今回の企画規模はベストだったということになるだろう。
転じてがら空きになった車内からは、日ごろの「ふじがわ」の姿が伺い知れる。もっとも身延~下部温泉間が「谷」となるようで、その後は山梨県内の利用客で、再び賑わうことになった。
空いたのを期に、窓の大きい席へ移動。めいっぱい広がる農村風景と紅葉が、ニッポンの秋を感じさせる。九州のデザイン特急も大好きだが、こと窓に関しては概して小さなものばかりで、ワイドな車窓に焦がれる。美しい風景を愛でてこその、旅だと思う。
雪を頂いた山が見えてくれば、甲府までラストスパート。中央本線と合流、駅に降りればSuica対応の自動改札が出迎え、そこは首都圏なのだった。
先輩の結婚式は、その面倒見のいい人柄がつくられていった過程を垣間見たような、暖かな式。新婦も負けず劣らずで、周りまで明るくするような家庭になりそうだ。どうかお幸せに!
つづく
鉄道ジャーニーTOP
富士駅はペデストリアンデッキでつながれた、橋上駅。ペデ化は早かったそうで、東京近郊のような駅前風景を作っている。
ここから甲府へは、身延線の特急「ふじがわ」が結ぶ。3両中2両は自由席で、まあ座れるだろうと高を括っていたが、ホームにはハイキング姿の乗客がちらほら。どうやらJR主催のウォーキング大会があるらしく、1本前には臨時特急も出た模様。
静岡からやってきた「ふじがわ1号」は、373系特急電車の3両編成。案の定ハイカーでほぼ満席、端に1席見つけてもぐりこんだ。せっかくの窓が大きい「ワイドビュー」シリーズなのに、端では窓もほとんどなく、富士川の流れとも反対側。座れただけよしとせねばならぬか。
富士宮駅までは複線が続き、都市近郊路線の勢いも感じる。近年注目を浴びるB級グルメ「富士宮やきそば」のノボリに見送られれば、単線の隘路へ。広々、悠々とした富士川が、車窓の友だ。
373系電車の特徴は、なんといっても「特急・普通兼用」であること。お陰でデッキがなく、端部ではちょっと騒音が気になるし、停車駅では寒風が吹き込む。特急の「特別」感と、普通の気軽さを兼ね備えたインテリア自体は、所期のコンセプトを達成できているように感じた。昼行特急はともかく、夜行列車「ムーンライトながら」での運用は厳しいと感じていたが、この春に撤退したのは記憶に新しいところ。
コース中盤の身延で、降りるわ降りるわ。ざっと4分の3が下車。鉄道会社主催のウォーキングの人気は聞いていたが、これだけの人数が(しかも1本前の臨時まで)特急を利用すれば、実質的な収益も無視できないものになりそう。かといって座りはぐれた人もいなかったのだから、今回の企画規模はベストだったということになるだろう。
転じてがら空きになった車内からは、日ごろの「ふじがわ」の姿が伺い知れる。もっとも身延~下部温泉間が「谷」となるようで、その後は山梨県内の利用客で、再び賑わうことになった。
空いたのを期に、窓の大きい席へ移動。めいっぱい広がる農村風景と紅葉が、ニッポンの秋を感じさせる。九州のデザイン特急も大好きだが、こと窓に関しては概して小さなものばかりで、ワイドな車窓に焦がれる。美しい風景を愛でてこその、旅だと思う。
雪を頂いた山が見えてくれば、甲府までラストスパート。中央本線と合流、駅に降りればSuica対応の自動改札が出迎え、そこは首都圏なのだった。
先輩の結婚式は、その面倒見のいい人柄がつくられていった過程を垣間見たような、暖かな式。新婦も負けず劣らずで、周りまで明るくするような家庭になりそうだ。どうかお幸せに!
つづく
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