Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

跨年!台湾・環島鉄路之旅【2日目】新市街と郊外を巡る

2014年01月08日 | ■旅と鉄道
 旅の2日目(12月29日)は、台北の新市街地と郊外の街を巡りました。



 宿のベランダから台鉄台北駅を俯瞰して、1日がスタート。まずは台北駅から、MRT信義線の電車に乗って市街地へ抜けます。信義線は11月24日に開業したばかりの新路線で、板南線と平行して市内を東西に結ぶ路線です。
 大阪に例えるなら、御堂筋線に平行する四つ橋線に相当する路線ともいえ、板南線や台北駅の混雑緩和が期待されます。開通に際しては派手に宣伝されたようで、モニタにはラップ調のテレビCMが流されていました。


 また世界トップクラスの高層ビル「台北101」に直結したのもポイント。その台北101/世貿駅で下車します。
 もともと清掃が行き届いているMRTですが、できたばかりとあって さらにピカピカ。駅構内の壁面には、独特のLED装飾もなされていました。


 地上には、無人のレンタルサイクルシステムがありました。使いこなせたら、便利そうです。


 台北101の足元にある四四南村へ。市街地に残る古い集落をリノベーションした施設で、カフェやギャラリーなどがあります。
 路地裏風情も感じられ、昔の都心の風景を伝えてくれます。


 背景の近代的な台北101が、好対照を成していました。


 お隣には小学校があり、校庭はゴムの敷かれた立派な陸上グラウンド。お金がかかっているなと思ったら、地下は公共駐車場になっていました。
 土のグラウンドだとこのような構造は難しく、貴重な都心の土地の有効活用法の一つです。


 そのお隣には、見慣れた看板が…。
 平日には上限料金も設定されており、運営ノウハウともども海外進出しているようです。


 台北101は、一時は世界最高峰を誇ったビルで、最上階の展望台からの眺めは素晴らしい…らしいのですが、入場料は500NT(1,850円)となかなかいい値段です。しかし高さを半分で妥協すれば安く入る方法があるというので、試してみました。

 商業施設棟ではなく、「LOVE」のモニュメントが目印のオフィス棟に入ります。右側に進むとマシンが置いてあり、35階のレストランやカフェに電話で「行きたい!」と伝えれば、無料の整理券を貰えるという按配です。
 しかし使い方がよく分からず まごついていたら、警備員さんが来て、流暢な英語で助けてくれました。


 35階まで一気に上がると、テナントフロア。週末の9時台で開いていたのはスタバだけでした。


 眼下に広がるこの眺め!これでまだビルの中間程度の高さなのですから、展望台の高さはもう途方もないものなのでしょう。


 朝食のコーヒーとクロワッサンは、セットで100NT(370円)。眼下に広がる景色に、そのおいしさもひとしおです。
 なお広い店ではないことから、滞在時間は90分に制限されます。その案内文は中・英に加えハングルでも出ており、実際に韓国人の訪問者も多かったことから、韓国ではよく知られた「裏ワザ」のようです。


 台北駅に戻り、いよいよ台鉄に乗って郊外へのミニトリップが始まります。
 隣の松山まで乗ったのは、日本製の新型通勤電車。現地の鉄道ファンの間では「スネ夫」の愛称で呼ばれています。とがったアゴが、確かにスネ夫っぽい…??


 さらに電車に揺られ40分、八堵駅に到着です。雨模様で、肌寒い気温が続きます。那覇より南なのに、なぜこうも寒いのか。納得できないけど、現実です。
 八堵からは、非電化のローカル線・平渓線に直通する普通列車に乗り換えます。ローカル線とはいえ4両編成のオールロングシートで、立つ人も出る混雑。ローカル線の風情には乏しい列車ですが、ディーゼルのエンジン音を聞いていると旅気分が沸いてきました。


 十分駅付近では、街の中を堂々行進します。後で降りてみましょう。


 八堵から1時間強で、終点・青銅着。列車をバックに記念撮影をする人が絶えません。特に今日は日曜日とあって、気軽な日帰り旅行に来た台北っ子が多かったようです。
 ローカル線の旅が、手ごろで一般的なレジャーになっていることが分かります。


 青銅の界隈は、いい雰囲気。


 古い街並みをぶらぶらしつつ、屋台を冷やかしながら、おいしいおやつにありつけます。


 通勤ラッシュ以上の大混雑の列車で、十分へ。十分の古い街並みは平渓線沿いにあり、現役の路線の線路上には人が溢れています。
 十分名物、願い事を込めて天に上げる「天燈」も、線路の上から放つのが習わし?のようです。そうこうしていると列車の警笛が聞こえてきて、通行人は一斉に線路から離れます。


 街中を、観光客の至近距離を、ディーゼルカーが堂々の行進!
 日本でも、江ノ電や熊本電鉄に路上を走る区間がありますが、人と列車の距離は平渓線が近そう。危なっかしくもみえるけど、一応「通行禁止」の看板は立てているので、それぞれで気を付けて下さいというスタンスのようです。


 街を抜けて、吊り橋を渡ります。
 隣の鉄橋を走る列車をシャッターに収めたくなる風景ですが、時間があわず泣く泣く断念。


 柵のない線路沿いの小道を歩き、駅から30分でだどりつくのがここ、十分瀑布です。
 台湾のナイアガラとの別名は少し大げさかもしれないけど、大分のナイアガラ(原尻の滝)よりは水量で迫力を感じられました。


 滝の出入口の前は、平渓線の線路。やはりここも、人の間近を列車が走り抜けて行きます。
 滝の前に駅があれば便利なのに…とは、誰しもが思うこと。またトボトボ30分かけて、歩いて戻りました。


 駅前で、猪肉の串焼きを買いました。注文を受けてから焼き始める串焼きは、アツアツの美味です。
 そういえばまともにお昼ごはんを食べてないけど、ちょいちょいつまんでいるので空腹感はありません。


 1本前の列車が大混雑だったので、15時38分の列車に乗れるか不安でしたが、どうにか隙間に潜り込むことができました。
 ところが東部幹線と合流する三貂嶺を前に、列車はピタリと止まってしまいました。東部幹線の信号待ちなのでしょうけど、車内放送はウンともスンとも言わず、地元の人も気にする素振りは見せません。10分後、何事もなかったかのように動き出しました。


 その三貂嶺で下車。写真を撮っていると、車掌さんから「乗らないの?」と声を掛けられました。わずかな停車時間に写真を撮るという行動が理解されているあたり、鉄道趣味の浸透ぶりがうかがわれます。
 改札を出る時には、駅員さんから「日本人ですか?」と声を掛けられました。そうです、次の電車まで散策しますと返すと、日本語は分かりませんとの答え。最低限の日本語を覚えられているのですね。


 三貂嶺の待合室。幹線上とはいえ、ローカル駅らしいたたずまいです。向かい側のホームへ行くには構内踏切しかなく、列車通過の度に監視のため駅員さんが出てきます。日本だったら地下道かこ線橋でも設けて、とっくに無人化してしまっていることでしょう。
 のどかな駅ながら、改札上に掲げられた「空襲時避難位置図」に、準戦時下であることを思い知らされます。


 三貂嶺前には狭い歩道しかなく、幹線上の いわゆる「秘境駅」としても知られています。後日通過した際にも、駅の周囲で写真を撮る人の姿を見かけました。
 駅前の建物は屋根がなく廃屋のようですが、銘板が取り付けられてて、なにやら文化財のようです。


 次の電車で一駅、侯硐へと移動します。


 ここは「猫の村」として知られた界隈。集落とを結ぶ こ線橋は、猫と触れ合えるベンチが設けられ、あちらこちらに愛らしい姿が。
 今台湾では狂犬病が流行していて、猫も触らない方がいいとの情報を得ていたのですが、地元の方は気にせず膝に乗せて触れ合っていました。


 駅をバックに、たたずむニャ。


 ネコ小屋、初めて見ました。


 猫グッズの店は、何軒もあります。


 坂道と、台北に急ぐ特急プユマ号。


 駅の表側には工場の博物館があり、展示は洒落た雰囲気のディスプレイがなされていました。野良猫は、ここにも迷い込んできています。
 こちらにもカフェがあり、ゆっくり過ごしに来るのもよさそう。


 もう一駅移動して、瑞芳駅で下車します。平渓線の1日乗車券は、この駅まで有効です。駅前の、小さな飲食店が十数軒入った地元向けのフードコート、「美食街」で軽くご飯を食べることにしました。
 外国人も多く来るようで、食堂のおやじさん、「ヒュヒュヒュ」と効果音を付けながらホウキの柄でメニュー表を差し、これ?これ?と聞いてくれました。魯肉飯はお茶碗一杯だったけど、20NT(75円)という安さ。

 瑞芳駅からは、映画「千と千尋の神隠し」のモデルとされる九份へのバスに乗ります。「金瓜石」と表示され、行列のできているバス。これに間違いないだろうと乗ってみたけど、一向に着く気配がありません。
 やがてビルが増え、黄色いアヒルが見えてきました。どうやら逆方向のバスに乗ってしまったようで、基隆へと出てきてしまったのでした。


 九份へと戻ってもいいのですが、せっかく基隆に出てきたのだからと気を取り直して、市内見物をすることに。アヒルちゃんは「ラバーダック」と称する、世界を旅するアート作品。基隆での展示は20日に始まったばかりで、2月8日までの公開です。
 基隆行きのバスに乗る人が多かったのは、アヒルちゃん見物の人が多かったからでもあるみたい。プカ~と浮かんだアヒルちゃんを見ていると、こっちの気持ちも自然と和んできます。


 グッズも溢れており、基隆のみならず台湾で大ブームになっているアヒルちゃん。「黄色小鴨 快楽基隆」のキャッチフレーズで、基隆観光の起爆剤でもあったようです。
 しかしこの2日後、アヒルちゃんは謎の大爆発を起こし、衝撃の最期を遂げてしまいました。愛されていただけに現地の皆さんの衝撃は大きく、全国で大ニュースとなってしまいましたが、すぐに修理して年明けには復活したようです。


 ミニバージョンのスマイル アヒルちゃん。
 巨大アヒルちゃん復活までは、代打役として活躍したそうです。


 港町基隆には、いい味を出している近代建築が並びます。
 市役所は新年の飾り付けがなされ、レインボーカラーにライトアップ。古い建築物に、新たな彩りを加えていました。


 駅前の建物群も「ビルヂング」と呼びたい、時代がかったもの。


 歩き疲れたので、メシにもありつきましょう。基隆夜市の垂れ幕にも、アヒルちゃんの姿がありました。屋台の売り子さんたちも、アヒルちゃん帽子をかぶってます。


 どの店にも食事中のお客さんがたくさんいるので、「この人の食べてるコレ下さい!」作戦が使えるのは、言葉ができない僕にとっては便利。3軒ハシゴしてしまいました。
 まずは蟹油飯と蟹スープ。よく味が出ていて、うまかった!これで75NT(280円)です。


 その名も「天婦羅」は、あまいタレで食べる練り物です。


 夜市の表通りは提灯が並び、「黄色い浅草」とでも例えたい風景になっていました。
 興味深いのは、道路側に出店が出ているのに、建物内でも別の店が営業をしていること。道から目立たず商売になりにくい気がするけど、こんなものと割り切っているのかな。


 8時前の電車で、台北へと戻ります。台湾の人はあまりホームを歩きたがらないらしく、改札近くの車両は大混雑だったのに、先頭へ行くにしたがってガラガラになっていきました。
 電車はEMU500/600型。韓国製の、台鉄ではもっともポピュラーな通勤電車です。「スネ夫」に乗れたのは結局1度きりで、この後この旅で乗った普通電車はすべて、この電車でした。


 台北駅へ戻り、一日の旅が終了。駅では地元福岡の人気店「てつおじさんのチーズケーキ」が支店を出しており、大行列ができていました。一時はほとんど見かけなくなってしまった店ですが、今や台湾でも人気とは、完全復活といえそうです。
 宿では今夜も酒盛り、楽しい毎日が続くのでした。