2013年度、JR九州では「ハッピーバースデイ九州パス」なる割引きっぷを売り出しています。JR九州の新幹線・特急列車が乗り放題、さらに6回までグリーン車を使えて2万円という、誕生月にふさわしい贅沢なきっぷです。
そこで僕の誕生月である1月の18日と19日、九州内のグリーン車5車種を乗り比べる旅に出発! ついでにあちこちに寄り道して、九州を再発見する旅となりました。
前後の仕事の予定がぎっちりで、残念ながら1日分は放棄。それでも充分、モトは取れたことと思います。
トップランナーはさくら403号で、久留米から鹿児島中央に下ります。しょっぱなから、新幹線のグリーン車で贅沢です。
九州新幹線のグリーン車は、開業日の2011年3月12日に乗り試して以来。あの日も同じ時間帯の列車でしたが、東日本大震災の発生直後だったこともあり、あまり印象に残っていませんでした。
グリーン車のある6号車は普通車との合造車ですが、グリーン車側のデッキは重厚な色でまとめてあります。
ドアを開けるとそこに広がるのは、日頃なかなか足を踏み入れられない、魅惑の空間です。
普通車でも4列シートの「さくら」だけに、グリーン車は差別化を図るべくさらに豪華。調度に意が注がれ、リクライニングは電動です。
ただ中間車なので、グリーン車とは関係のない人の通り抜けがあります。早朝の列車なので客室乗務員も乗っておらず、家族連れの子どもが騒がしくて、あまりグリーン車に乗っている気がしませんでした。
熊本以南は各駅停車になるタイプの「さくら」でしたが、それでも新幹線は早く、わずか1時間20分で鹿児島の地を踏みました。
鹿児島中央駅の大階段は既に過去のもので、駅ビル別館の工事が進捗中。数か月ぶりなのに、景色が変わってます。
駅前から鹿児島交通のバスに乗り25分、鴨池港へ。先行して市バスも走っていましたが、会社の枠を超えてバス時刻を検索できる「九州のバス時刻表」では鹿交が追い抜くダイヤだったので、後続の鹿交に乗りました。
実際は渋滞で遅れ、市バスの後に鴨池港着。港のまわりはニュータウンになっていて、意表を突かれます。高層の住宅団地からは、桜島がよく見えそうです。
鴨池港からは、垂水フェリーで垂水へと渡ります。大隅半島の垂水へはもちろん陸路でも行けますが、錦江湾を渡るフェリーが近道です。
35分のショートトリップで、運賃は対岸の垂水に着いたときに支払います。いわさきICカードも使えて、気軽な渡し船の感覚です。運賃は440円ですが、ICカードを使うと400円に割引になります。
嬉しいのは、桜島フェリーと同様に うどんの食堂があること!
ずるずるっと うどんをすすりながら海を渡るのは、錦江湾の風物詩です。
桜島、今日は煙っている…というより、桜島自体の噴煙でうっすら見えなくなっているようでした。
垂水港到着。港のターミナル前には広大な駐車場があり、車を乗せずとも鹿児島市側へ渡れるようになっています。
大隅半島側へ桜島の噴煙が流れる季節、風に火山灰が舞っていました。
垂水港から湾を挟んで対岸にある、ホテルアザレアで日帰り湯。ヌルっとした、なかなかいい湯でした。
ただ垂水港から近いとはいえ、湾を挟むので歩くと10分少々かかります。バスまでの乗り継ぎ時間50分の間に入るには、ちょっとバタバタな感じでした。
志布志行のバスに乗り込みます。三州自動車という地元バス会社ですが、いわさきグループの一員で、ICカードも使えます。いわゆる分離子会社というもののようです。
都バスの中古車のようで、1列のシートは都会のラッシュに対応した仕様。ただ志布志まで1時間40分を乗るには、不向きのバスではあります。
旧国鉄大隅線の代替路線であり、線路跡らしき道路も並行していましたが、どこが駅だったのかは判然としませんでした。大隅線の最後の開業区間、海型温泉~国分が存在したのはわずか15年間。「駅前」が形成される時間すらなかったのかもしれません。
志布志着。志布志で行って見たかったのがここ、志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所!何回「し」って言っただろう…
市町村合併で生まれた「珍名所」ですが、あえてアピールする看板に町おこしのセンスを感じました。
駅周辺の散策コースを設定するだけではなく、あちこちに地図の看板が出ているのは、一見の観光客には嬉しい配慮。
志布志に来たのは、高校2年生以来15年ぶり。あの時の志布志駅前には「何もない」というイメージしか残っていないですが、駅前にはまっすぐ伸びるシンボルロードが貫通。サンポートしぶしアピアなる、再開発ビルができていました。
ただ空きスペースは多く、2階は場外舟券売り場になっていて、あまり明るい雰囲気ではありませんでした。
3方向の線路が接続するターミナルだった志布志ですが、今は日南線のどんづまりの終着駅に。
駅としては無人ですが、観光案内所が入っていて、案内員さんが常駐しているのはどこか安心感があります。
キハ40系の単行が、静かに乗客を待っていました。
昼下がりの列車の乗客数は10人程度。さきほどのバスと同程度です。
太平洋を眺めながらの、のんびり鈍行列車の旅です。
途中の油津駅で、普通列車同士の乗り換え。系統を分けるくらいだから、乗り換え列車は2両編成になるのかと思ったら、同じ単行でした。
なぜ乗り換えを強いるのか理解に苦しみますが、トラブル時にダイヤの乱れを波及させないための工夫かな?黄色が印象的な日南線カラーの列車でしたが、車内は特に変わりません。
飫肥で下車。駅前でレンタルサイクルを借りて、1時間の街並み散策に出かけました。平地なのでその要はなかったのですが、電動自転車しかないとのこと。その分、500円とちょっとお高めです。
中心部には電線がなく、頭上にはすっきりした空が広がります。電線の地中化工事は、今も進行中でした。
石積みの美しさに目を奪われつつ、自転車の機動力を生かしてくまなく散策。
飫肥城址は、杉木立の中にありました。
天守跡は、そのものが杉林に。
飫肥からは、日南線の観光特急「海幸山幸」に乗ります。
デビュー当時は週末のチケットが入手困難なほどの人気になった列車ですが、デビュー4年を経てだいぶ落ち着いてきたようです。それでも8割程度は乗っており、1号車は青島まで区間乗車の団体さんが占めていました。
外装に木を使うという、大胆なデザインを行ったことでも話題になった列車です。
4年間、外気にさらされた木材には ひびも見られますが、古くなったというよりは落ち着いたといった風合いになっています。
写真は、乗車した1号車の「山幸」。車内も、床にはだいぶ傷が入っていました。ただ積層のフローリングではない、飫肥杉の床板なので、かんなをかければ新品の美しさを取り戻すのではないでしょうか。
飫肥駅を発車する際には、観光案内所のおじちゃんと母子が手を振ってお見送り。福岡から来た女子旅4人組は、歓声を上げて感動していました。
2号車の「海幸」にも、定員外のフリースペースが随所にあります。自由席は2号車の一部に、わずか9席しかないのですが、こうした場所で過ごすという方法もあります。
3年前にも乗ったことがある列車ですが、車窓案内の内容や車内イベントには磨きがかかっていました。
前回は案内になかったポイントが、九州最長の直線区間。アップダウンやトンネルがありつつもまっすぐと続く線路は、前後から見ていると確かに面白い車窓でした。
奇勝、鬼の洗濯岩の前後では、客室乗務員による海幸山幸伝説の紙芝居上映もありました。
元は、高千穂鉄道のトロッコ風気動車だった海幸山幸。窓は大きく、車窓を楽しめます。
夕暮れの宮崎平野をラストスパート。線路沿いには小さな波の絵の看板が立っており、最初は高波注意の標識かと思っていたのですが、平野部に続いているのを見るに、津波浸水想定区域を示すもののようです。
南海トラフ地震の際には大津波が想定されている宮崎平野の風景は、福島の新地、山元や仙台沿岸部に重なり、万一への備えは大きな課題です。沿線には高いビルがなく山も遠い場所もあり、もしグラリと来たらどう逃げようか、土地に慣れない観光客としては答えは出ないままでした。
高架の宮崎駅に到着。ビビッドな色使いが特徴的だった内装は、近年の流行にならい白ベースに改装されていました。
もう夕方5時半ですが、まだまだ列車の旅は続きます。椎茸弁当を買い込み、次なるグリーン車は…
787系「にちりんシーガイア」です。博多~西鹿児島の「つばめ」で活躍したのも今は昔、新八代までの「リレーつばめ」も新幹線開業でお役御免になった後は、長崎行き「かもめ」、小倉行き「きらめき」、日豊本線「きりしま」「にちりん」系統に転用されています。
もっとも博多~宮崎をロングランする「にちりんシーガイア」は1992年の787系デビューから半年後に導入され、2000年に撤退していたので、復活とも言えます。
日豊本線系統では4両編成の旧「有明」タイプが多い787系ですが、一部の列車では多彩な設備がウリの6両編成「つばめ」タイプが使われています。
にちりんシーガイア24号も、つばめタイプ。4人でワイワイ過ごせるグリーン個室や…
普通車指定席の料金で、プライベート感が上がるボックスシート…
卵型の天井が印象的な、元ビュッフェのスペースのゆったり指定席も健在です。
博多~小倉の「きらめき」だと1時間もかからずもったいない感じなのですが、にちりんシーガイアでは豪華な仕様も生きてきます。新幹線開業時に車内販売も復活していて、往年の「つばめ」を追憶体験できる列車です。
そしてバースデーパスのお得感がもっとも発揮されるのがこの座席、デラックスグリーン!電動のリクライニングはほぼフルフラットになり、足を伸ばしてくつろげます。グリーン料金よりさらに5割ほど高いのですが、パスでは追加料金はなしで利用できます。
ただ昔は飲み物とクッキーのサービスまであったのに、グリーン車の飲み物サービス廃止に引きずられなくなったのは残念なところ。使い捨てスリッパのサービスは、健在でした。隣の席の方は博多までの長旅で、フルフラットにして睡眠モード。正しい使い方です。
宮崎~大分間は高速道路が未整備で、鉄道がほぼ独占している区間なのですが、延岡から北の乗客は数えるほどに。
一時は2時間に1本にまで減った本数も、近年では1時間間隔化、さらに車販復活とテコ入れが行われていますが、東九州道全通の際には厳しい局面を迎えそうです。臼杵で下車したのは、僕ともう一人だけでした。
今夜は臼杵泊まり。大手サイト経由で3,500円の安旅館に宿を取りましたが、お願いもしていなかったのに迎えに来て頂き、旅館並みのおもてなしで迎えてくれて感激。昭和初期の建物も立派でした。
さらに街まで送って頂き、5年ぶりにカフェ「エカメナ」へ。主宰氏には学生時代からお世話になっており、おっちゃんになったねと冷やかされながらも、懐かしい時間を過ごしたのでした。
そこで僕の誕生月である1月の18日と19日、九州内のグリーン車5車種を乗り比べる旅に出発! ついでにあちこちに寄り道して、九州を再発見する旅となりました。
前後の仕事の予定がぎっちりで、残念ながら1日分は放棄。それでも充分、モトは取れたことと思います。
トップランナーはさくら403号で、久留米から鹿児島中央に下ります。しょっぱなから、新幹線のグリーン車で贅沢です。
九州新幹線のグリーン車は、開業日の2011年3月12日に乗り試して以来。あの日も同じ時間帯の列車でしたが、東日本大震災の発生直後だったこともあり、あまり印象に残っていませんでした。
グリーン車のある6号車は普通車との合造車ですが、グリーン車側のデッキは重厚な色でまとめてあります。
ドアを開けるとそこに広がるのは、日頃なかなか足を踏み入れられない、魅惑の空間です。
普通車でも4列シートの「さくら」だけに、グリーン車は差別化を図るべくさらに豪華。調度に意が注がれ、リクライニングは電動です。
ただ中間車なので、グリーン車とは関係のない人の通り抜けがあります。早朝の列車なので客室乗務員も乗っておらず、家族連れの子どもが騒がしくて、あまりグリーン車に乗っている気がしませんでした。
熊本以南は各駅停車になるタイプの「さくら」でしたが、それでも新幹線は早く、わずか1時間20分で鹿児島の地を踏みました。
鹿児島中央駅の大階段は既に過去のもので、駅ビル別館の工事が進捗中。数か月ぶりなのに、景色が変わってます。
駅前から鹿児島交通のバスに乗り25分、鴨池港へ。先行して市バスも走っていましたが、会社の枠を超えてバス時刻を検索できる「九州のバス時刻表」では鹿交が追い抜くダイヤだったので、後続の鹿交に乗りました。
実際は渋滞で遅れ、市バスの後に鴨池港着。港のまわりはニュータウンになっていて、意表を突かれます。高層の住宅団地からは、桜島がよく見えそうです。
鴨池港からは、垂水フェリーで垂水へと渡ります。大隅半島の垂水へはもちろん陸路でも行けますが、錦江湾を渡るフェリーが近道です。
35分のショートトリップで、運賃は対岸の垂水に着いたときに支払います。いわさきICカードも使えて、気軽な渡し船の感覚です。運賃は440円ですが、ICカードを使うと400円に割引になります。
嬉しいのは、桜島フェリーと同様に うどんの食堂があること!
ずるずるっと うどんをすすりながら海を渡るのは、錦江湾の風物詩です。
桜島、今日は煙っている…というより、桜島自体の噴煙でうっすら見えなくなっているようでした。
垂水港到着。港のターミナル前には広大な駐車場があり、車を乗せずとも鹿児島市側へ渡れるようになっています。
大隅半島側へ桜島の噴煙が流れる季節、風に火山灰が舞っていました。
垂水港から湾を挟んで対岸にある、ホテルアザレアで日帰り湯。ヌルっとした、なかなかいい湯でした。
ただ垂水港から近いとはいえ、湾を挟むので歩くと10分少々かかります。バスまでの乗り継ぎ時間50分の間に入るには、ちょっとバタバタな感じでした。
志布志行のバスに乗り込みます。三州自動車という地元バス会社ですが、いわさきグループの一員で、ICカードも使えます。いわゆる分離子会社というもののようです。
都バスの中古車のようで、1列のシートは都会のラッシュに対応した仕様。ただ志布志まで1時間40分を乗るには、不向きのバスではあります。
旧国鉄大隅線の代替路線であり、線路跡らしき道路も並行していましたが、どこが駅だったのかは判然としませんでした。大隅線の最後の開業区間、海型温泉~国分が存在したのはわずか15年間。「駅前」が形成される時間すらなかったのかもしれません。
志布志着。志布志で行って見たかったのがここ、志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所!何回「し」って言っただろう…
市町村合併で生まれた「珍名所」ですが、あえてアピールする看板に町おこしのセンスを感じました。
駅周辺の散策コースを設定するだけではなく、あちこちに地図の看板が出ているのは、一見の観光客には嬉しい配慮。
志布志に来たのは、高校2年生以来15年ぶり。あの時の志布志駅前には「何もない」というイメージしか残っていないですが、駅前にはまっすぐ伸びるシンボルロードが貫通。サンポートしぶしアピアなる、再開発ビルができていました。
ただ空きスペースは多く、2階は場外舟券売り場になっていて、あまり明るい雰囲気ではありませんでした。
3方向の線路が接続するターミナルだった志布志ですが、今は日南線のどんづまりの終着駅に。
駅としては無人ですが、観光案内所が入っていて、案内員さんが常駐しているのはどこか安心感があります。
キハ40系の単行が、静かに乗客を待っていました。
昼下がりの列車の乗客数は10人程度。さきほどのバスと同程度です。
太平洋を眺めながらの、のんびり鈍行列車の旅です。
途中の油津駅で、普通列車同士の乗り換え。系統を分けるくらいだから、乗り換え列車は2両編成になるのかと思ったら、同じ単行でした。
なぜ乗り換えを強いるのか理解に苦しみますが、トラブル時にダイヤの乱れを波及させないための工夫かな?黄色が印象的な日南線カラーの列車でしたが、車内は特に変わりません。
飫肥で下車。駅前でレンタルサイクルを借りて、1時間の街並み散策に出かけました。平地なのでその要はなかったのですが、電動自転車しかないとのこと。その分、500円とちょっとお高めです。
中心部には電線がなく、頭上にはすっきりした空が広がります。電線の地中化工事は、今も進行中でした。
石積みの美しさに目を奪われつつ、自転車の機動力を生かしてくまなく散策。
飫肥城址は、杉木立の中にありました。
天守跡は、そのものが杉林に。
飫肥からは、日南線の観光特急「海幸山幸」に乗ります。
デビュー当時は週末のチケットが入手困難なほどの人気になった列車ですが、デビュー4年を経てだいぶ落ち着いてきたようです。それでも8割程度は乗っており、1号車は青島まで区間乗車の団体さんが占めていました。
外装に木を使うという、大胆なデザインを行ったことでも話題になった列車です。
4年間、外気にさらされた木材には ひびも見られますが、古くなったというよりは落ち着いたといった風合いになっています。
写真は、乗車した1号車の「山幸」。車内も、床にはだいぶ傷が入っていました。ただ積層のフローリングではない、飫肥杉の床板なので、かんなをかければ新品の美しさを取り戻すのではないでしょうか。
飫肥駅を発車する際には、観光案内所のおじちゃんと母子が手を振ってお見送り。福岡から来た女子旅4人組は、歓声を上げて感動していました。
2号車の「海幸」にも、定員外のフリースペースが随所にあります。自由席は2号車の一部に、わずか9席しかないのですが、こうした場所で過ごすという方法もあります。
3年前にも乗ったことがある列車ですが、車窓案内の内容や車内イベントには磨きがかかっていました。
前回は案内になかったポイントが、九州最長の直線区間。アップダウンやトンネルがありつつもまっすぐと続く線路は、前後から見ていると確かに面白い車窓でした。
奇勝、鬼の洗濯岩の前後では、客室乗務員による海幸山幸伝説の紙芝居上映もありました。
元は、高千穂鉄道のトロッコ風気動車だった海幸山幸。窓は大きく、車窓を楽しめます。
夕暮れの宮崎平野をラストスパート。線路沿いには小さな波の絵の看板が立っており、最初は高波注意の標識かと思っていたのですが、平野部に続いているのを見るに、津波浸水想定区域を示すもののようです。
南海トラフ地震の際には大津波が想定されている宮崎平野の風景は、福島の新地、山元や仙台沿岸部に重なり、万一への備えは大きな課題です。沿線には高いビルがなく山も遠い場所もあり、もしグラリと来たらどう逃げようか、土地に慣れない観光客としては答えは出ないままでした。
高架の宮崎駅に到着。ビビッドな色使いが特徴的だった内装は、近年の流行にならい白ベースに改装されていました。
もう夕方5時半ですが、まだまだ列車の旅は続きます。椎茸弁当を買い込み、次なるグリーン車は…
787系「にちりんシーガイア」です。博多~西鹿児島の「つばめ」で活躍したのも今は昔、新八代までの「リレーつばめ」も新幹線開業でお役御免になった後は、長崎行き「かもめ」、小倉行き「きらめき」、日豊本線「きりしま」「にちりん」系統に転用されています。
もっとも博多~宮崎をロングランする「にちりんシーガイア」は1992年の787系デビューから半年後に導入され、2000年に撤退していたので、復活とも言えます。
日豊本線系統では4両編成の旧「有明」タイプが多い787系ですが、一部の列車では多彩な設備がウリの6両編成「つばめ」タイプが使われています。
にちりんシーガイア24号も、つばめタイプ。4人でワイワイ過ごせるグリーン個室や…
普通車指定席の料金で、プライベート感が上がるボックスシート…
卵型の天井が印象的な、元ビュッフェのスペースのゆったり指定席も健在です。
博多~小倉の「きらめき」だと1時間もかからずもったいない感じなのですが、にちりんシーガイアでは豪華な仕様も生きてきます。新幹線開業時に車内販売も復活していて、往年の「つばめ」を追憶体験できる列車です。
そしてバースデーパスのお得感がもっとも発揮されるのがこの座席、デラックスグリーン!電動のリクライニングはほぼフルフラットになり、足を伸ばしてくつろげます。グリーン料金よりさらに5割ほど高いのですが、パスでは追加料金はなしで利用できます。
ただ昔は飲み物とクッキーのサービスまであったのに、グリーン車の飲み物サービス廃止に引きずられなくなったのは残念なところ。使い捨てスリッパのサービスは、健在でした。隣の席の方は博多までの長旅で、フルフラットにして睡眠モード。正しい使い方です。
宮崎~大分間は高速道路が未整備で、鉄道がほぼ独占している区間なのですが、延岡から北の乗客は数えるほどに。
一時は2時間に1本にまで減った本数も、近年では1時間間隔化、さらに車販復活とテコ入れが行われていますが、東九州道全通の際には厳しい局面を迎えそうです。臼杵で下車したのは、僕ともう一人だけでした。
今夜は臼杵泊まり。大手サイト経由で3,500円の安旅館に宿を取りましたが、お願いもしていなかったのに迎えに来て頂き、旅館並みのおもてなしで迎えてくれて感激。昭和初期の建物も立派でした。
さらに街まで送って頂き、5年ぶりにカフェ「エカメナ」へ。主宰氏には学生時代からお世話になっており、おっちゃんになったねと冷やかされながらも、懐かしい時間を過ごしたのでした。