▲定期掲載nimocaと記念nimoca
大橋駅で記念nimocaを購入、家に戻って無事に廃品回収も出したので、今度は自転車で井尻駅へと飛び出しました。
定期券も搭載できるnimoca。僕は通勤用に井尻~薬院間の定期を持っていますが、せっかくの記念nimocaに定期の字を書き込むのはモッタイナイ。自動券売機で、通常版のnimocaを購入しました。
続けて定期券を入れて書き換えの作業をしようとしても、そのようなボタンはなく、あれ? 駅員さんに聞いてみると、書き換えは定期券売り場でしかできないとか。日曜はお休みの西鉄電車定期売り場ですが、今日は書き換え対応のため空けているということで、再び大橋駅に向かいました。
大橋駅に着いてみると、定期の書き換えと「スターnimoca」(記名式のnimoca)への登録で5人ほどの行列が。かなり手間取っていて待たされそうなので、一計を案じ、急行退避で止まっていた普通電車に舞い戻り、平尾駅で降りました。
売店と定期売り場がくっついたこちらには行列もなく、おばちゃん店員とともにああでもない、こうでもないと言いながら、なんとか書き換え完了。定期はすでに名前を書いて買っているのだから、無条件に記名式になると思っていましたが、ちゃんと登録しないと再発行不可の定期券になってしまうとか。要注意です。
▲大活躍のフェレット
▲盛大に行われた記念式典
めでたく手にしたnimocaで、さっそく改札口をタッチ! ソウルで、東京で、大阪で、岡山で体感したあの便利さが、いよいよ福岡にやって来ました。
10時過ぎに福岡駅に着いてみれば、記念式典の真っ最中。ちょうどくす玉割りも終わり、そうそうたる顔ぶれによるnioca改札「渡り初め」へと移りました。とはいえ電車が営業しながらの式典なので、電車の来ないスキができるまで、ギャラリーはコンコースの端で待機。休日ということもあり、電車からはどっと「お出かけ」風情の乗客が降りてきますが、時ならぬお祭り騒ぎと「出迎え」に驚いた様子。そんな中でもフェレットの着ぐるみは、子供達に大人気です。
ようやくできた「スキ」を付いて、来賓による「渡り初め」。一斉に光るフラッシュを浴び、nimocaは盛大にスタートを宣言しました。式典進行役も、電車のダイヤが乱れずほっとしたことでしょう。
▲商業施設でも利用スタート!
式典後のコンコースは、nimoca即売所に早変わり。1階自由通路のカウンターでは、はやくも記念カードが売り切れたようです。ソラリアプラザに移ると、こちらのカウンターも行列ができる賑わい。ソラリアの会員カード「ソラリアカード」は昨日をもってnimocaに移行する形で利用終了になり、加入者が集まっている模様です。
ちなみに天神コアでも、一足早く「コアカード」が1月に廃止になり、nimocaに移行しました。いずれも電子マネー決済に限らず、現金支払いでもポイントが付くようで、それぞれのポイントサービスをきちんと代替する形になっています。いままでのカード会員にとっては逆に、電車やバスでもソラリアやコアのポイントが付くようになる、という感覚かも。天神を中心に商業施設を手広く営む、西鉄ならではのアプローチといえそうです。
同じく西鉄系列の「福ビル」に行ってみれば、こちらはnimocaと無縁。客層の違いからかな? 一方、足元の天神地下街は以前から「Edy」導入を進めており、nimocaを使えるのは西鉄系列の大賀薬局くらいでnimoca導入は当分先になりそう。さらにビックカメラに足を向けると、こちらは「Suica」が活躍中でした。新博多駅ビルはJR九州の「SUGOCA」に伍するだろうし、どこでも使えるカードになる道のりは険しそうです。nimocaとSUGOCA、はやかけん、suicaの共通化はアナウンス済みですが、パイの限られる地方都市では、電子マネー機能やポイントにまで踏み込んだ共通化も必要では?
お昼も近くなったので、ソラリアステージ地下街のカウンター形式の定食屋さんで昼ご飯。もちろんnimocaエリアです。支払いを「nimocaで」と言うと、
「電子マネー?」
「nimocaです」
「ポイント?」
と、会話にならぬ会話になってしまいました。初日となれば、多少の混乱は仕方ないかな。
▲新色バスの展示会&試乗会も
1時になったので、さきほどソラリアで申し込んだ「西鉄新デザインバス試乗会」出発場所のバスセンターに上がりました。100周年を迎える西鉄はnimoca以外にもイベントが準備されていて、バスの塗装変更もその一つ。これまでのはっきりした色合い、ややもすると少し野暮ったかった感じの色から、パステル調の縦ラインがならぶ、すっきりおしゃれなデザインに変わります。CGで見ると薄すぎる感じでしたが、実物はもう少しはっきりした色合いです。
試乗会はソラリアでnimoca提示した人が先着順で参加でき、バスファン(&西鉄ファン)風の人は少数派。そんなのがあるなら、ちょっと参加してみようかという人が主なようです。座席や肘掛は優しい「自然素材系」の色に変わり、乗る瞬間には紺の床が目を引きます。テレビモニターも付き、広告や案内に活用されるそうです。ただ車内での視界は、ポールや壁といった「変わらない部分」に占められる割合も多く、電車のリニューアルとは違って、劇的に変化した感は受けられませんでした。
試乗会は、天神から博多駅、中洲を巡って天神に戻っただけの30分。デザイナーが乗り込んで開発秘話を披露したり、せめてモニターを使っての解説があったり程度のイベントを期待していましたが、本当に乗っただけで終わってしまいました。無料で乗せてもらっていて贅沢は言えませんが、アピールの機会にはもっと声を上げた方がいいのではと思った次第。
街行く人へのアピールにはなったかもしれませんが、広告バスが増え色とりどりになっている昨今。こちらを見て「おや?」という顔は、ほとんど見かけませんでした。これから、自然に街へ溶け込んでいきそうです。
▲nimoca電車とnimocaバス
▲無人駅でもnimocaスタート
さて今回nimocaでは、先代の磁気カードである「よかネット」で達成できなかった、大牟田線系全駅での利用を可能になりました。では無人駅ではどうなっているのか? 確かめるべく、大牟田線久留米以北で唯一の無人駅、味坂に行っていました。
出迎えたのは、ステンレスの箱に入れられた簡易改札機。ホームの端にあるので、乗客がきちんとタッチして降りたか、車掌が確認しやすくなっています。大善寺以南や甘木線の各駅にも、こんな改札が設置されているのでしょう。便利になりそうです。願わくばマイカー全盛のこれらの地域で、気軽に乗れる電車の利用率向上にも結びついてくれればと思います。
帰路は途中下車しながら福岡へ行きたかったので、切符を購入。西鉄では17km以上の切符で途中下車できますが、nimocaでは対象外なのです。せっかく乗降を記録できるICカードなのだから、途中下車の認識も可能なはず。回数割引(同一区間の複数回利用によるポイント還元)や、市内で600円以上乗ったらそれ以上の運賃を取らない「1日乗車券」機能などの予定もないようで、ICカードの機能を活かした分かりやすい割引制度の導入も望まれます。
なお途中各駅をのぞいたところ、夕方の時点でも記念nimocaが残る駅は多かった模様。結果的には早起きして並ばなくても買えたわけだけど、これも思い出の一つということで…ちなみに、夜までには窓口分9,000枚を売り切ったようで、まずはめでたし。
▲nimoca対応改札&リーダー
福岡に戻った僕は、ソラリアプラザ7階の「ソラリアシネマ」へ。ここもnimocaエリアなのはもちろん、福岡市営地下鉄定期券での入場料割引(1,800→1,500円)制度もあります。併用はできるかな?と思い、恐る恐る聞いてみればOKとのこと。1,500円分入っていた記念カードのチャージが、きれいになくなりました。
そんなこんなで始まった、福岡発のICカード「nimoca」。JR・地下鉄との共用まであと2年かかること、バス全線や貝塚線への導入にも数年かかりそうなこと、バスカードや「よかネット」に比べ低すぎる割引率など、普及への壁も少なくありません。それでも手広いグループ経営の西鉄なら、相乗効果で東京・大阪並みの普及を見せてくれそうだとの予感も感じられました。単なる便利なツールにとどまらない、地域の機軸通貨としての活躍を期待します。