長野県北部の郷土食、おやき。
今ではかなり有名になり、全国区となった感がある。
おやきの大多数は蒸すタイプのものだ。
焼くのは少数派だ。
蒸したほうが冷凍や解凍に便利だし調理もしやすい。
だが、名前のとおり焼いたおやきは格別の味だ。
僕が知っている焼いたおやきは小川村にあるおやき村のおやき。
これはほうろくで炙ってから囲炉裏にセットした網の上で時間をかけて焼く。
囲炉裏を囲んで焼きたてのおやきをほうばる時、僕らは縄文人の末裔であることを誇りに思う。
もう一つは、長野市中条(旧中条村)のやきもち家のおやき。
これはほうろくで炙ったあと囲炉裏の灰の中に入れて焼く。
灰の中で焼くのは多分ここだけなのだろう。
野沢菜、ピリ辛野菜、切干大根、中身の具もぎっしりと詰まって薄皮でとてもうまい。
下の写真はピリ辛野菜のおやき。
この日、やきもち家周辺では大雪のため前日から停電になっており、営業していなかったのだが、特別に焼いてもらった。
それというのも、この地区で僕らは棚田のオーナーになっており、このやきもち家で田んぼの会の会長、小林さんから今年できた米を受け取ることになっていたのだ。
小林さんとやきもち家は親しくて、頼んでくれたのだ。
囲炉裏を囲んで話を聞いた。
この地区は11月22日に発生した神代断層地震の影響を受け、小林さんの自宅も壁が落ちたり棚の物が落ちたりと、大変だったという。
そこに来てこの大雪で、木が倒れて道路が通れなくなったり、停電になったりと、異常事態が続いているという。
この小林さんは80歳を超えたがカクシャクとしている。
少しもめげているようには見えない。大したものだ。
このおやきを作っている女性からも話を聞いた。
長崎から嫁に来て、40年おやきを作っているという。
『この辺の人は、おやきつくるの下手だね』
おやきの本場の人は下手だという。皮が厚いのだという。
確かにこのおやきは皮が薄くて具がぎっしりと詰まっている。
コツを聞いた。
話はわかったが、実際にやるとうまくできるか確信がない。
今度挑戦してみよう。
さて、このところ新そばの季節なのでそば打ちが続いている。
今回はあったかそば。
本当のそばの旨さを味わうにはやっぱりざるそばが一番だ。
だが、この寒さではあったかそばも許されよう。
年末に向けてこれからどれだけのそばを打つことになるのだろう。
楽しみに待っている人たちがたくさんいる。
今年一年お世話になった感謝の気持ちを届けよう。
そして、来年もよろしく、と。