『白砂(しらす)山と小さな声で読んでみただけで、なんと多くの美しいイメージが浮かんでくることだろうか。』
信州百名山の著者、清水栄一は書く。
信州と上州の国境にあり、標高2140メートル。
奥深い山々に囲まれた、静寂の山。
この時期はシラネアオイが咲いている。
直線距離では我が家から横手山を越えて、その裏側なのでそんなに遠くないが、道路がない。
遠く菅平を越えて、吾妻渓谷を通り、草津を抜け、野反湖まで、2時間以上かかる。
このところ、色々な仕事に追われ、正月の飯綱山以来、山に行っていなかった。
おまけに脊柱管狭窄症などと言われ、腰痛と脚の痺れのなか、先週はハーフマラソンを走った。
まだその症状は続いているが、そんなことで山登りをあきらめるつもりはない。
登山口の野反湖。
エンレイソウも迎えてくれる。
日本2百名山でもあるので、何人かの登山者の姿もある。
澤筋には豊富な残雪。
前を行く若者たちはアイゼンを付けた。
いくつかのピークを越え、山頂へ続く稜線にはシラネアオイの花。
なんて優しい色をしているのだろう
山桜も咲いていた。
長い間その名を眺めて、その姿を思い描いていた遠い思い人のような白砂山が、そこにある。
山頂からは360度の展望。
奥深い上信越の山々の姿はいくら見ても飽きない。
雲が時おり山頂をよぎっていった。
八間山に続く稜線からは浅間山も見えた。
昨年の夏、燕岳に登った。
その時はすごい混雑で、とても静かな山歩きなどできなかった。
登山者が増えるのは多分いいことなのだろうが、度を超すといろいろ困ることが起きる。
こんな奥深い山で、静かな山歩きができるのは幸せなことだ。
帰路、草津温泉で手足を伸ばし、この山歩きをゆっくりと反芻したのであった。