今朝のニュースを見て愕然とした。
登山家の尾崎隆さんがエベレストで亡くなったとのこと・・・
こういう登山をしているといつか・・・ ということかもしれないが、僕が尊敬する今まで現れた偉大な登山家(クライマー)がまたお一人亡くなられたことに対してショックを受けてしまった。
僕が最も影響を受け、そして尊敬してきたスーパースター的存在の次の方たち、鴫満則さん、長谷川恒男さん、中島正宏さん、鈴木謙造さん、山野井康史さん、そして尾崎隆さん。 この内で山野井さんを除く全員が山で亡くなっている(亡くなってしまった)。
尾崎隆さんは「世間的」には殆ど名を知られていなかったが、先鋭的登山をめざす意味での「登山界」では誰もが認める本当の実力者であり、まさしく僕にとってはスーパースターであった。
マスコミと拝金主義の業界が作り上げた、世間受けするパフォーマンス的な登山しかしない登山家ばかりが過大評価される現在のトンデモ「登山界」と世論ではあるが、尾崎隆さんこそ本当の意味でもっともっと評価されるべき登山家であった。だから彼らのような先人が成し遂げた本当の世界レベルの登山の偉業が正しく伝えられてこそ登山の文化が継承されていくのだと思う(現在はごく一部を除いて恐ろしく間違った方向へ進んでいます・・・)。
実は僕自身が自分の登山の為に行うトレーニング(ゲレンデで〇〇ルートを何本も何本も登りまくったり、スピードを重視した登り方をするなどのトレーニング方法)は全て尾崎隆さんの著書や雑誌のコメントなどを参考にして取り入れるようになったトレーニング方法なのです。(まぁ未だに足元にも及びませんが・・・)
特に尾崎隆さんの海外のビッグルート挑戦前の国内トレーニング山行の凄いことといったら・・・ 例えば冬の鹿島槍北壁主稜ルート登攀~正面ルンゼルート下降~再度、直接尾根ルート登攀が僅か4時間!! 御在所藤内壁の前尾根ルート(通常の所要登攀時間が2~3時間のルート!)を1日で15本だか20本だか・・・ こんなことを出来るクライマーは現在においても居るかどうか? たぶん居ないでしょう! これを装備も技術も乏しかった30年以上も前に行っていたのです。昔の登山家、クライマーのなんと凄いことか!
ガイドをするようになって何度か山でお見かけするようになりましたが、昔とは違って、穏やかなオジサン的風貌になられていましたが、それでもご挨拶する時には猛烈に緊張したものです。やはり本当に尊敬する人に出会うとそんなものなのですね。
是非、機会がありましたら尾崎隆さんの著書「果てしなき山行」を読まれてください。本物の人間が発する行動と言葉の凄み、なによりも登山に対する情熱が少しは理解できることでしょう。
永遠のスーパースター
ありがとうございました。
安らかにお眠りになられてください・・・