銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

新元湯(名古屋・高畑)

2024-10-19 07:40:00 | 銭湯
#新元湯




名古屋市市営地下鉄東山線
#高畑駅
▲高畑駅

▲路線図をみると左下にある。東山線の終着駅だ

▲改札口

▲目指すはバス停の5番なので、どこから出てもいいけど4番出口が一番ちかい




▲4番を出たところ。出て左(写真だと奥)に進むとバス停がある

▲5番に並ぶとバスが来て乗る


▲地下鉄高畑から一色大橋まで行く

▲一色大橋。庄内川に掛かる橋だ

▲来た道(庄内川方面)を戻り、

▲右に階段があるので降りる


▲降りたら

▲右折する

▲ずっと直進



▲下町らしい狭い通路

▲突き当たりにきたら

▲右折

▲すぐ左折

▲再び直進して

▲また突き当たり

▲右折

▲すぐ突き当たり

▲左折。とにかく狭いところ。2つの川に挟まれたところなので、津波が起きたら大変だろう

▲左折する

▲右に浅間社がみえてくる

▲浅間社を横切ると

▲一気に道がひらけてくる

▲そのまま直進

▲鳥居がみえてきて

▲鳥居をくぐり

▲左折する

▲この細い道を通ると

▲新元湯(しんもとゆ)がみえてくる。元湯とは温泉の発見地や起源のことだが、ここは温泉ではない




▲土手の上から眺める。新元湯の目の前にある川は、先ほどの庄内川ではなく新川。2つの川に挟まれた土手の真下にある銭湯だ


▲このあたりは漁業街だったので最盛期には町内に7つもの銭湯があったそうだが、新元湯だけが残った


▲到着


開店時間は16時となっているが、10分前に到着するとすでにのれんが掛かっていた。
入り口から男女に別れ、右が男湯で左が女湯だった。
右端にある靴箱はロッカーではなく棚なので置くだけである。
番台は真ん中にあるが、誰も座っていない。こういう時は女性店主がプライバシーに配慮して女湯にいるものだが、案の定、60代前半らしき女性は女湯のところで客と会話中だった。
自分が入り口にいることに気がづくと、男女を行き来する通路を抜けて顔を見せてくれた。店主と目を合わすと、「こんにちは。貸しタオルはありますでしょか?」とたずねた。
するとすかさず、「明日は休みです」と言われた。
「ん?」という顔をしたのか、すぐに休日の話しじゃないということを悟ったらしく、「貸しタオルですか?…あります」と番台の下あたりから取り出してくれた。
ちなみにずいぶんと可愛い声をされている方だった。
「ありがとうございます」と言って貸しタオルを受け取ると、「これよかったらどうぞ」とあいち銭湯と書かれたタオルと腹部大動脈の啓蒙うちわをくれた。
「貸しタオルを使って、こちらはそのまま持ち帰ってもいいですよ」と優しく言ってくれた。
タオルをもらうのは凄く嬉しい。老舗のお店でもらったタオルは記念になるので大事にとっておこうと思い、いそいそとバッグの中にしまった。
ただ、うちははなぜ腹部大動脈なのかは不明。高齢者が多い銭湯などに関連団体が配ってるのだろうか。




それから靴を脱ごうとすると「この近くから来たのですか?」と聞かれた。あきらかに地元の人間じゃないので気になったのだろう。
「じつは横浜から旅行のついでに来たんです」と言うと、「そうなんですか」と少し驚いた様子だった。
ただ、ここは名古屋で有名な銭湯なので、全国津々浦々からいろんな人が訪れているのではないかと思う。


右端にある靴箱に置いて脱衣場に進むと、右側にはロッカーが並ぶ。このロッカーが昭和を通り越して、いつの時代なのか分からないぐらい年季が入っている。新元湯の建物自体は大正時代に作られてそのままだそうだ。さすがに内装は昭和の頃に一度リニューアルしているらしいが、それでも古いものは当時から残っているので生きた博物館である。
ロッカーだけでなく、ドライヤーのお金を入れる機械が昔の電話ボックスみたいな形をしており、これは初めて見た。ただもう使えないのか、ドライヤーは自由にお使いくださいと書かれてある。




間仕切り側の壁には一面鏡となっているが、新聞や雑誌などに紹介された記事がいくつも飾られていた。
それを読むと、戦時中の空襲(直撃ではない)や伊勢湾台風にも被害を受けたものの、なんとか修復しながら今に残っているという。
立地も川と川に挟まれた場所で、海からも近く、天災がくれば一番被害を受けやすい場所だろう。鉄筋コンクリートの造りとはいえ、それが大正時代から続いているというのは誇張なしで奇跡である。


脱衣場に話を戻すと、脱衣場の真ん中にはテーブルや椅子が並べられ、それが不揃いなので昭和の家庭的な雰囲気を醸し出す。興味深いのは、浴室の扉の手前に緩衝スペースがあることだ。
ここで湯上がりに体を拭いたりすることができる。近年のスーパー銭湯なんかだと必ずあるフォーマットだが、それらがすでに大正時代から作られてあったとすれば、すでにこの時代から完成された仕組みだったのだろう。
名古屋の銭湯にはこうした入り口前の湯上がり空間を用意するのは共通しているので、東海地方で古い歴史を誇る新元湯が歴史の証人となっている。




ここでようやく浴室の扉をあけると、やはり老舗の銭湯ということで極めてシンプルな形をしている。
真ん中に円形の浴槽が鎮座し、奥には左右に浴槽がある。
ただし、奥の浴槽でお湯を張ってあるのは左の薬湯のみで、右は空だった。
カランは左壁沿いにあるが4つのみ。シャワーは取り付けられていた。
左の手前にある高い場所には椅子とカランが並ぶ。もちろんケロリン桶であるが、退色してしまったのか薄くなっていた。これは初めからこの色だったのか分からないが、今のような鮮やかな黄色とはほど遠い。


出典:あいち銭湯ホームページ引用
▲浴槽の全景


この日の男湯は自分が一番乗りだったらしく、シャワーをひねると水しかでない。最初に入ったときの銭湯ではよくあることで、しばらくすればお湯が出るだろうと思ったら、しばらく流しても水のまんま。まさかなと思いながらそれでも時間をおいて待つがずっと水のみ。早い段階であきらめたが、たぶん水しか出ないのかもしれない。そのかわりに蛇口の方は最初こそ水だったものの、途中でちゃんとお湯に変わった。


体を洗ったあとに、最初は奥にある薬湯に足を入れてみると、想像以上に熱くて50℃近くはあったと思われる。
これがいきなりだときつすぎると思い、真ん中にある白湯を足を突っ込んだところ、こちらも50℃ほど。普通の人は入れないじゃんと思い、しばらくカランの前に座って頭を抱えた。
水を埋めればいいのであるが、入り口の張り紙には「水はなるべく埋めないでください」と注意書きがあった。そもそも一見さんがいきなり温度調節するのは勇気がいる。
少し落ち着いてからまた入ってみるかと思っていた矢先、ようやく男湯に客があらわれた。だいぶご高齢の男性で、扉をあけると迷うことなくいきなり奥にある薬湯に下半身を入れて、しばらく上半身にお湯を掛けると、なんとそのまま肩まで浸かっていた。慣れるとこんなに高い温度でも平気で入れるのかと驚いていたが、やはりすぐに出てきて、こんどは真ん中の円形の白湯に入ったものの、熱さに耐えられなかったらしく水を入れはじめた。
さすがに常連客もストレートでハシゴするのは無理だったようだ。それと自分としては常連客が水を埋めてくれたことでようやく入れると安堵した。
高齢の男性は肩まで浸かっていたので、自分も入れるだろうと改めて入りなおすと、それでもめちゃくちゃ熱い。1~2℃ぐらいは下がったかもしれないが、自分からしたら焼け石に水だった。
そこから10秒ぐらい下半身だけを浸かって出たら足が真っ赤。もうここのお湯は楽しむ熱さを通り越していた。
それから2人目の常連客が現れたが、白旗をあげて脱衣場にでていた。

出典:あいち銭湯ホームページ引用


出典:あいち銭湯ホームページ引用
▲タイルのモザイクが素晴らしい


客層は2人しかみていないが、高齢者だけ。女湯からは賑やかな声が響いていたが、声の質感からすると年配者だろう。
先ほどの脱衣場に飾られてあった記事を再度紹介すると、1日の来客は30人ほどで、「なくなったら困る」という客の声に支えられ、ボランティアでやってるようなものだと女性店主は語っている。10年前の記事だ。
歩く途中でみえた街の風景は息を潜めるように静まりかえり、切なくなるほど寂しさが漂っていた。ここが唯一、街の人たちをつなぐサロン的役割を担っているのかもしれない。
大正時代から震災をのりこえて継続できた奇跡は、地元の人たちに寄り添う経営者の思いがあったからこそだろう。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 高畑 (バス)一色大橋
経路 バスに乗る
周辺の環境 新川と庄内川に挟まれる

●空間演出
建物外観 大正時代初期の建物(登録地域建造物資産
壁画・眺望 特になし
統一感 あり
置物 アンティークの数々
照明 ふつう

★設備
休憩所 脱衣場
脱衣所 昭和初期の風景
シャワーの出 勢いはなく、水しかでない
浴槽の種類 白湯、薬湯
サウナ なし
温度 50℃前後
棚 なし
男女入れ替え なし

■サービス
接客 親切で感じが良い
清潔さ きれい
貸しタオル あり(0円)
備え付け なし

◆人
受付 60代前半の女性
客層 高齢者のみ

【案内】

営業時間
16:00~18:00

定休日
0と5の付く日・他不定休あり

電話番号
052-301-8900

住所
〒454-0945
愛知県名古屋市中川区下之一色町南の切54-1

※あいち銭湯ホームページ転載


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2 コメント

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Unknown (rose-tky)
2024-10-19 08:39:07
まあ ❤️ユーさーん❤️

名古屋まで進出されて 行動範囲 めちゃ広いですねえ!

❤️大正時代から震災をのりこえて継続できた奇跡❤️以上引用 すごいですねえ😍

ただ 50℃はやけどするレベルでしょう!

モンモンが経営者であれば 熱かったら水を入れてくださいって書きますよ!

これでやけどされて もしくは熱すぎて 倒れてお客さんが救急車で運ばれる方が怖いですよね😱 わかります 常連客が水を入れても許されるかもですが一見さんが 水を入れるのは 躊躇われますよね!

今回も 正直な詳細レポート 有難うございます♪

蛇口はお湯ができるけど お水しか出ないって やっぱり歴史を感じますね!
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Unknown (southandnorthface)
2024-10-19 10:47:57
@rose-tky モンモンさんへ

おはようございます。

名古屋は新横浜から新幹線で行くと1時間20分で着くから、在来線で東京に行く感覚と変わらないか、むしろ近いぐらいなんです。片道1万円なので、電車賃はお高めですが…。

たしかに50℃(あくまでも推定)は高かったです。足を突っ込んだ瞬間にムリ!と思いました。ちょっと高すぎではと感じましたが、伝統を重んじて今も続けてるのかもしれません。昔の人はほんと忍耐力があって熱いのが好きだったんだなと思います。
あと温度調整は客だと高くすることはできませんが冷やすことはできるので、あとは自由に調節してねというスタイルもあるかもです。

建物は大正時代から残ってるということで、まるで映画のセットに迷い込んだ感覚でした。設備が弱いのは古い銭湯だと仕方ないかもしれませんね。ただ、行った甲斐はありました。東京にも古い銭湯は沢山ありますけど、ここまで古いのはほとんどないので、貴重な体験でした。
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