銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

浜口温泉(大阪・安立町)

2022-12-03 06:59:00 | 銭湯
#浜口温泉






阪堺電軌阪堺線
#安立町駅
▲安立町駅。大阪にあるチンチン電車の駅である


▲東京の荒川トラムと同じ風景であるが、やや錆びついた感は否めない



▲電車はこんな風に鮮やかなペイントで彩られていた


▲ちかくの地図をみると浜口温泉はすぐ目と鼻の先である


▲安立町駅の横にコカ・コーラの販売機がみえると思うのだが

▲自販機に沿った奥を眺めると、すでに浜口温泉がみえている




▲右奥に煙突がみえる

▲駅から15秒で到着


▲ここは密集した住宅街の中にありながら、駐輪場と駐車場も完備しているのでなかなか便利






▲到着

看板には温泉とあるけど、ここは温泉をそなえた銭湯ではない。大阪では銭湯=温泉みたいなところがあるので、そういったつもりでとらえる必要がある


のれんをくぐって玄関口に入ると、男女の入り口が左右にわかれていた。ということで受付は番台である。


▲下足箱のスペース。みぎが男湯


サンダルをあずけて扉をあけると、中央(男湯からしたら左側)に受付があり、座るのは40代半ばぐらいの女性。銭湯業界ではめずらしくきちんと化粧をしている。愛想はなかったけれど品のある対応だった。
「こんにちは。貸しタオルありますか?」とたずねると、すぐ横から取り出してくれて「バスタオルは?」と訊ねられたので「フェイスタオルだけで大丈夫です」とこたえた。帰りのときはスマホをいじっていたので、この辺は若い世代なんだなと思った。受付が高齢者だと基本的にテレビ(それもサスペンスドラマがほとんど)しかみてない。


脱衣場は縦長の作りで横幅はすこし狭い。しかし狭いことで人との距離を縮ませてくれる気がした。いかにも下町の銭湯らしい作りである。
驚いたのは、古い銭湯なのにとにかく綺麗なことだった。
整理整頓はもちろんのこと、床をみてもチリひとつ落ちていない。これはお店がしっかりしているだけでなくお客さんのマナーが良いあかしでもあるだろう。
手前にはぶら下がり棒が片隅に置かれ、奥にかけて油絵が飾られてある。間仕切り壁には招き猫がさりげなくあった。
左側の洗面台には淡白なブルーのタイルで装飾され、随所にはかとない昭和の精神に触れることができる。
浴室の入り口は磨り硝子で、熱帯魚とともに裸体の若い女性が描かれていた。こういう真面目一辺倒ではないアクセントも個人的には好きである。
全体的に無駄がそぎ落とされ、建物は古いけれど研ぎ澄まされており、“簡潔こそ知恵の魂”というが、洗練された空間は経営者の誠意と知性の発露でもある。


浴室の扉をあけて中に入ると、浴室も奥まったレイアウトだった。左右にカランがならび、右手前には立ちシャワーが一つだけ。この立ちシャワーはハンドルが一つだけの常温の水がでるもの。盛夏だとちょうどいい案配だったので浴びていて気持ちよかった。
カランのシャワーは、なんとプッシュ式である。昨今のスーパー銭湯と原理は変わらないが、古いカランでプッシュ式はここではじめて遭遇した。見た目は古すぎて最初はどこを押したらいいのか戸惑ってしまった。シャワーの出は右側の列が良くて、左側は微妙だった。


浴槽はいくつかあるのだが、最初は入り口の目の前にバイブラ(気泡)の浅浴槽が鎮座している。2人ぐらいが入れるスペースで、温度は41℃ぐらいだろうか。なかなか快適だった。お湯に慣れるのにちょうどいい湯船だろう。
そこから奥を眺めてみると、左側の間仕切りに主浴槽が連なる。
間仕切りの壁には田園風景のチップタイル絵が飾られてあった。関東ではお馴染みの絵である。


主浴槽は一つの湯船であるが、手前が深浴槽で、奥が浅浴槽に分かれていた。
浅浴槽はジェットバスと電気風呂が取り付けられ、温度は43℃ぐらいと意外と熱い。関西は基本的にぬるいと聞くけど、決してそんなことはない。最初に入るときはちょっとキツく感じた。


そして入った瞬間から気になるものがあったのだが、それが主浴槽の頭上にそびえたつ筒状ステンレスである。天井まで伸びており、なんだコレは?!と思いながらよくよく見ると、筒の中には螺旋の階段が取り付けられてあった。
ただ一階の浴室はそれで終わりではなく、階段をのぼるまえに浴室の奥側をみると、さらに設備は続いている。
真ん中に水風呂があり、みぎが薬湯、ひだりにスチームサウナがあった。
周辺のまわりにはレンガ風の凝ったタイルが施され、ヒミツ基地のような、大正ロマン風のような、そんな雰囲気でワクワクさせてくれる。
みぎにある薬湯に入ると奥が電気風呂仕様で、電気風呂ではない手前でも入ると肌が微妙にピリピリする。
薬湯の種類は解説がなかったけれど、漢方薬湯のじっこうだろう。温度は40℃ぐらいとぬるめ。
真ん中の水風呂は2~3人用の広さでまあまあ冷たくて、18℃ぐらい。
そして左にあるのがスチームサウナで、これはほんとに凄かった。


スチームサウナだから大したことないだろうと舐め腐って余裕のヨッちゃんで扉をあけると、ブワッと熱気が襲いかかり、入った瞬間は熱いじゃなくて顔がイタい!だった。それぐらいめちゃくちゃ熱かった。
しばらくしないうちに汗が滝のように流れてできて、こんなに本格的とは思ってなかったので度肝をぬかれた。
砂時計をもちこむ人がチラホラいたのでここの習わしのようだが、軟弱の自分には真似できなかった(すぐに逃げた)。


そして、先ほど紹介したステンレスで囲まれた螺旋階段をのぼると、しばらくぐるぐる回れば、天井の低い扉が目の前にあらわれる。
扉あけて外にでると、屋根に近い高さなので風通しがよく、屋根もあるので日差しをさえぎってくれる。
お湯はバイブラの白湯で、温度は41℃ほどだろうか。誰でも入れる温度だ。
さらにここの特徴としては縁の部分に椅子が取り付けられていた。外気浴の椅子というよりも足湯のような使い方をするものかもしれない。
ただし椅子の高さが比較的高いので、自分のような短足だと床に足がつかない。
仕方なくブラブラさせるしかなかった。


全体を通してみると、特筆すべきなのはとにかく綺麗であること、設備がすごく充実してること、そしてなによりも入浴料が300円と破格の安さであることだ。
このご時世でよくこの値段で経営できるなと感心してしまった。サービスは満点なのに過剰に金儲けをしようとする野心は一点も感じさせないホスピタリズムの塊のようなところである。教科書に載せたくなるような素晴らしい銭湯だった。





【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 安立町
経路 すぐ目の前
周辺の環境 駅、住宅

●空間演出
建物外観 古い建物
壁画・眺望 チップタイル絵
統一感 あり
置物 招き猫
照明 ふつう

★設備
休憩所 脱衣場
脱衣所 超きれい
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 バイブラ(ぬるめ)、ジェットバス、電気風呂、薬湯、水風呂、露天風呂
サウナ あり(ミストサウナ)
温度 40~43℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 品がある
清潔さ 古いけどきれい
貸しタオル あり(10円)
備え付け なし

◆人
受付 40代ぐらいの女性
客層 高齢者


【案内】
住所
大阪府 大阪市 住吉区清水丘1-31-15

アクセス
-駐車場3台 駐車場有り 但し銭湯までの道が非常に狭い

TEL
06-6671-0526

定休日
月曜日

営業時間
月曜日: 定休日
火曜日: 14時00分~0時00分
水曜日: 14時00分~0時00分
木曜日: 14時00分~0時00分
金曜日: 14時00分~0時00分
土曜日: 14時00分~0時00分
日曜日: 14時00分~0時00分

料金
12才以上 300円
6才以上  120円
6才未満  60円

※サウナイキタイナホームページ転載


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (southandnorthface)
2022-12-08 18:29:46
お良しさんへ

こんばんは。

お父さんと同い年の銭湯だったんですね。
建物はやはり歴史を感じさせますが設備はすごくしっかりしてて、メンテナンスを怠らなければ長く現役で頑張れるんだと学べるところでした。
そうそう、テレビ大阪の動画をみて自分も感動して大阪に行ったときは是非ともこの銭湯に行こうと決めてたんです。店主の人柄がほんと素晴らしいですよね。
夏の盛りで暑い時でしたが、とても気持ちよく入れるところでした。

自分のつたない文章ですが、笑ってもらえてありがとうございます。
色んな銭湯を行くたびに受付の女性がサスペンスドラマを見てて、それを思い出して書いてみました笑
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Unknown (お良し)
2022-12-08 13:05:25
♨️♨️ユーユーさん、こんにちは♨️♨️

 テレビ大阪の報道動画、感動しました。浜口温泉さん、「頑張ります!」っておっしゃってて素晴らしいです。昭和元年創業とは、私の父と同い年、歴史がスゴイですねぇ! 良いものを見せていただいた気分です(^-^)


ユーユーさんの文中のこの部分に笑っちゃった( *´艸`) ↓

>銭湯業界ではめずらしくきちんと化粧をしている。帰りのときはスマホをいじっていたので、この辺は若い世代なんだなと思った。受付が高齢者だと基本的にテレビ(それもサスペンスドラマがほとんど)しかみてない。
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Unknown (southandnorthface)
2022-12-03 10:22:30
@batasyan batasyanさんへ

おはようございます。
関東だとシャワーはハンドルを回すタイプなので、最初見た時はえぇ、なにこれ!?となりました笑
今やプッシュタイプはスーパー銭湯のスタンダードであることを考えると、関西は時代の先端を行っていたんだなと思いました。
古い銭湯は、やはり熱くてなんぼというところが多いですね。
ここもしっかり熱いお湯とスチールサウナに入ることができたので体の芯まで暖まることができました。
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Unknown (batasyan)
2022-12-03 08:13:18
大阪にようこそ。
銭湯のカラン、プッシュ式って関西ではまだたくさん有りますよ。水、お湯、シャワーって三点セットの所も(^^ゞ。
風呂の温度も、銭湯の歴史が深いほど熱めのお湯ですよね。
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