音の四季~風の彩

作曲家、しの笛・龍笛奏者、ジャズピアニスト、城山如水の徒然日記。
オカリナ、フルートの事も・・・・

ナチス~民族純潔主義 と 神国日本~国家神道

2012年08月16日 | 日常雑感


今年の夏休みは20世紀の大量殺戮戦争について考えてみる、という自由研究課題を設けていた。

900万人以上の犠牲者を出した第一次世界大戦。

6000万人~1億人以上の犠牲者を出した第二次世界大戦、太平洋戦争。

これらの原因は何かと思い続けてきたが自分なりの結論を得られたように思う。

戦争の発端は独裁者あるいは独裁体制国家が領土拡張の侵略戦争を始めるところから起こる。

自分がずっと疑問に思ってきたことは、それではヒトラー、ムッソリーニ、日本帝国軍部に国民が一丸となって結束し、無謀な戦争に突入していったのは何故だったのか。どんな力が働いたのかということだった。

そこに共通して見えてきたものは、「宗教的裏付けを持つ民族主義」とでもいうべきものだった。

ヒトラーのもとにドイツ人が熱狂的に結束した。それはなぜか。

ナチスは実は、アーリア系ドイツ民族こそが最優秀民族であることを信奉するカルト集団であった。

これが敗戦と失業に苦しむドイツ人に民族の誇りと自信を蘇らせた。

そして劣等民族であるとしてユダヤ人、スラブ人などを虐殺していった。
その数は1100万人以上と推計されている。

イタリア・ファシストのムッソリーニは「古代ローマ帝国の復活」を唱えた。

日本はというと、天皇を現人神とする国家神道のもと、神国日本の為に大君の盾となって命を捧げるべきことを、軍部は徹底的に洗脳教育した。

つまり神道の国教化であり、軍部独裁政権はこれを利用して、異を唱える者を徹底的に弾圧した。

子供時代からこうした洗脳教育を受けた国民は、死んで軍神となって靖国でまみえようと、杯を酌み交わして神風特攻隊として出撃し、各地の戦場では玉砕を遂げた。

絶対に降伏をせずに玉砕を選ぶ日本軍の頑強さが、アメリカに原爆投下を決定させた一因であるともされている。
もちろん、原爆使用を容認するものではないが。

ナチス・ドイツも神国・日本も、こうした「宗教的背景を持った民族主義」が独裁体制のもと国民を糾合していったといえる。

そして無謀な戦争に国民を引きずり込み、大量殺戮の泥沼に進んでいった。

こうして見て来たとき、宗教的背景を持った排他的民族純潔主義は熱狂的に国民を結束させる力があることがわかる。

全体主義の根源はここにあるのだろうと思う。

ナチス・ドイツではヒトラー・ユーゲントとして幼少の時代から民族純潔主義を教育して洗脳していった。

神国・日本においては現人神天皇を頂点とする国家神道による軍国主義教育で国民を洗脳していった。

大量虐殺戦争の原因には、インフレ・失業などの経済問題、国際間の領土拡大の思惑、国家の政治体制など様々な複雑な要因がある。

しかしこれに点火して侵略戦争に突入する原動力こそ「宗教的背景を持つ排他的民族主義」であることが見てとれた。

これは21世紀の現代にも未だ続いている。

思想、信条、信教の自由、表現の自由。人命の絶対尊厳。これらの人権・人道・平和教育が全人類に行き渡った時、戦争の無い世界が実現するのかも知れない。

ともあれ、いかなる高邁な思想、宗教、主義主張であれ、人命の絶対尊厳を無視するものは、まやかしなのである。

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