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猫婆日記 2…かりあげ君のミサイルのこと

2016-02-07 18:54:00 | 猫の町
 この家の主人のみよこさんとわたしは一日になんべんか、おたがいに呼びかけ合って、ああ、あなた、そこにいるのね、と確かめ合うんです。
 確かめ合って、安心し合うんです。

 でもときどき、わたしがいくら呼びかけても、みよこさん、いっこうに返事をしないことがあるんです。
 それどころか、聞こえないのかなと思って、わたしがいっそう大きな声で呼びかけると、やかましい、と言い返してきたりするんです。
 なんか、ムシのいどころが悪かったのかもしれませんけど。

 そんなときは、わたしだって、そりゃあ、ハラが立ちますからね。
 こんどはみよこさんが呼びかけてきたときに、黙っててやるんです。
 ダンマリを決めこんでやるんです。
 知らん顔して、そのまま毛づくろいを続けるとか。
 ぷいとあさってのほうを向いたりして。

 そんな日には、家の中がいつもより静かになって。
 ちょっぴり寂しくはなりますけど。

 けさもそういうわけでひっそりした午前だったんですけどね。

 テレビとラジオが急にやかましくなりだして。
 あのトッチャン坊やが歓力をふるっている不思議の国、かりあげ君を神のようにあがめているあのおかしな国が、実験ミサイルを飛ばしたっていうんでしょ。
 そのにぎやかなことといったら。
 …ミサイルはいま、沖縄県の上空方面へ向かっているもよう。
 いま沖縄県の上空を通過したもよう。
 いま南方の洋上に落下したもよう。

 周りの国々が大騒ぎするのをみながら、トッチャン坊やはずいぶん得意だったことでしょうね。
 坊やのオモチャをみんながあんなに注目してくれたんです。

 でも、わたし思うんですけど。
 あれはなにも、あなたそこにいるのねと確かめ合って、国民がたがいに安心し合うわけじゃないんでしょ。
 反対に、つべこべいうな、いちいちおまえのいうことは耳障りだ、あんまりうるさくいったらこいつをおたくの首都へブチ込むぞって、おどしでしょ。
 だったらいっそのこと、わたしたち猫族流にね、周りの国がみんなダンマリを決めこんでやったらどうだろうと思うんです。
 なにをやっても、ほったらかしにするんです。

 あら、ミサイルを発射したの。
 そうなの。
 で、それがどうしたっていうの? かりあげさん。
 どうぞ、どうぞ、御随意に。
 お好きなだけあなたのオモチャと遊びなさい。
 と、いうふうに。

 トッチャン坊やの戦争ごっこに律義につきあうことなんかないでしょう。
 大のおとなが。

 たまには猫族に学びなさい。
 損はしないんじゃないですか。

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