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ブログ版 シュプリッターエコー

生と死の中間をさまようもの―スタジオK公演

2009-06-06 22:41:00 | 舞踊
 阪神間とニューヨークを拠点に活躍するダンス・カンパニー、スタジオK(ケイコフジイ主宰)の公演「GHOST」(幽霊)を、芦屋のルナ・ホールで見ました。
 カンパニー創立25周年の記念パフォーマンスでもありました。

 現代都市でごく普通の暮らしを送っていたサラリーマンが、不意の交通事故で命を落としてしまいます。
 彼はこの世とあの世の中間をさまよう形で、人間の諸相に出遭います。
 その出遭いが舞踊化されていくのです。

 無限の地獄を沈黙のうちに進む死者たちの群像。
 現実の世界を騒々しく行き交う生者たちの群像。
 そして悠久のときを編み続ける自然の流れ。

 生死の中間地帯を漂流した男はやがてみずからの死体と出遭うことになります。
 男は当惑するほかありません。

 ただ、彼の突然の死によって、まわりのサラリーマンたちに微妙な変化が起こったようです。
 一瞬の心の変化か、永続的な心の変化か、それはむしろ観客ひとりひとりの心の形によってそれぞれに決定される問題でしょうが…。

 それにしてもケイコフジイという舞踊家は、内面の微妙な動きを、肉体の激しい動きの表面に湧出(ゆうしゅつ)させる、なかなか不思議な表現者です。

 スタジオKは http://homepage3.nifty.com/studiok/ 

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